俺の強化外骨格は完璧で究極なんだよォッ!   作:漢の子

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シャーレ部員、赤石リョウ

色々あって、人まずはシャーレのビルに急ぐ先生……物の十分もすれば、サンクトゥムタワーの制御権が連邦生徒会に移ったのが確認できた。

 

これで、キヴォトスの、治安も少しはマシになるという物だ……いや、マシになってもらわねば困ると言った所か。

 

リョウが汗をかいて失った水分を、そのへんの自販機で買った水を飲みながら補給していると、シャーレの建物から先生がスタスタと歩いて出てくる。

 

「サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が取り戻したことを確認したわ!」

「ワカモは他の自治区に逃げてしまった様ですが……しかし、すぐ捕まる事でしょう。あとの事は担当者に任せます。」

 

まぁ、本来矯正局から逃げた輩の追跡や対処はヴァルキューレが受け持つべき事案。ユウカ達が絡むことではない。

 

「お疲れさまでした!先生!先生の活躍は、直ぐにキヴォトス全土へ轟くことでしょう!」

 

''なんか照れちゃうねぇ……みんなもお疲れ様。''

 

すると、お別れムードになりそれぞれが別れの言葉を告げる。

 

「これでお別れですが、近い内にトリニティ総合学園にいらっしゃってください。」

「歓迎いたしますよ!」

「私は本日の件を、風紀委員長に報告します。ゲヘナ学園にもまたいらっしゃってください!」

「ミレニアムサイエンススクールにいらっしゃれば、また直ぐに会えるかも?それでは、また!」

 

そう言って、皆はその場から去っていってしまう……あとに残るのは、リョウだけだ。……むしろ逆に、なんでリョウだけ残っているのか気になり、先生は首を傾げる。

 

''リョウ、どうかしたの?''

「いやぁよ、その連邦生徒部シャーレってのはどんな部活なんだ?」

 

そう問いかけられれば、先生は答えるのは難しい……リン行政官には、先生の好きなようにすれば良いと言われたが、ソレを踏まえて一言で表すというのなら……

 

''人助けする部活、かな?''

 

その言葉を聞けば、リョウの顔が少し明るくなり胸を叩いて言葉を紡ぐ。

 

「なるほどな……()()()()()()()()()。俺もシャーレに入れてくれ!」

''リョウを?それは良いけど……逆にいいのかい?''

 

先生がリョウにそう問いかけると、リョウは眩しいほどの笑顔を浮かべて言葉を紡ぐ。

 

「おう!アンタとは上手くやっていけそうだしよ、それに……人助けする部活なんて、いいじゃねぇか!無敵のヒーローにピッタリの部活だ!」

''無敵のヒーロー……?''

 

そう言って首を傾げる先生に、リョウは胸の前に握りこぶしを作って、威風堂々と声を張り上げる。

 

「応!不撓不屈、完全無欠、無敵のヒーローの漢の子!それが俺サマ赤石リョウだからな!」

''そう言えば、他のみんなも言ってたね。君は他の学園でもよく人助けしてるって。''

 

……考えてみれば、妙な話だ。彼の通っている……ミレニアムサイエンススクールだったか?そこで人助けするならボランティアとしてわかる。

 

しかし、彼は他の学園までその人助けの手を伸ばしていると言うではないか……もはや、ボランティアと言うには規模が大きすぎる。……先生は、思わず一つ言葉を漏らしてしまう。

 

''優しいんだね、リョウは。''

「あん……?」

 

リョウは首を傾げて先生の方を見ると、少し頷いて考えるような素振りを見せる。……リョウはなんというか、身ぶり手ぶりがいちいち大げさだ、何処か可愛げを持てるほどに。

 

「う~ん、優しいなんて訳じゃねぇよ。困ってるやつがいるなら、この手差し伸べて助けに行く。勿論全員助けられるなんて驕った事は思わねぇけどよ、少なくとも目につく限りは助けてやりてぇじゃねぇか。ヘイローがあろうとなかろうと、そこは変わらねぇ。俺の中の意地って奴だ。その意地押し通すために、その為に俺はレッドフューチャーを作り上げたんだ」

 

それは、リョウの中にある確かな信念……助けられる範囲になるのならば、助けたい。その助ける範囲を伸ばすために、リョウはレッドフューチャーを作り上げたのだ。

 

何から何まで他人の為……ともすればエゴ、ともすれば狂気とまで捉えかねないギリギリのライン。しかし、そこに危うさはなく、確かな信念を感じさせられた。

 

''そうか……わかった!それじゃ、これから宜しく、リョウ!''

「おう!これからもよろしく頼むぜ!先生!」

 

そう言ってリョウは手を差し出すと、先生はその手に握手で応える。そして、先生は笑顔でリョウへ言葉をかける。

 

「それじゃあ早速、いいかな?」

「応!」

「……書類整理手伝ってくれないかな……かなりの量でさ……」

「っしゃ!任せとけ!」

 

リョウは胸に拳を押し当てて、先生は申し訳無さそうに肩を窄めるのだった。

 

 

 

 

 

▲▼▲

 

数日後……

 

カリカリと、書類に筆を進める音がシャーレの部室に木霊する。そこにはくたびれた様子で作業をするリョウと先生の姿があった。

 

「せんせぇ……書類多すぎじゃね?」

''ははは……色々しわ寄せが来たみたいだね……''

「あのデカメガネ行政官、面倒な業務押し付けてきたろ……ぜってぇ許さねぇ。」

 

リョウはそんな言葉を漏らしながら項垂れる……ようやく殆片付いてのんびり出来るようになってきたが、ここまでとても長かった。

 

書類仕事が多すぎてリョウもまともにミレニアムに帰っていない。勿論先生は帰るようにすすめたのだが、リョウが一度受け持ったことをなげだすのは嫌だと意地になり書類仕事を続けたのだ。

 

その御蔭で、想定よりも早く書類の整理が済んだのは確かだが……先生は申し訳ない気持ちで胸がいっぱいだった。

 

すると、リョウのスマホに通話が届く。

 

「先生、電話いいか?」

''全然いいよ、どうぞ。''

 

リョウはスマホを取り出して通話に出る。

 

「もしもし、こちら赤石リョウ。」

『リョウ!?大丈夫!?無事!?今どこ!?』

「うおっ!?」

 

すると、通話越しにミドリが血相を変えたような口調で声をかけてくる。リョウは驚いて椅子から滑り落ちてしまった。先生が大丈夫かと慌てる中、リョウは手を出して大丈夫という旨を伝えると、ミドリへ声を掛ける。

 

「どうしたよミドリ。そんな慌てて……」

『だって、リョウ暫くミレニアムに帰ってきてないみたいだから、()()()()()したのかなって……」

「大丈夫だって!今ちょっと人助け中、もうそろそろ帰るから!」

 

リョウは慌ててミドリを慰める……リョウは、レッドフューチャーがあろうとヘイロー無し。他所に人助けに出た挙げ句に大怪我をしてその自治区の病院にお世話になるのも珍しくない。

 

だから、ミドリはすこしリョウがミレニアムに帰らないと心配してこうやって電話をかけてくるのだ……実際に病院にいる確立は低いのだが……それでも、ミドリは心配になって電話をかけてくるのだ。

 

''彼女?''

「全然違うって、友達!」

『?今の声……男の人?』

 

どうやら声が入ったらしい……リョウは軽く肩を窄めると、事の次第を話を始める。

 

「ちょっと、最近噂の連邦調査部で人助けしててな。」

『……そう、なんだ。』

「そんな悲しそうな声するなって!」

 

リョウはそんな風な言葉を何度か叫んでミドリを慰める……すると、話がついたのかリョウはミドリへ言葉をかける。

 

「おう、んじゃまた後でな。」

 

そう言ってリョウは通話を切ると、先生へ体を向ける。

 

「ワリィ。先生、流石にそろそろミレニアムに帰るぜ。また何かあったら呼んでくれ。

 

''うん、大丈夫だよ。このくらいなら私一人でも終わるし……むしろごめんね?付き合わせちゃって。''

「良いってことよ、これも人助けだ。」

 

そう言ってニッコリと笑うリョウ……ここ数日間で先生がリョウについてわかったのは、かなり自分と――主にロボット方面の話題について――話が合うと言う事。

 

そして、彼が心の底から人助けを好む人物であるということだ。今日まで、リョウは無数の書類を整理してきた……それも、誰でもない先生の為にだ。

 

しかし、そんな風に書類整理を行うリョウの顔は何処か楽しげだった……まるで、人助けそのものを楽しんでいるかのような表情だ。

 

そんな表情を見せる人を、先生はそう多くは知らない。何度もう帰って大丈夫と伝えても、意地でもやり遂げ、人助けを途中で投げ出さない。そんな少年だ。

 

しかし、そんな彼にも。彼を動かすに値する友人がいることを、先生は嬉しく思う……きっと、止める人がいなかったら、鎖がなければ、彼は人助けのために己を、犠牲にすることを厭わないだろうから。

 

それを止める人間がいることを、先生はひたすらに嬉しく思いながら、シャーレを去るリョウの後ろ姿を見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、ひとつのメールがシャーレに送られた――それは、砂に埋れた学園。アビドス学園からの救援要請なのであった。

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