イナズマイレブン1・2・3!! 雷電真太郎伝説   作:睾丸Jリーグ

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雷電十三太郎 デブが着けるな!形見のペンダント!

 

 

 

 円堂と染岡が、会田とともに河川敷で奮闘している頃。

 

 

(腹、減ったなあ…)

 

 家の食料をあらかた食い尽くしてしまった雷電は、買い出しに行こうと街を歩いていた。

 

(鍋いっぱいのカレーに、ラーメン、ステーキ。…ハンバーガーもいいなあ)

 

「……む」

 

 そして、超次元な分量の献立に思いを巡らせていた雷電は、

 目線の先にド派手な西欧野菜(アーティチョーク)ヘアーの後ろ姿を見つけた。

 

 

(アイツ……本当にサッカーを辞めたいようには見えなかった)

 

「…よし」

 

 彼の態度にどこか引っかかりを覚えていた雷電は。

 病院に向かって歩いていく豪炎寺の後ろを、のしのしと腹を揺らして着いていくことにした。

 

 

「……」

 

 そして、尾行がバレないようにその大きな体を隠せる場所が中々見つからず、病院に入ったところで豪炎寺を見失った雷電はというと。

 

 

 

「…なに? あの人。あんなにでっかい身体して。お見舞いに来たわけでもなさそうだし……」

 

「あっ! 精算機の方に歩いていった!

…まさか、機械ごとむしゃむしゃ食べちゃうつもりなんじゃ……」

 

ひそひそ、ざわざわ。

 

 病院に似つかわしくない健康的な巨体で周囲を怯えさせつつ、院内を徘徊していた。

 

 

 すると、カラカラと扉を開く音が、左の方から聞こえてきて───

 

「なっ!? お前は……!」

 

 

 こちらを見上げて、驚愕した様子の豪炎寺と目が合った。

 

 

 

§§§

 

 

 

「……入ってくれ」

 

「あ、ああ…」

 

 嫌な記憶(脚立拘束騒動)が頭をよぎりつつ、身をかがめておずおずと病室に入った雷電は。

 ベッドに力なく横たわるおさげの少女を視認した。

 

「……妹の、夕香だ」

 

「これは……」

 

「……もうずっと、眠り続けてる」

 

「ッ!?」

 

 バッと振り向いたその台形の頭部に、豪炎寺は静かに言った。

 

「話すよ。……でなきゃお前、帰らないんだろ?」

 

「……」

 

(いや、別にそんなことはひと言も言ってないんだけど…)

 

 

「……?」

 

 静かな病室に、微妙な空気が流れる。

 

「ッ、ああ! 聞く、聞くとも!!」

 

「……そうか」

 

 特に気にした様子もなく、豪炎寺は眠る彼女の顔をベッドの傍から見下ろしたまま、事の経緯をぽつぽつと語り始めた。

 

 

「…夕香は、去年のフットボールフロンティア決勝の日から、ずっとこうなんだ。

俺たち木戸川清修と、帝国学園の試合でな。

こいつ、決勝を見に行くってずっと楽しみにしてたんだ。

───その日も、『かっこいいシュート決めて、絶対勝たなきゃダメだよッ!』ってさ、笑ってたんだ」

 

「…それで」

 

 静かに先を促す雷電の野太い声に、豪炎寺はそっと目をつぶった。

 

「夕香の笑顔を見たのは、それが最後だった。…スタジアムへと急ぐ夕香に、車が」

 

「───」

 

「事故のことを聞いたのは、試合の直前だった。そのまま病院に向かったよ」

 

「だから、お前は…」

 

「この病院には、親父が勤めているんだ。雷門に転校したのも、その都合だよ」

 

 ギシリ、と軋む音を立てて、豪炎寺がベッド脇の椅子に座り込む。

 

 

「俺がサッカーをやっていなければ、夕香がこんな目に遭うことだってなかった。

それなのに、俺だけがのうのうとサッカーをやるわけにはいかない。

誓ったんだ。彼女が目覚めるまで、サッカーはやらないって。

それが、俺に出来る唯一の償いなんだッ……!!」

 

 そうして両手で顔を覆い、血を吐くような叫び声を上げる豪炎寺に。

 

「───それで、ブランクのせいで下手になったお前のプレーを見て、目覚めた妹さんが喜ぶとでも思ってるのか?」

 

 雷電の静かな声が突き刺さった。

 

 

「ッ!! …お前に、なにがッ……!」

 

「ああ、分からない。だが、想像することはできる。……全国優勝目前まで肉迫した兄の輝かしい才能を、自分の事故で潰してしまった。

彼女がそう思わない保証が、どこにある?」

 

 掴みかかられてもなお冷静な様子で言葉を続ける雷電に、思うところがあったのか豪炎寺は黙り込む。

 

「……」

 

「だから、今のお前にできることは。

───目覚めた彼女に顔向けできないような姿を晒さないために、牙を研ぎ続けることなんじゃないのか?」

 

 

「ッ!! それは……」

 

「明日、尾刈斗中との練習試合がある。……あの10番のユニフォームは、こちらで用意しておく」

 

…待っているぞ、豪炎寺。

 

 そう言って去っていく、雷電の広大な背中を見つめ、豪炎寺は───

 

「……待ってくれ!」

 

「え……」

 

 その極太な腕を取り、数歩ほど引きずられながらもどうにか雷電を止めてみせた。

 

 

「アンタに、これを持っていてほしい」

 

 そう言って豪炎寺が手渡してきたのは、精巧な細工が施された銀のペンダントだった。

 

「む、これは……?」

 

「夕香がくれた、ペンダントだ。……これを、アンタに預けたい」

 

「はァ????」

 

 

 素っ頓狂な声を上げる雷電にも構わず、未だシリアスな空気を保った豪炎寺は更に言い募る。

 

「アンタの言葉で、目が覚めたんだ。オレが勝手にサッカーを辞めちゃいけないってな。

…オレの決意が鈍らないように、この形見のペンダントはアンタに着けていてほしい」

 

「いやいやいや、それは流石に……」

 

「夕香が目を覚ますまででいいんだ!…頼む」

 

「えー…………」

 

 そして、悲愴な表情を浮かべて懇願してくる豪炎寺に根負けした雷電は、形見のペンダントを着けることになり───

 

 

「「……」」

 

 ピンと前に突き出した飾りが、呼吸の度にぴょこぴょこと跳ねる。

 

「…………いや、それでも、アンタに持っていてほし……いや、うん、頼む」

 

「…おい、そんなに無理をしてまでやることなのか……?」

 

 標準サイズのペンダントに対して雷電の首があまりにも太いせいで、

 ギリギリで留まっている細い首輪のような有様となった夕香の形見を見ても。

 

 豪炎寺は、辛うじてその意向を曲げなかった。

 

 

 

「……まあ、それはともかく。───明日の試合、よろしく頼むよ、雷電!」

 

「…! ああ!! こちらこそ!!!」

 

 こうして、豪炎寺が正式に雷門イレブンへと加入することになったのだった。

 

 

 




見知らぬ人から、病院の大きな精算機をむしゃむしゃ食べると思われてしまうバケモノ系男子中学生、雷電
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