イナズマイレブン1・2・3!! 雷電真太郎伝説   作:睾丸Jリーグ

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雷電四太郎 最悪!頭が悪い策略家!

 

 

 サッカーバトルでの圧倒的な敗北の末、相撲部からサッカー部に移ることを決意した雷電は今───

 

「……むぐがご」

 

 引きちぎられた拘束具の残骸が散乱する病室で、厳重に拘束されていた。

 金属製の何かで雁字搦めにされた上、口元には猿ぐつわが相当キツめに嵌められている。

 

 全く喋れないし、アゴが変な形に固定されてめちゃくちゃ痛い。何かしらの怨念を感じさせる拘束だった。

 

 

 何故こんなことになったのかと言えば。

 

 部室に連れ帰ってからというもの、いつまで経っても高笑いが収まらない雷電に業を煮やした相撲部員たちが、

 雷門中裏手の病院に彼を病人として担ぎ込んだことが原因だった。

 

 もっと言えば、昂っていた感情が落ち着いてきたにもかかわらず、

 一向に止まる気配のない高笑いに雷電自身も怖くなってきてしまったため、病院に連れて行ってもらうように頼んだという経緯もある。

 

 つまり、声がバカでかいくせにエンドレスな高笑いを我慢できなかった雷電の自業自得である。

 

 

 とにかくうるさすぎる異常な高笑いに困り果てた病院側は、とりあえず睡眠麻酔の点滴で眠らせることを雷電に同意させ、

 通常の12倍の量を投与するまで薬の効果が一 切見られなかった雷電に内心怯えながらも、

 逃げ出したくなる気持ちを必死に堪えて処置を続けた。

 

 すると、だんだん眠くなってきて力の加減が分からなくなった雷電が、

 お見舞い用の花瓶を片手で握りつぶして完全な粉末に変えてしまったため、

 これ以上の被害を出さないために四肢を拘束することになった。

 

 

 病院のスタッフよりはよっぽどフィジカルが優れているであろう相撲部員たちが総出で雷電の身体を押さえ込みにかかり、

 汗だくになりながらどうにか括り付けても、拘束具の耐久性をあっさり突破して再び動き始める。

 

 そんな雷電(拘束不可能デブ)の様子を見て我慢の限界に達した阿後が、ヤケクソでどこからか脚立を持ってきて、病床めがけて思い切り投げ込んだ。

 

 すると、振り回される雷電の腕に当たったアルミ合金がぐんにゃりとひしゃげ、

 それが知恵の輪の如く身体にうまく絡みついたことで、ようやく拘束が完了した。

 

 猿ぐつわに関しては、完全に嫌がらせ以外の何物でもない。

 

 自身が愛用する、強力なベルトでアゴに負荷をかける独自のトレーニング器具を流用し、

 雷電の膨れたでっかい顔面を必要以上に締め上げている。

 

 大暴れする雷電に、いくらなんでもムカついた阿後こだわりの仕上がりだった。

 

 

 

 そして、辺りを見回し、状況がだいたい把握出来たところで、

 快眠の甲斐あって見事にコントロールを取り戻した肉体を動かし、雷電は脚立の残骸をあっさりねじ切った。

 

 そしてさっさと立ち上がると、拘束されたままでは絶対に届かないような、

 非常にいやらしい位置に置かれたナースコールを押しに行き、どこかバツが悪そうに看護師が来るのを待つのだった。

 

 

 なお、猿ぐつわだけは病院のスタッフと雷電がどれだけ頑張っても外すことができなかったので、阿後は放課後に呼び出しを食らった。

 

 

 

§§§

 

 

 サッカーバトル直後のクソデカ高笑い騒動で、相撲部以外の生徒全員から完全にヤバいやつ認定された雷電は、

 この好感度が下がりきった状況から、どうやってサッカー部に入れてもらうのかを考えなければならなかった。

 

 雷電が怯える生徒をどうにか宥めて聞き出した情報によると、帝国学園との試合が迫るサッカー部には、新聞部から連日取材に赴く1人の女子生徒がいるらしい。

 

 相撲部員らを使ってその生徒(おとなし)のところまで届くような噂を流させ、彼女伝いに情報を届けることで、

 なんとかサッカー部の方からスカウトしに来てもらうように誘導するほかないだろう。

 

 かなり回りくどい方法だが、現状は確実に怯えられているであろう雷電がサッカー部に直接出向くよりは、余程可能性があるように思えた。

 

「……よし!」

 

 

───ッパァァァンッ!!!!!!!!

 

 銃声のような破裂音が鳴り響くほどの勢いで両手を頬に叩きつけ、自らに気合いを注入すると、雷電は自身の良い噂を広めるべく動き始めた。

 

 

 

§§§

 

 

 

「「「「───雷電先輩は大丈夫な人間です!怖がらないでください!」」」」

 

 雷門中の正門に野太い声が響く。

 

 早朝、登校してくる生徒たちの眼前には、太ましい体を制服に押し込めて、額に汗を光らせながら声を張り上げる相撲部の姿があった。

 

 彼らの手には、何やらチラシのような紙の束が握られている。

 

 

 その内容はと言えば、どうしようもないもので。

 

 まず最初に、紙面上部に記された「雷電真太郎は、サッカーが大好きなだけ!マトモな力士です!」という大きな筆文字が目を引く。

 

 そしてその下には、おそらく慣れない自撮りをしたのであろう、

 若干逆光気味な真顔のじゃがいもフェイスがデカデカと貼り付けられていた。

 

 

 このあまりにもあんまりな雷電お手製の宣伝チラシを、嫌がる相撲部の後輩たちに無理を言って配って回ってもらうことこそ、

 雷電肝煎りの好感度アップ作戦だった。

 

 明らかに言わされている感満載な相撲部のセリフに加え、内容が直接的すぎて見る人の感情に全く訴えかけてこないチラシの組み合わせが、

「後輩を従わせて強引な手段に打って出たパワハラ大男」という印象を与えてしまっている。

 完全に逆効果のネガキャンにしかなっていなかった。

 

 

 また、雷電本人がこの場に来ていないというのもまずかった。

 好感度が低すぎる現状では、「後輩だけに大変な仕事をやらせて自分は涼しい屋内で高みの見物をしているのではないか」という最悪の憶測が立ってしまうのも無理はない。

 

 実のところ、コンビニのプリンターでチラシを印刷しすぎて近場の店舗から軒並み出禁を食らってしまい、

 新しくプリンターを使わせてくれるところを探して、誰よりも汗だくで駆けずり回っていたのだったが。

 

 校内での姿しか見ていない雷門の生徒たちに、そんなことが伝わるはずもなかった。

 

 

 一方で、「流石に自撮りが下手すぎるし、チラシの仕上がりも粗すぎる」というところから、

 あまりにも不器用な雷電に多少の可愛げを見出してくれる生徒がいないこともなかったが、そんなものは焼け石に水でしかないわけで。

 

 

 この惨状を生み出した、作戦と呼ぶのもおこがましいアイデアは完全にクソとしか言いようがない。

 

 生粋の肉体戦士である雷電にとって、作戦立案などという作業は完全に管轄外であった。

 

 

 しかし、自分の奇行のせいでこんな事態に陥っていることへの引け目と、今まで頼れる相撲部主将としてやってきたプライドから、

 作戦会議の時点では協力者を募ることもできず、雷電は最後までたった1人で頭を悩ませることになってしまった。

 

 その結果として、成果が一切期待できない上に、相撲部の仲間たちにストレスを与えるだけでしかないという吐瀉物のような作戦が実行されることになった。

 

 

 その日以来、雷門中の正門では「雷電は大丈夫な人間です!怖がらないでください!」という声と共に、

 校内を回ってじゃがいも広告を配り歩く相撲部の姿がよく見られるようになった。

 

 ノリノリで声を張り上げる大江戸の傍で、大量のチラシの山を持たされている阿後の表情からは、生気という生気が一切感じられなかったという。

 

 

 




いよいよ雷門イレブンが1人も登場しませんでした。
サッカーもしてません。

イナズマイレブンとは思えないほど平均体脂肪率が高いクソ回です。
今後も雷電が各話の体脂肪率底上げに貢献し続けます。
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