僕のヒーローアカデミア ~MAN OF STEEL~   作:スルタン

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今回は職場体験先の事務所到着までです


エピソード 13

 

「よし、コスチュームは持ったな、本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするなよ」

 

待ちに待った職場体験当日、A組の生徒達は静岡駅にいた。全員コスチュームのケースを持っている

 

「はーい!!」

 

「伸ばすな『はい』だ芦戸、くれぐれも失礼のないように、じゃあ行け」

 

相澤の号令と共にクラスメイト達は目的地に向かうための新幹線のホームへと行く

 

「飯田くん」

 

緑谷はホームに歩いていく飯田を呼び止める

 

「・・・本当にどうしようもなくなったら、言ってね。友達だろ?」

 

飯田の兄がヒーロー殺しに瀕死の重傷を負わされた事件、ヒーロー殺しステイン、過去に17人のヒーローを殺害、23人が再起不能にした凶悪犯。早退から戻ってきてから何かに駆られている雰囲気を出していた飯田を心配して緑谷が助け舟を出す、その隣で麗日が首を縦に振る

 

「ああ」

 

飯田は振り返りそれだけ言うと踵を返し歩いて行く、飯田が新幹線のホームへと続く改札を通り抜けようとした時、その背中に声が掛かる

 

「飯田君」

 

「おゝとりか、待っていなくていいのか?」

 

振り向くと健が立っていた。飯田の横に立つ

 

「僕が行くところはバスなんだ。それにまだ来てない」

 

「・・・それで俺に何か用か」

 

「君が乗る新幹線の行先は保須市の方・・・飯田君の家族が重傷を負った事は知っているよ」

 

飯田はそれを聞いて表情が険しくなる

 

「ヒーロー殺しを追うんでしょ?」

 

「聞いてどうするんだ、復讐をするなと言いたいのかい」

 

飯田は無表情で健を見るが憎悪と復讐心が僅かに漏れている

 

「いや、僕にそれを止める資格はないし止めるつもりもないよ。君がヒーロー殺しに報復したいなら止めないよ」

 

「・・・」

 

飯田は一瞬目を見開くが視線を外して表情を隠す

 

「君が追う相手は幾人のプロヒーローを屠ってきた手練れ中の手練れ、1人で立ち向かうのは危険だ、返り討ちにでもなれば一番悲しむのは誰か・・・」

 

「・・・わかっている・・・わかっているさ・・・でも」

 

「それでも止まるつもりがないなら覚悟を決めなければならない。君の個性を私怨の為に使う時、ヒーローとしての矜持を捨てる覚悟をね、理性なく振るわれる力は暴力でしかない・・・聞き流してもいい、頭の片隅にでも留めておいて」

 

健はそれだけ言うと踵を返してその場を後にした

 

 

駅からバスで何回か乗り継ぎ、ヒーロー事務所から最寄りバス停を下りそれから徒歩で向かう。書類に示された地図と照らし合わせ指定の場所に着く

 

「此処が指定された場所だな、そして・・・」

 

彼の目の前には鬱蒼と茂る森が広がっている、木の枝や蔦は伸び放題で昼前だというのに薄暗い、地面は太い木の根が張り苔がこびりつくように自生している

 

「この地点から森に入って事務所を目指すように・・・か、方角はこっちで合ってるな」

 

地面に置いていた荷物を背負い森に入っていく。木の根に足を取られないよう進む、木々の騒めきと土と砂を踏みしめる音しか聞こえない、スマホで方角を確認しながら歩く

 

「方向はこれで合っている、このまま・・・」

 

健は言いかけるとピタリと動きを止める、周りから足音と何かが擦れ崩れる音が聞こえる。健は素早く木の影に隠れて覗き込む

 

「・・・」

 

ズシズシと地面を踏みしめる音と共に現れたのは口から猪めいた牙を生やした少なくとも自然界に存在しない怪物であった。目がなく体に木の根が這っている、直に身を隠す

 

(なんだあれは・・・見た所生物には見えないが・・・)

 

健は再度覗き見て左眼の機能で怪物をスキャンする、内容物は土と砂、木の根や植物と結果が出た、生命反応もなし

 

(となるとあれは個性を使って作り出した仮想敵みたいなものか・・・)

 

隠れながら進むかやり過ごすかを思考している内に周囲の物音が増えていく

 

(この数では何れ見つかるな、木々に飛び移って行く方法は・・・無理だな、仕方ない)

 

手早くリュックにケースと取りつけ左眼の画面にナビゲーションを表示させる

 

「卑怯だけど、仕掛けてきたのは向こうだ。これでお相子」

 

健は勢いよく飛び出し最初に見つけた猪の様な怪物に向かって走り出す、怪物も健の存在に気付き襲い掛かる。健は助走をつけて怪物の顎にパンチを叩き込む、顎に拳がめり込みそこから亀裂が入り破裂したと同時にボロボロに崩れ落ちる

 

「こいつの強度自体は大したことはないみたいだ・・・だが向こうもそれに合わせて強化してくるだろう」

 

そう呟いたと同時に肘を立て裏拳を繰り出す、蛇の下半身に人の上半身が合わさったような怪物の顔面に命中しはじけ飛ぶ

 

「気づかれたか、先を急ごう遅れれば先方に迷惑を掛けてしまう」

 

健の周りに多種多様の怪物が現れる、周りも見まわし全部を相手をするのは悪手と判断し、目的地に体を合わせ迎撃と移動に専念することにし走り出す。怪物達も反応し追跡を始めた、所狭しと聳え立つ木々を避け地面を這う太い木の根と蔦を飛び越え目的地を目指す。そこへ数体の怪物が襲い掛かる、四足の怪物が土と石でできた爪を振り下ろして来るのを屈んで躱し腹に拳を振り上げ破壊する、土と砂の塊が四散する中太い腕が伸び健の首を掴む

 

「ぬっ」

 

ゴリラに似た巨体の怪物が健を組み伏せようと力を入れる、脚に力を入れ抵抗し掴んでいる腕に手刀を入れ砕き中段蹴りで胴体を蹴り抜き砕く、次に蟷螂に似た怪物が鎌を振り下ろす。その鎌を掴み引きちぎりその鎌を胸部に突き入れて持ち上げ地面に叩きつける。だが次から次へと出てくる怪物達

 

「これでは埒が開かないな、ならば逃げの一手」

 

消耗を避ける為走り出す、背後から数十体分の音が自身を追い、正面と横から来る怪物は躱したり迎撃する、そうしている内に少しずつ森が明るくなる、かなり遠くに建物が見える

 

「よし、後もう少しっ!?」

 

突然足を引っ張られ転倒する、何事かと思い見ると自身の脚に蔦と根が絡みついている。それが伸びている方向を見ると異様な数になった怪物達の一体が舌を伸ばして捉えていたのだ

 

「しくったなぁ」

 

険しい表情でそう言葉を漏らしながら徐々に引き摺られていく、引きちぎる事もできるがその動作をしている間に追いつかれるだろう。袋叩きにされても押し返す自信はあるが制服とケースと荷物がこれ以上損傷するのは流石に嫌である

 

「・・・仕方がない、アレを使うか」

 

健は立ち上がり引っ張られる足を踏ん張り体勢を整える、右手を腰の所で構えると掌から青白い光の弾が出現し掌を前に繰り出し打ち出す。青白い光弾は一体の怪物に命中し衝撃と風圧が周りにいた怪物を吹き飛ばし一掃する、脚に絡みついていた触手はずり落ちる

 

「今のでまた来られても厄介だ、急いでゴールしよう」

 

踵を返し走る、森を抜け事務所であろう建物の前に辿り着いた、事務所というよりか修学旅行で利用する研修と宿泊施設のようだが

 

「さて、着いたが・・・」

 

言いかけた所で後ろを振り向くと怪物達が勢ぞろいしていた。健は僅かに溜息をつく

 

「えっと、まだテストは続きますかね?」

 

そういうと怪物達は動きを止めボロボロに崩れ落ち元の土くれとなる

 

「へー私の土魔獣を吹き飛ばすなんてやるじゃん、しかも予定よりずっと早い。流石は雄英の生徒ね」

 

建物の屋上から猫を模したメイド服?のコスチュームを着た4人組が現れる

 

「あちきのサーチで見てたけど常に冷静で動揺もしていなかった。とても一年生とは思えなかった!」

 

「ラグドールが認めるなんて珍しいわね」

 

「これは鍛えがいがある。おっと、力試しはこれでおしまいだ」

 

4人は屋上から飛び降りるとそれぞれがポーズをとる

 

『煌めく眼でロックオン!!』

 

『猫の手 手助けやって来る!!』

 

『どこからともなくやって来る・・・』

 

『キュートにキャットにスティンガー!!』

 

『『『『ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!』』』』

 

健を指名したのはヒーロー連盟No.32、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ。山岳救助での活動を得意とするベテランのヒーローチームである

 

「ごめんなさい、貴方を試したかったの」

 

「いえ、此方は選ばれた方であり能力を見る為に試験をするのは当然の事です」

 

マンダレイが先ほどの出来事を詫びて頭を下げる、健は直にそれを制し試験は何も間違っていないことを告げる

 

「冷静で謙虚でいい体付きしてて顔も男らしくていいわね・・・三年後が楽しみじゃない!?」

 

「ごめんねーあちきが言うのもなんだけどラグドールはアレなのよ、適齢期みたいなやつなのね!」

 

ピクシーボブがなんか意味深な事を言っており首を傾げる健にラグドールが説明する、それを理解した健は何も言わず頷いた

 

「ふむふむ、体もできている上に戦闘力も申し分ない。ならば我らから教えることは救助技術をお前に叩き込む事だ!!」

 

虎は健に爪を指しながら指導方針を告げる

 

「わかりました、今日からよろしくお願いします」

 

健はプッシーキャッツのメンバーに頭を下げ師事を請う

 

「ようこそおゝとりくん、今日はゆっくりしていって頂戴。明日から職場体験を始めるから」

 

「はい、お世話になります」

 

マンダレイに案内されて地面に下ろしていた荷物を持ち後に続く、健はふと思い出しマンダレイ達に質問する

 

「所でなぜ僕を指名したのですか?体育祭では結果を残せませんでしたし他に強力な個性を持った人もいたはずですが」

 

その質問に虎が応える

 

「おゝとり、お前は2年程前に起きた山道でのロードローラーとダンプカーの滑落事故で救助活動を行ったな?」

 

「ええ、マスコミも僅かにしか取り上げなかったので今でも地元の人だけしか知らないはずですが」

 

ラグドールが2人の間に体をねじ込ませる

 

「救助活動、尚且つ山岳はあちきらのホーム!そういうのは調べてあるの!」

 

「君の事を知ってたし雄英に入学したって聞いたからね、仮に雄英じゃなくても指名するつもりだったけど」

 

その反対側にいるピクシーボブが応える

 

「君の能力とセンスを見込んで、ね」

 

マンダレイの言葉に納得すると玄関の方で一人の少年が立っていた、誰かの関係者かと思い近づき挨拶をして手を差し出す

 

「僕は今日から此処にお世話になるおゝとり健、宜しく」

 

「・・・」

 

少年はそれに応じる事無く歩いていった

 

「もう洸汰!・・・ごめんなさい、失礼な事しちゃって」

 

マンダレイが頭を下げる

 

「いえ、気にしないでください。所であの子は・・・」

 

「あの子は私の従甥の出水洸汰、わけあって私が引き取って面倒みてるの」

 

「そうですか」

 

健は表情を暗くするマンダレイに健は理由を聞くことなくそれだけ応えた

 

TO BE CONTINUED




次から1,2話程職場体験編を投稿しようと思います
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