イナズマイレブン1・2・3!! 雷電真太郎伝説 作:睾丸Jリーグ
渾身のビラ配り作戦が、単なるネガティブキャンペーンにしかならなかった哀れな
既に帝国学園との試合が翌日にまで迫る中で、未だ雷電はサッカー部に入部することができていなかった。
現状、サッカー部廃部の危機に関して、彼が直接助けになれる可能性は限りなくゼロに近い。
そんな絶望的な状況を前に。
雷電は、全く形になる気配のない次の作戦を頭の片隅でぼんやりと練りつつ、
いつもより心なしか気落ちした様子で女子テニス部の練習を眺めていた。
「───おーい!!!」
すると、思いつきでサッカーを始めることを決意したあの時のように。
サッカー部のキャプテンである、あのバンダナ少年のよく通る大声が聞こえてきたような気がした。
(む? …まぁ、そんなわけないか……)
「なあ! そこの、変なチラシの人!」
(ああ、確かあの時もこんな感じだったな……)
「あ、あれ? 聞こえてないのかな? おーい!!!!」
(サッカー部、どうやったら入れるのかなぁ……)
「すーみーまーせーんー!!!!!」
「…………ムッ!?!?」
「あ、やっと気付いた!」
いくら声をかけても石のように固まって動かない雷電に、
「これってもしかして、
「君は……! 円堂! 円堂じゃないか!!!!」
自分を呼ぶあの声が幻聴ではなかったことに、内心驚きつつも。
「怯えられずに会話するにはどうすればいいのか」と四六時中頭を悩ませていた、その相手の方から友好的に声をかけてきてくれるという、
予想外の事態に舞い上がった雷電は、思わず興奮して円堂の方に大きく詰め寄ってしまった。
「え? あ、ああ。この間のサッカーバトルぶりだな! ごわすの人!」
突然距離を詰めてきた奇妙なデカブツに若干面食らいながらも、明るく声をかけたつもりの円堂。
その口から放たれた、無自覚なカウンターが、心の傷にクリティカルヒットしてしまった雷電は。
彼の頭に巻かれたトレードマークのバンダナを見つめたまま、突然急ブレーキをかけられたかのように動きを止めた。
「…………。
…俺の名前は、雷電だ。次からそう呼んでくれ。
それから、あの喋り方はウチの後輩の悪ふざけなんだ。頼むから、もう忘れてくれ……」
「え、ああ!そうだったのか!
…いや、そうだよな! 流石に現実であんなバカみたいな喋り方する人なんていないよな! ハハハッ!!」
「…………そうだな」
(やっぱりバカみたいだと思われていたぞ、大江戸……)
興奮していたところに先日の黒歴史を掘り返され、冷や水をぶっかけられたような気持ちになった雷電は、一応の落ち着きを取り戻した。
「……それで、一体何の用なんだ? わざわざこんなテニスコートくんだりまでやって来て」
これ以上傷口を抉られる前にと、雷電がさっさと本題に話を戻す。
すると、円堂は屈託のない笑みを浮かべてみせた。
「あーっ! そうだった!
────なあ、雷電! もしよかったら、ウチのサッカー部に入ってくれないか?」
「───ぇ」
まさかの言葉に、一瞬呼吸が詰まる。
「見たんだよ、お前が配らせてた例のチラシ! あんまり意味はわかんなかったけど、とにかく『サッカーが大好き!』って書いてあるのはわかったからさ! だから、どうかなって!」
「それは、願ってもない事だが……しかし、構わないのか? 全校生徒からバケモノ扱いされているオレなんかを…」
「確かに、よく思われてないのは事実だけどさ!
でも───お前だって、サッカー好きなんだろ?」
「───」
「オレは、周りの評判がどうだろうと、やっぱりサッカーが大好きなヤツらと一緒にプレーしたい!」
それより大切なことなんて、ないだろ? と。
こちらの顔を見上げて、太陽のような笑顔を向けてくる円堂を見て、ふと気付かされる。
(……ああ)
自分は、なんて無駄な遠回りをしていたんだろうか、と。
そう独りごちて、雷電は自嘲するような笑みを浮かべた。
「それで、どうかな?」
「───ああ、もちろん答えは決まっている!」
「───!! そ、それじゃあ!」
「改めて、オレは雷電。相撲部3年の雷電真太郎だ。
────これからよろしくたのむぜ、キャプテン!」
そうして円堂とがっしり握手を交わし。
雷電は、ついに念願のサッカー部へと入部することが出来たのだった。
「それじゃあ、さっそく部室に戻って練習だ! サッカー部のみんなにもお前を紹介しなくちゃな!」
「───おう!」
そう言って、あまりにも大きさが違いすぎる顔を互いに見合わせて笑うと、2人は
円堂守は全てを救う。