僕のヒーローアカデミア ~MAN OF STEEL~ 作:スルタン
派手で過激なサプライズからスタートした強化合宿。プッシーキャッツの手荒い歓迎を切り抜けたA組は夕食を終え1人を除いて入浴に入っている。健は魔獣の森のシゴキを免除された代わりにと食事の後片付けを手伝っている
「・・・」
軽く汚れを落として食洗機に並べては洗浄と乾燥、終わった食器を拭いては元の位置に戻すを繰り返す。文明の利器に感謝である、程なくして作業が終わり調理場から出て台を拭いているラグドールに報告する
「ラグドール、終わりました」
「ありがとね!こっちももうすぐ終わるから次でお風呂に入ってきてね!」
「わかりました」
ラグドールへの報告は終り食堂を出て大部屋に向かう。男子は全員纏めて大部屋で寝泊まりすることになっている。エントランスに入るとそこにはタオルを腰に巻いただけの緑谷とソファーに座っているマンダレイがいる。そして彼女の膝に洸汰が寝ている、何故緑谷が裸でいるかは謎であるが
「緑谷君、どうしたの」
「あ、おゝとりくん。実は・・・」
緑谷から事情を聞くと性欲の権化の二つ名の峰田が浴場の仕切り壁を登って女湯を除こうとしてそれを洸汰が止めたが女子陣に話しかけられた時に女体を見てしまってそれに驚いて壁から落下、緑谷が受け止めたが落下の恐怖で気絶してしまい今に至るという事である
「まぁ・・・峰田君ならやりかねないとは思っていたけど」
「あはは・・・所でおゝとりくんはお風呂は?」
「うん、緑谷君達が上がってからね。自分はアレを受けてないからその代わりにマンダレイ達に手伝い。それが終わったから着替えを取りに行くつもりだったんだ」
「そうなんだ、ごめん呼び止めちゃって」
「それじゃまた後で」
健が部屋に向かう為に廊下を歩きはじめるとなにやら緑谷に話している。聞き耳を立てるのは失礼だろうと思いそのまま歩いて行った
~
A組に続きB組の入浴も終わり、健は露天風呂に浸かっていた。最初は男子陣と一緒に入るつもりだったのだが相澤が急遽変更したのだ。本人としては問題なかったのだが変に疑われると後が面倒だとの事だ、雑用をしたのもそれが理由だ
「・・・なんか気疲れしたな・・・」
健は湯船に浸かりながら呟く、何故かというとピクシーボブが事ある毎に突っかかってくるのだ。健は何とも思ってないのだが無下にするわけにはいかないので気を遣いながらやり過ごしていた為だ
「そろそろ上がるか。明日は明朝5時半から訓練だったな」
腰にタオルを巻いて湯船から上がり出入口に向かうと丁度相澤が入ってきた
「ん、おゝとりか。もう上がるのか」
「はい、明日に備えて休みます」
「わかった、明日から本格的に行くからしっかり休んどけ」
「わかりました、失礼します」
相澤に道を譲り一礼し健は温泉から出る。着替えを済ませ通路を静かに歩く、消灯まで少し時間があるが初日からあんな歓迎だったので皆眠っている
「なんか自分だけズルしたような感じだな・・・兎に角明日からがんばるぞ」
男子陣が起きない様に音を立てずに移動し布団に入る。明日の訓練をほんのちょっぴりの期待を思い眠りについた
~
派手な歓迎から一夜明け早朝5時半。日も上がり切らぬ中施設の前でA組が体操服を着て集合している、欠伸をしたり眠りかけている者や髪が爆発している者や半分寝てる者や平気な者など様々だが
「おはよう諸君、では本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は全員の強化及びそれによる“仮免”の取得だ」
仮免というフレーズに全員が反応する。プロのヒーローになる為に必要な資格、仮ではあるがこれがあるとないとではできる範囲がまったく違う。仮免許があればプロヒーローの許可の元外でも個性が使えるのだ
「具体的になりつつある敵意に立ち向かう為の準備だ。心して臨む様に」
相澤は懐からある物を取り出す
「というわけでだ。爆豪、こいつを投げてみろ」
「これ・・・体力テストの・・・」
相澤が投げ渡した物を爆豪が受け取る。それは入学初日の体力テストで使用したボールである
「前回の入学直後の記録は705.2メートル、どんだけ伸びてるかな」
「おお!成長具合か!」
「この三ヶ月色々濃かったからな!1キロとか行くんじゃねぇの!?」
「いったれバクゴー!」
A組からエールを送られながら爆豪は肩を回しながら位置に着く。多分周りの声は8割聞いていないと思う
「んじゃよっこら・・・」
爆豪が振りかぶる
「くたばれ!!!」
((((・・・くたばれ・・・))))
爆破の衝撃を乗せた投球はどんどん伸びる・・・のはいいが相も変わらずの暴言に全員はもはやつっこむことはなかった。ボールが見えなくなり少しすると相澤の持っている端末に電子音がなる
「709.6メートル」
「「「「!!?」」」」
「あれ・・・?思ったより・・・」
4メートルしか伸びていない意外な記録に周囲がざわつく
「約三ヶ月間様々な経験を経て確かに君らは成長している・・・だがそれはあくまでも精神面や技術面。後は多少の体力的な成長がメインで“個性”そのものは今見た通りでそこまで成長していない、だから―――」
相澤の指摘は当たっている、これまでの訓練では状況を想定しての行動方針や作戦を練るなどの戦略性と戦闘技術などの肉体面と精神面でのみのものだった、個性の訓練は一度もしていない
「今日から君らの“個性”を伸ばす・・・死ぬほどキツイがくれぐれも・・・死なない様にな」
~
「A組はもうやってるぞ、早く行くぞ」
B組の担任ブラドキングが後ろ指で訓練場を差しながら急かす
「前期はA組は色々目立ってたが後期は我々の番だ。いいか?A組ではなく我々だ!」
((((先生・・・!!不甲斐ない教え子でごめん!))))
ここまで何かとA組が注目されておりB組は今も陽の目を見ていない、生徒達もそれを重々理解しており心の中でブラドに謝罪していた
「突然“個性”を伸ばすと言っても・・・20名20通りの“個性があるし・・・何をどう伸ばすのかわからないんスけど・・・」
「具体性が欲しいな!!」
確かに個性という特殊な異能は千差万別で方式も種類も用途もバラバラの能力をどうやって伸ばすのか。ましてや個性を強化するという名目すらも彼らには新鮮に聞こえ戸惑うのも仕方がないだろう
「筋繊維は酷使することにより壊れ・・・強く太くなる個性も同じだ、使い続ければ強くなりでなければ衰える!即ちやるべきことは一つ!限界突破だ!!」
訓練場に着いたB組の眼前には異様な光景が広がっていた。爆豪は湯に両手を突っ込み、轟はドラム缶風呂に入り、瀬呂は両肘から良くない音をだしながらテープを吐き出し続け砂籐と八百万は菓子とジュースを飲みながら筋トレと創造を、尾白は尻尾で硬化した切島を殴り、峰田は頭から血を流しながらも狂ったようにぎもぎを千切り続け麗日はウォーターボールで坂を転がり洞窟からは常闇の悲鳴が響く
「なんだこの地獄絵図・・・!!」
「もはやかわいがりですな」
上鳴は発動機のコードを掴みながら放電を続け青山は顔面蒼白で腹を震えさせながらネビルレーザーを出し続け蛙吹は険しい岩山を連続で登り障子は複製した目と耳で葉隠を探す
「許容上限のある発動型は上限の底上げ。異形型・その他複合型は個性に由来する器官、部位の更なる鍛錬・・・通常であれば肉体の成長に合わせて行うが・・・」
「まぁ時間がないんでな、B組も早くしろ」
悲鳴と叫びが響く中相澤がやってくる
「しかし私達も入ると41人だよ。そんな人数の個性たった6名で管理できるの?」
「だから彼女らだ」
「そうなのあちきら四位一体!」
「煌めく眼でロックオン!!」
「猫の手手助けやってくる!!」
「どこからともなくやって来る・・・」
「キュートでキャットのスティンガー!!
「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!」」」」
プッシーキャッツのメンバーが前口上と共にポーズをとってB組の前に登場した
~
A組に続きB組が地獄の訓練に突入したその頃、健は森の上空を飛行していた。何故かというと少し前
「おゝとり、お前に課す訓練だが。体育祭で空飛んだな」
「はい。長くは飛べませんが」
「そのようだな、ならその飛行時間を伸ばせ。自己鍛錬になるから通信機を渡しておくから何かあったら連絡しろ」
その様に相澤から言われ飛んでは降り、又飛んでは降りての繰り返しである。1時間程が経ち健は森の開けた一角に降り立つ
「ふぅ・・・やっぱり飛ぶのは大変だな、体力と集中力をかなり使う」
少し息を切らしながら呟いていると後方からなにかの気配を察知する。振り向くと着物に托鉢衣を纏い網代笠で顔を隠し、その手には錫杖を持っている1人の男性が立っていた。だがその男性から発せられるただならぬ気配に健は直気づき素早く走りより男性の前で両膝を着き頭を下げる
「お久しぶりにございます」
「健よ」
彼の名を呼んだ男性は笠を取り素顔を見せる。威厳と厳しさを感じさせる表情と獅子を思わせる視線が健に向けられる
「あの空間の修行以来だな」
健の師にしておゝとりと云う苗字を与えた男、おゝとりゲン。そして赤き獅子ウルトラマンレオその人だった
TO BE CONTINUED
次は戦闘を入れてその次にヴィラン襲撃に入る予定です