ガンダムSEED DESTINY 飛び立つ翼   作:izuki

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第八話 ミーティング

 翌日、私はコニールから作戦内容の詳細を聞かされていた。

 内容は私が知っているものと同じだったが最後まで聞いて一つ疑問が生まれた。

 

「それだけ詳細な情報を持っていて昨夜は何故あんなところにいたんだ?」

「あれ、言わなかったっけ」

「聞いてない」

「えっと、私が昨日偵察に行ったのはある噂を聞いたからなんだ」

「噂?」

「うん、真偽のほどはわからなかったけどモビルアーマーが追加投入されるっていう噂が流れたんだ……ただの噂ならいいんだけど」

「追加投入……」

 

 私が知る限りそんなことは起こらなかったしそんな噂が流れていたっていう設定も聞いたことがない。

 

(もしかしたら、私がこの世界に迷い込んだことで本来の物語と変わってしまった、という可能性も否定はできないか……もしものことがあれば……)

「……ザフトはそのことは知ってるのか?」

「うーうん、知らない。何の信憑性もない情報なんか渡せないよ……」

「それもそうか…」

 

 この作戦には不確定要素が存在する事になる。

 今回行われる作戦はコニールたちのレジスタンスが集めた情報に則し行われ、順調に事が運べば高確率で成功するだろう。

 しかし、だ。もし本当にモビルアーマーが追加投入されたら。

 連鎖的に全ての成功への道が潰えて失敗に終わってしまう可能性が高い。

 だが、作戦実行日までもう時間は残されていないため、これ以上連合への調査を行うこともできない。

 

「今できることをするしかないか」

「何か言った?」

「いや、何でもない。機体の調整をしてくる」

「うん、分かった」

 

 話を聞き終えた後、機体の調整に向かうことにする。

 せめて万全の状態で作戦に挑めるようにしよう。

 

「ん?シキ何か落としたよ?」

「?」

 

 落とした?

 何か落とすようなモノを持っていたか?

 そう思いながら振り返る。

 

「これ…」

 

 コニールはこちらにそれを差し出した。

 それはシンプルな模様の入った黒漆塗りの篠笛。

 

(そういえば外に出るときにコートの内ポケットに入れたっけ)

「…ありがとう」

「これ、篠笛、だよね」

「…知ってるのか?」

「うん、いつだったか忘れたけど昔見たことがあるんだ」

 

 日本人ならまだしもコニールが篠笛を知っているとは。

 

「それ、どうしたの?」

「…昔、母に貰ったモノだ。特注品らしい」

 

 世界に一本だけの私の笛。

 この笛は 7本調子で、少し低めの音が出るようになっている。

 この笛を貰ったのは十歳の誕生日。

 私の家は代々十歳になると笛を贈る習慣があるらしい。

 その時に同じく昔から伝わる曲を教えてもらった。

 その曲の音色が好きでよく練習した。

 何故そんな習慣があるのかは幼い頃に聞いたがよく覚えていない。

 母は覚えていなくてもいいと言っていた覚えがあるため、そこまで重要ではないのだろうけど。

 

「……ふぅん、大事なものなんだね…」

「……まあな」

 

 コニールは興味深そうに笛を見てくる。

 そうなるのもしょうがない、この世界でこんなものを持つ傭兵なんかいないだろうからな。

 

「もういいか?」

「あ、うん」

 

 笛を仕舞い、今度こそ機体の調整へ向かう。

 

 

 数日後、私はザフトとの合流地点に向けてバクゥを疾走させていた。

 コニールは狭いコックピットに詰めて一緒に搭乗している。

 ウイングゼロは予定通りレジスタンスベースに置いて来てある。

 しばらく走っていると前方に二隻の軍艦がモニター越しに目に入る。

 その片方の巨大な翼を持つ船。

 

(あれがザフトの新造艦ミネルバ。間近で見ると予想より随分とでかいな)

「シキ、あっちの派手な方に近づいて」

「了解」

 

 コニールの指示で機体をミネルバに接近させる。

 向こうもこちらに気付いたのだろう、底部のハッチを開きこちらを誘導する。

 そのままミネルバの中にバクゥを収容しコックピットハッチを開けてコニールを先に降ろした後に降りる。

 

「お待ちしていましたミス・コニール」

「あんたは?」

「ミネルバの副館長、アーサー・トラインです」

「コニールだよろしく」

「それではご案内します」

 

 私たちは副長の案内でモビルスーツパイロットのミーティングルームへと案内され室内へ入る。

 

「――― 子供じゃん」

 

 室内に入ると既に集まっていたミネルバのパイロットの一人がコニールを見てそう呟いた。

 

(こいつが、シン・アスカ……)

 

 黒髪、色白の肌、深紅の瞳が特徴的でどこか幼さの残る雰囲気の少年だと私は思った。

 他にも、赤い髪のショートヘアの少女、ルナマリア・ホーク。

 金髪で髪を肩まで伸ばしている大人びた雰囲気の少年、レイ・ザ・バレル。

 そして藍色の髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ青年、アスラン・ザラ。

 ミネルバのモビルスーツパイロット達がここに集まっている。

 

「えー、ではこれよりラドル隊と合同で行うガルナハン・ローエングリンゲート突破作戦の詳細を説明する。だが知っての通りこの目標は難敵である」

 

 私たちは端の方に移動した後、アーサーは説明を始める。

 

「以前にもラドル隊が突破を試みたが……結果は失敗に終わっている。そこで今回は、アスラン…代わろう。あとは君から」

「え、あぁ、はい。ガルナハンローエングリンゲートと言われるこの渓谷には―――」

 

 アーサーに替わりコニールとシキの傍で待機していたアスランが説明を始める。

 ガルナハンを攻略するにはこのローエングリンの破壊が最優先である事。

 しかし、渓谷に挟まれた地域のため進攻の経路が一つしかなく、また、砲台の前には陽電子リフレクターを装備したモビルアーマーが配備されており容易に攻略が出来ないということをアニメ通りに説明をしていく。

 

「そこで今回の作戦だが…」

「要はそのモビルアーマーをぶっ飛ばして、砲台をぶっ壊し、ガルナハンに入ればいいんでしょ?」

「…シン、俺たちは今どうすればそれが出来るのかを話しているんだぞ」

「やれますよ。その気になれば」

 

 ……本当に随分と生意気なことを言う。

 直接聞くと少し腹が立つな。

 

「じゃあやってくれるか?俺たちは後方で待ってるから突破出来たら伝えてくれ」

「えっ! ……ぁあいや…それは…」

 

 アスランの言葉にシンは言い淀む。

 シンの隣ではルナマリア・ホークが笑いを堪えている。

 

「と、そんな馬鹿な話は置いておいて……ミス・コニール」

「あ!はい!」

 

 唐突に名前を呼ばれたコニールは慌てて返事をする。

 

「彼がそのインパルスのパイロットです」

「えっ! コイツが!?」

「……何だよ?」

 

 シンが作戦の要となるモビルスーツのパイロットと言われて驚くコニール。

 そしてその反応に不快感を感じ口を尖らせる。

 

「本当にこんな奴で大丈夫なのか?あんた隊長なんだろ?あんたがやった方が良いんじゃないのか?この作戦が失敗したらマジでもう終わりなんだから」

「なにッ!」

「シン!ミス・コニールもやめろ!」

「あぁなるほどアスランか!いや、それは考えてなかったなぁ。あ?でも…」

「副長までやめてください。シン、座れ!」

「ふん!」

 

 コニールの言葉にシンは怒りを露にし、椅子から立ち上がりコニールを睨みつける。

 そこにアーサーがコニールの言葉に反応してさらに無自覚にシンを煽る。

 そこをアスランが宥める。

 とゆうかアーサー、やっぱりこいつ天然と言うか空気が読めないというか……

 

「大丈夫ですよ、ミスコニール。彼ならやれます……さあ、データをこちらに」

 

 アスランにそう言われ、コニールはポケットからデータメモリーを取り出し、渋々とアスランへと渡す。

 

「ほら、シン。受け取れ、今回の作戦の要となるデータだ」

 

 コニールから受け取ったメモリーをアスランはシンに差し出すが受け取ろうとしない。

 

「…………」

「シン」

「そいつの言う通りあんたがやればいいだろ?失敗したらマジ終わりとか言って。自分の方が上手くやれるってあんただってどうせほんとはそう思ってんだろ?」

「シン!あ――」

「だったらその役目、私が変わってやる」

 

 流石に少し頭に来たかな。

 私の言葉にその場の全員がこちらを向く。

 

「やる気がないような奴にやらせても失敗に終わるだけだ」

「なに!」

「シンとかいったな、お前のモビルスーツを私に貸せ。お前の代わりに私がやる」

「シキ! 何言ってるんだよ!?」

 

 これにはシンだけでなくコニールも驚きを露わにする。

 特にシンからしたら突然知らない奴にこんなことを言われて黙っていられないのだろう。

 

「お前っ!!」

「聞こえなかったか、ならもう一度言ってやる。やる気がないような奴にやらせても失敗に終わるだけだ。お前のモビルスーツを私に貸せ。お前の代わりに私がやる」

「っ!!じゃあ、お前には出来るって言うのかよ!?」

「私には出来る。お前には出来ないんだろ?」

「――っ!」

「……………」

 

 私とシンはお互いに睨み合い一歩も引かない。

 

「お前はこの作戦がどれだけ重要か分かってないみたいだな」

「そんなの分かってる!」

「いいや、分かっていない」

「なに!」

「この作戦はお前たちからしたらただの任務程度だろう。だがこいつらにとっては違う…この作戦は最後の希望なんだ。この作戦が成功するか否かでこいつらの未来が決まると言っても過言じゃない」

「っ!!」

 

 私はコニールを見ながらそう言う。

 そしてここまで言ってこの馬鹿はようやくこの作戦の重大さが分かったらしい。

 

「だというのに、自身に任されたはずの重要な役目をお前はやらないと言った。なら私がやる。……希望を消させるわけにはいかないからな」

「シキ……」

 

 先程までとは違い今度は静寂に包まれる。

 少し言いすぎたかと私が思っていたとき。

 その静寂を打ち破ったのはシンの口からポツリと聞こえた言葉だった。

 

「――― やる」

「え?」

「俺になら任せても大丈夫なんでしょう? 隊長」

「あ、ああ……そうだが」

「だったらやります」

 

 そう言うシンの顔は先ほどとは違い、何か決意に満ちた表情をしていた。

 そして、シンの言葉にはこれまで以上の強い想いが宿っているのを感じる。

 アスランはもう一度データメモリーをシンへと差しシンも今度はしっかりと受け取る。

 それを見届けた私はミーティングルームを出て行こうとする。

 

「ち、ちょっと、どこに行くの?まだ説明の途中なのに……」

「作戦内容はすでにお前から聞いている。私がここに居る意味は無い。………出撃までにモビルスーツの調整をしておきたい、バクゥのところへ行く」

 

 そう言って部屋の外へと足を踏み出そうとする。

 

「シキ!……ありがとう」

「……その言葉は作戦が無事に成功した時まで取っておけ」

 

 コニールの感謝の言葉にそう切り返し、部屋を後にするのだった。

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