イナズマイレブン1・2・3!! 雷電真太郎伝説   作:睾丸Jリーグ

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雷電二太郎 挑め!サッカーバトル!

 思い立った勢いで入部してみるのも悪くないかと思ったが、どうやらウチのサッカー部は廃部の危機にあるようだった。

 

 そもそも部員が11人揃ってすらいないそうだ。

 件の大声少年に直接尋ねるまでもなく、そこら中で噂が飛び交っていた。

 

 なんでも、全国大会で何十年も優勝し続けている、とんでもない強豪校に勝てなければ即廃部という、理不尽極まりない条件をつけられているらしい。

 

 ただ部活をやりたいだけの中学生相手に、なんて酷な条件をつけるのかとも思ったが、

 雷門中では理事長の言うことが絶対らしいし、一生徒にはどうすることもできない。

 

 

 そして、そんな崖っぷちの彼らをからかって遊ぶのが楽しいのか、

 他の部のやつらがサッカー部にサッカーバトルを仕掛けるのが流行っているらしい。

 

 そのルールというのも、ワンゲーム15分でどちらかが1点先取したら即終了。

 そしてなんと言っても、ノーゴールのまま15分が経過すればその時点でサッカー部の負けという、これまた理不尽なものだった。

 

 

 理事長が理事長なら生徒も生徒だ。

 

 今の今まで、相撲にかこつけてこういった煩わしい人間関係とは無縁でいられた環境に感謝しつつ、雷電はこの状況を利用する作戦を思いついた。

 

 

 そういうもの(サッカーバトル)が流行っているなら、サッカーをやってみるのにわざわざ入部する必要などない。

 

 雷電は、相撲部員を誘ってサッカー部にバトルを仕掛けることにした。

 

 

 人並み外れた強靭な肉体を持つ雷電はともかく、それ以外の相撲部員(普通のデブ)たちにとってサッカーによる膝への負担は馬鹿にならないため、連れていく部員選びはそれなりに難航した。

 

 結局、部内でも比較的痩せ型の冷泉(れいぜん)、部内でも一二を争う肥満体なのに何故かやる気に満ち溢れていた大江戸、そしてその彼に引きずられてきた阿後が名乗りを上げてくれた。

 その結果、彼らに雷電を加えた4人でバトルを挑むことになった。

 

 

「他の2人はともかく……悪かったな、お前まで巻き込むことになって」

 

 サッカー部を探して校内を徘徊しながら、雷電は横を歩く冷泉の方に顔を向けた。

 

「…………あぁ、かまわない」

 

 素っ気ない返事だったが、別に嫌々付き合っているわけではないことくらい、それなりに付き合いが長い雷電にはしっかり伝わっている。

 

 ぶっきらぼうな言動のせいで誤解されやすいが、こう見えても冷泉は面倒見がよくて優しいヤツだ。

 こうして、雷電の突拍子もない思いつきにも付き合ってくれるくらいには。

 

 

 それに、これは本人にも直接言ったことはないが、雷電は彼の髪型が自分と同じものなんだと確信していた。

 特にあの前髪の形に関しては、自分のマネをしているに違いないと、随分幸せな勘違いをしている。

 

 実際は生え際の位置や顔の大きさ、そもそもの顔面偏差値など、あらゆるものが違いすぎてあまり似ているとは言えないのだが。

 

 しかし不運なことに、雷電自身は完全にそう思い込んでしまっていた。

 

 ほとんどの人から理解を得られない、雷電こだわりの風変わりな(クソダサい)ヘアスタイル。

 その数少ない理解者として、雷電は彼にある種の親しみを勝手に抱いていた。

 

 

 

 

 そんなことを考えているうちに、オレンジのバンダナを巻いたサッカー部の大声キャプテンが見えてきた。

 

「なあ、君!!!オレたちといっしょにサッカーやらないか!?!?!?」

 

「……いや、来週いきなりあの帝国との試合なんだろ?そんなの絶対出たくないでしょ…」

 

 あの噂の影響か、闇雲に声をかけてはその度にすげなく断られているようだった。

 

 

 話は済んだとばかりにさっさと歩いていく生徒の背中を見つめて、がっくりと肩を落とす彼に、雷電が遠慮がちに声をかけた。

 

「なあ、君。君がサッカー部の……」

 

「!! …ああ!オレ、サッカー部 部長の円堂守!君たち、入部希望か!?!?!?」

 

 ようやくやる気のある生徒に出会えたと思ったのか、円堂は途端に目を輝かせてぐいぐい近づいてくる。

 

「あー、その、入部したいというより───「相撲部でごわす!勝負するでごわす!」

 

「ヌッ!? ……お、おい大江戸、いきなり何を…」

 

「そんな丁寧に説明しなくたって、これでバトルしてくれるって言ってたんスよ!新聞部が!」

 

 いきなり割り込んできた大江戸に、雷電が声を潜めて問いただすと、ヘラヘラ笑いながら能天気な答えが返ってくる。

 

 

「だからってごわすはないだろ、ごわすは…」

 

「いやあ、でっかい先輩たちがこんなゾロゾロ近づいてきたら向こうも萎縮するだろうし、和ませようかなって…」

 

 2人がひそひそやり合っている間、ひと言も発しなかった円堂が、バッと顔を上げた。

 

 

「……ハハ、そうですよね!そんな都合よく新入部員が来てくれるわけないか!

…それじゃあ、他の部員呼んできますんで!」

 

 それだけ言うと、さっさと部室の方へ走っていってしまった。

 

 

「…ほら見ろ、どう見ても空元気だったじゃねえか、オイ」

 

「それは先輩が最初に期待させるような話しかけ方したからでしょ?

最初から『勝負でごわす!』とか言っとけばこんなことには……」

 

「語尾気に入ってんじゃねえよバカ!そもそもそういう問題じゃなさそうだし…」

 

 大江戸と阿後がじゃれ合っている間に、どこからか簡易ゴールが運ばれてきて、開けた場所に設置される。

 

 サッカーバトルが格好の見世物として雷門中に浸透しきった結果、いつどこで誰がサッカー部にバトルを仕掛けてもいいような環境がいつの間にか整っていた。

 

 これでいつでもサッカーバトルを見物できるというわけだ。

 暇を持て余した私立中学生たちの情熱と財力、おそるべし。

 

 

 円堂は、部室から膝から下が異様に細い巨漢(かべやま)片目隠れ青髪ポニテイケメン(かぜまる)強面ピンクヤクザ(そめおか)を連れてやって来た。

 

(あの大柄な生徒、足さえ鍛えればいい力士になりそうだな…)

 

 雷電がサッカーとは全く関係のないことを考えている間に、もう全員が各ポジションに移動し終わっていたようだ。

 

「それじゃあ、よろしくお願いしまーす!」

 

「ああ、よろしく頼む!」

 

「え、あれ?さっきの語尾…」

 

「あっ……よ、よろしく頼む、で、ごわす…」

 

「「「…………」」」

 

(お前ッ、ウチの雷電先輩に、お前ッ!!!!)

 

 ナチュラルに円堂が相撲部の面々へと多大な精神ダメージを与えつつ、15分間のサッカーバトルが始まった。

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