イナズマイレブン1・2・3!! 雷電真太郎伝説   作:睾丸Jリーグ

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雷電一太郎 肉体戦士、雷電真太郎!

 

 

 ───ドッッッ!!!!!!!!!!

 

 相撲場に、轟音が響く。

 

 力強く踏み込まれた足が、土俵にくっきりと跡を刻むと同時、彼の巨体が前に飛び出す。

 

 残像が見える程の勢いと共に叩きつけられたぶちかましを食らい、相手は為す術もなく吹き飛んだ。

 

「うっわ、すっげえ!───相変わらず、色々と人間離れしてるよな……雷電先輩って」

 

 中学生にしては気合いの入った髷と、隈取のようなフェイスペイントが特徴の巨漢、大江戸(おおえど)がぽつりと呟く。

 

「ホント、俺らとおんなじ競技とは思えねぇよ」

 

 発達したアゴを覆うデザイン髭に、乱暴に縛った赤い髪がツノのように見える強面の男、阿後(あご)が呆れたように笑った。

 

 彼らの視線の先で、呼吸を整えながら静かに土俵を後にする男こそ、雷電 真太郎。

 中学相撲で全国大会に出場した経験を持つ、稲妻町では名の知れた力士である。

 

 

 

 訓練さえすれば、大抵の人間が超次元な必殺技を使えるようになってしまうこの世界において。

 それらの行使を一切禁じた相撲は、スポーツ界でもひときわ異彩を放っている。

 

 純粋な膂力のぶつかり合いと、繊細な身体操作。

 身体の可能性だけを追求し続け、超次元なトレーニングの末に磨き抜かれた規格外の肉体のみを駆使して戦う、

 ''肉弾戦争''とも称される壮絶な競技こそ、この世界における相撲なのである。

 

 そして、そんな中学相撲界で既に全国大会進出の経歴を持つ雷電は、

 そんじょそこらの中学生とは比べ物にならないほどの肉体戦士(フィジカルエリート)だった。

 

 

 

§§§

 

 

 

「っ、はぁーーーー………」

 

 雷電の幅広な口から、無意識に極太の溜め息が漏れる。

 あまりの風圧に、彼の寂しい前髪がふわりとそよいだ。

 

 テニスコートのフェンス越しに女子テニス部の練習をぼんやりと眺めながら、雷電は物思いに耽っていた。

 

 

 

 全体的に丸く盛り上がったシルエットの、一見してとんでもないクソデブとしか思えない体躯には、たゆまぬ鍛錬によって形成された筋肉がみっちりと詰まっている。

 

 異常に盛り上がった僧帽筋によって肩と首のラインが埋没し、力士特有の突き出た腹も相まって、その胴体は雪だるまのように間抜けなシルエットを描く。

 

 鍛錬の過程で歯を食いしばりすぎた結果、発達しすぎたエラのラインが顔の輪郭を大きく歪め、大きく下膨れしたじゃがいものような形状になっている。

 

 やや紫がかった鼠色の髪を短く刈り込み、かなり少なめの前髪だけを目立たせるように伸ばした意味不明な髪型が、本人の社会的な信用を著しく減衰させている。

 

 極端に薄い眉毛と、常に周囲を睨みつけているかのような三白眼がもたらす鋭い印象を、

 垢が溜まりすぎて変色したホウ酸団子のような色合いの丸っ鼻が不格好にかき消し、どこかちぐはぐな印象を与えていた。

 

 

 ハンプティダンプティのような巨大肉ダルマに、珍妙な台形の頭部が乗っかった、

 見る者の本能的な危機感を呼び覚ますようなフォルムの中学3年生。

 

 この色々な面で規格外な容姿の巨漢こそが、相撲界期待の力士、雷電真太郎である。

 

 

 

 そんな不審人物が、女子中学生たちの部活動に励む様子を覗いている姿は凄まじい瘴気を放っていたが、

 全国レベルの中学生力士である雷電が校内のちょっとした有名人だったことで、なんとか通報は免れたようだった。

 

 

 その実、彼の広大な顔面には下卑た笑みが浮かんでいる───ことなど一切なく、むしろその表情は憂いを帯びているように見える。

 

(あのストロークの腰の回転、張り手に活かせたり……しないよなぁ…)

 

 まだ周囲には気付かれていないものの、雷電の相撲は完全に伸び悩んでいた。

 完成されたスタイルには改良の余地が見当たらず、ここ最近はあくまで全国進出レベルに留まっている。

 

 

 全国優勝の壁は、あまりにも高かった。

 

 今のままでは、より優れた肉体と技術を備えた全国の強豪相手に勝ち進むビジョンなど全く見えず、根本的になにかを変える必要があるような気がしてきていた。

 

「───来たれ、サッカー部へ!!新入部員募集中でーす!!!」

 

「……ぬおっ」

 

 考えに沈む雷電の耳に、遠くの方からとんでもない声量で勧誘をしていると思しき少年の声が飛び込んできた。

 

(サッカー、か…)

 

 超次元サッカーは、スポーツ界でも特に必殺技の応酬が激しいことで知られる、いわば相撲の対極とも言える競技だった。

 

 

 己の相撲を作り変えるためには、それくらい今までの自分とかけ離れたものに挑戦してみるのも悪くない。

 

 堂々巡りの思考を切り替えるように、汚い鼻からひとつ息を吐くと、雷電は声のする方へとその野太い足を踏み出していった。




ハーメルンに行き着いて数ヶ月、色々と見て回った結果、雷電モノが手つかずだったので、今更ながら初投稿です。
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