僕のヒーローアカデミア ~MAN OF STEEL~   作:スルタン

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期間が空いてしまい申し訳ありません、今回も短めで林間合宿は今回で終了します


エピソード24

 

ヴィランの個性により磁石の如くはね跳んだ健、だがこのまま飛ばされるわけには行かないので意識を集中し徐々に減速し完全に制止する。

 

「かなり飛ばされたな。急いで戻らなければ・・・ん?」

 

高度が高かったこと幸いし周囲を一望する事が出来る。だがその景色は全くの非日常に映った

 

「これは・・・ヴィラン側は統率して動いている」

 

その時マンダレイの声が頭の中で響く

 

皆!!ヴィラン二名襲来!他にも複数いる可能性アリ!!動ける者は直ちに施設へ!会敵しても決して交戦せずに撤退を!!

 

肝試しが行われている森は靄で溢れかえり。切島達が連行された宿泊施設では青い炎が立ち上る。合宿の予定をはじめから知っていたような用意周到さだ

 

「この様子を見る限り奴らは数日前から潜伏していたのかもしれない。情報面では完全にこっちが不利」

 

健は左眼のセンサーを起動し周囲の状況を素早く確認する。視界内に映る赤いマークがひっきりなしに動いている、クラスメイト達もこの状況に困惑しつつもUSJでの経験が活きており。パニックになっている様子は見られない、マンダレイの指示に従いそのまま戻るか救援に向かうかを思案していると肝試しに使うコースの最奥部、札が配置されている場所に二つの赤い点が表示される

 

「あそこは・・・コースの中間地点だったな。誰だ?」

 

健がそう呟いた時表示が更新されて丸い点が人の形に変わる、形から見てラグドールだが様子がおかしい。そしてもう一つの反応に健は目を細める

 

「これは、拙い・・・!」

 

健は直様ラグドールのいる場所に向かって飛び始める。クラスメイト達の元へ向かうという判断もあったのであろうが選び直す時間はもうなかった。その場所に近づくにつれ肉眼でも様子を確認できた、USJで遭遇した脳無と同じタイプのヴィランが頭部から出血して倒れているラグドールに近づいてきている。違いは複数の腕を生やし尚且つそこからチェーンソーやドリルやハンマーなどの多種多様な凶器がそこから生えている事だが。並のヒーローなら戦うのに躊躇するであろうが。健は迷うことなく飛行の速度を乗せた体当たりで脳無を突き飛ばす

 

「ネホヒャン!?」

 

訳の分からない奇声を上げた脳無がドリルを地面に突き立て勢いを殺す。距離が開いたのを確認した健がラグドールの上半身を起こす

 

「ラグドール、大丈夫ですか!?」

 

ハンマーで殴られたのであろう頭部から出血を起こし目は半開きで健の声に応えないが息はしている

 

(生きている・・・良かった。だが妙だな・・・襲撃なら態々生かしておく必要はないはず)

 

健がそう思考していると脳無が武器を振り回しながら接近してくる。素早くラグドールを寝かせ立ち上がり脳無と相対する

 

(交戦はするなと言われたがこの状況では・・・助けが来るまで時間を稼げるか)

 

腰を落とし右手を前方に出し左手を顔の横で垂直立てる。拳ではなく開手、健のもう一人に師と同じ構えを取る

 

「ネホヒャン!!」

 

脳無がチェーンソーを振り下ろす瞬間健は回避するのではなく脳無の懐へ踏み込み腹部に両手を押し込む。重心を活かした押し込みで脳無が大きく後退する、ダメージがないため脳無は攻撃と判断せずすかさず飛び掛かりハンマーを横に振りかぶる

 

「ふんっ!」

 

流れるような動作でハンマーと同じ速度で瞬間的に横に移動し躱すと同時にそれを掴み、相手の力を利用して自身を軸に回転し脳無を半回転振り回し投げ飛ばす

 

「ヒャン!?」

 

脳無は何故自分が投げ飛ばされたのか理解できないまま地面にぶつかる。攻撃が当たらないことによる苛立ちか与えられた指令を遂行できないことへの焦りか、立ち上がり真っ直ぐに健に向かって行く。だがその攻撃はどれも単調で大振りになる

 

(動きが単調になった、これなら対処するのは楽だ)

 

チェーンソーの薙ぎ払いや振り下ろしは紙一重で躱し、高速回転するドリルは軸が重ならない様に動き。ハンマーの叩き込みは横方向から裏拳で弾く、そして隙ができた瞬間に体当たりや押し込みで距離を離す。時折衝突音が響いたが時間稼ぎに集中しており気にしていなかった

 

(まだか・・・このままではラグドールが危ない)

 

この戦闘が何分続いたか数えていないが未だに救援が来る気配がない。なにより負傷しているラグドールの容態が気がかりだった

 

「こうなったらやるか・・・?」

 

これ以上の時間稼ぎを悪手と考える健がそう呟いた瞬間倒れているラグドールの方から聞き覚えのある声が響くと同時に左眼のナビが背面の反応を表示する

 

「困るなぁ、その脳無だってタダじゃないんだぜ?」

 

「!!」

 

健は咄嗟に振り返ると其処には黒いスーツを着た、木椰区のショッピングモールで出会ったオールマイトのファンと名乗る男性がいた。中折れ帽を目深に被り口元には黒いマスクを嵌めている

 

「貴方は、木椰区のショッピングモールの」

 

「覚えていてくれて嬉しいよ。とは言っても再会を喜ぶ様な関係じゃないのが残念だ」

 

男性は足元に倒れているラグドールに近づく、健が動こうとした瞬間

 

「おっと、動かない方が身のためだよヒーローの卵くん。手元が狂ってこのヒーローの体をバラバラにしてしまうかもしれないよ?」

 

「・・・」

 

ラグドールの首を掴み持ち上げながら警告する男性に健が問う

 

「ラグドールをどうするつもりですか?」

 

「彼女の個性に用があるのさ。その個性は僕の計画にどうしても必要でね、手荒な真似だが仕方ない」

 

男性の背後からUSJでみたワームホールが出現しそこにラグドールを押し込むとワームホールが消える、男性が健の方へ向き直る

 

「さて・・・用は済んだ。だけどこのまま帰るのは何かと勿体無い、此処で君だけでも再起不能にしておこうか。本当は君ともっと話をしたかったんだけどね」

 

声色が変わらずとも雰囲気が変わり、健は僅かに目を細め身構えた瞬間

 

「ネホヒャァァン!!!」

 

背後から脳無が叫びと共に健に飛び掛かる、振り返り迎撃しようとした瞬間背中に衝撃と痛みが走る

 

「ぬっ・・・!?」

 

首だけ動かすと背中と後ろ太ももに赤い線が走った稲妻の形に変形した触手が男性の指から伸びていた

 

「挟み撃ち、僕はヴィランだからね。卑怯だなんて言うのは無しだよ?」

 

思わぬ攻撃で一瞬動きの止まった健の頬に脳無のハンマーがめり込む

 

「ぐあっ!」

 

よろけた健に男性が腕を動かし宙に浮かし叩きつける。俯せに倒れた健に脳無が襲い掛かりドリルを健の両手の甲を地面毎突き刺し動きを封じる

 

「・・・!」

 

僅かに顔を歪めるが直に抜け出そうと血が溢れだす手を動かすが頭部にハンマーをがむしゃらに叩き込まれる、数十発叩き込み水音が混じり始めた所で男性が手を上げ脳無を止める

 

「ほう、これだけやっても生きているなんてすごいじゃないか!常人ならとっくに死んでいるのに・・・強いんだね君は。生命力はオールマイト以上かな?」

 

脳無が健の頭を掴み顔を上げさせる。音も上げず男性を睨みつける健

 

「これも個性の力なのかな?であればぜひとも欲しいなぁ。僕のこの体も少しはマシになるか」

 

男性が手を伸ばし健の顔を掴む、だがその瞬間男性がぴくりと動き直に手を離す

 

「・・・まさか君は・・・はっは!!あの雄英が!天下の雄英が!!無個性の人間を入れたと言うのか!ハッーーーハッハッハッーーー!!!これは傑作だ!!」

 

男性は高笑いをしながら天を見上げ、落ち着いたと同時に健を見下ろす

 

「君はどこまでも僕を楽しませてくれる、そのお礼としてもなんだが。これを上げよう」

 

男性は懐から一本の注射器を取り出す

 

「これはもしも個性持ちが抵抗して止む無く処理する時に確実に息の根を止める為の毒薬、話では世界中の即死級の動物や植物の毒を配合したものだそうだよ?使うのは君が初めてだよ。何せ今までそんな奴はいなかったからね」

 

男性が健の顔を再び掴み首に針を突き立て親指で押し込み毒を打ち込む

 

「ぐぅぅっ・・・!」

 

健が毒の影響で苦しみ始めると同時に男性が立ちあがり中折れ帽を取る、口だけののっぺらぼうの顔が現れる

 

「少し早いが自己紹介させてもらうよ、僕は『オール・フォー・ワン』。君達ヒーローに立ちふさがる巨悪さ」

 

オール・フォー・ワンが手を軽く振ると脳無が突き刺していたドリルを抜き代わりにチェーンソーを健の後ろの両脇腹に突き刺し持ち上げる

 

「ぐっ!」

 

「じゃあ僕は此処で退散させてもらうよ、時間が惜しいからね。そしてさようなら」

 

オール・フォー・ワンがワームホールに入り消えて行くと脳無がチェーンソーを回転させ血肉をまき散らす

 

「っ~~~~!!」

 

激痛の内に刃が両脇腹を貫通したと同時に荒々しく投げ捨てられる健、樹木にぶつかり地面に倒れるがダメージと毒の作用で立ち上がることができない、息がうまくできず視野も狭く聴覚にも影響が出ている、吐き気と内臓と肉体の激痛に襲われ左眼からは毒素の表示と身体機能の警告で埋め尽くされている

 

(駄目だ・・・動けない・・・だが何故?耐性があるはずなのに・・・)

 

狭まる視野に映る脳無が森に入っていく、クラスメイト達を襲う気だろう。それを止めようと手を伸ばすが意識を失い地面に落ちた

 

 

それから暫く、緑谷達の抵抗も虚しく雄英側は甚大な被害を被る。ヴィランのガスにより意識不明による重体者15名、重軽傷者12名、無傷の者は13名、そして行方不明者1名、ピクシーボブは頭部の負傷による重体、ラグドールは多量の血痕を残し行方不明、ヴィラン側は緑谷達の活躍により3名を確保、だが結果として雄英史上最悪の結果で合宿は終了することになった

 

TO BE CONTINUED




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