僕のヒーローアカデミア ~MAN OF STEEL~   作:スルタン

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神野事件のその後とできれば次の寮に入る所まで行ければと思います


エピソード30

 

神野事件と庵木総合病院での騒動が終息して一夜明け更に数日、健は長野から雄英のある静岡の総合病院へと転院した。庵木総合病院は著しい損壊の為の措置である。四人部屋ではあるが健以外誰も居らず実質個室だ

 

「・・・」

 

包帯と医療用テープと縫合痕だらけの体と手を見やった後窓の外へ顔を向ける。あの後知った事だが神野区でオールマイトとAFOが戦闘を行いそれに勝利したが無理が祟って個性がなくなったとの事だった。テレビやSNS、ネットではその事で大盛り上がりだ。爆豪も救出されたらしい

 

「爆豪君を救出したのは緑谷君達か・・・まあ、自分も同じようなものか」

 

学校からの指示に背いてあの行動をしたことは容易に想像できる。本来であれば決して許されない行為であるが自身も薄っぺらい言い訳を立てて事態に対処したため何も言えない。そんな事を考え窓際のテーブルに置いてある鏡に写る自身の顔を見る。顔面は縫合糸とテープでほぼ覆われ頭部や首はそれに加えて医療用のステイプラーの綴り針が無数に光を反射している

 

「・・・酷い顔だな」

 

ボソリと呟いたその時病室の扉が開く、看護師が顔を覗かせる

 

「おゝとりさん。雄英の先生方が来ましたよ」

 

それと同時に相澤が姿を現す、看護師に頭を軽く下げた後病室に入る

 

「体は大丈夫かおゝとり・・・とそんな状態で言うもんじゃないな」

 

「相澤先生、態々ご足労頂かなくても」

 

寝台から出ようとするがそれを手で制する、健が起きるのを止めるうちに相澤が傍まで近づく

 

「医師から暫くは安静と聞いている・・・まぁ本来なら安静どころじゃないんだがな」

 

「ご心配をお掛けして申し訳ありません」

 

「長野の病院でのヴィランの襲撃、すまん、神野区の事件でそっちの情報を把握するのが遅くなっちまった」

 

頭を下げる健に相澤が謝罪する。オールマイトとAFOのヒーローとヴィランのトップの両者の激突と来れば報道機関がそちらに集中するのは当然だ

 

「致し方ありません。平和の象徴と悪の象徴の対決、一方は病院のヴィラン襲撃、注目度が段違いです」

 

「世間一般からみれば前者に注目するのは当然だな、言いたくはないが」

 

「そういうものです。メディアも商売ですから」

 

健の僅かな諦めを含めた言動に相澤は本題に入る

 

「さて、話は変わるが・・・お前、交戦指示が解除されてるのわかっててやり合っただろ」

 

「意識を失っていて直接は聞いていない・・・では駄目ですか?」

 

「駄目に決まってるだろ・・・ったく」

 

苦し紛れの言い訳に相澤が頭を掻きながら応える

 

「本来なら謹慎、悪くて除籍処分なんだが・・・状況が状況だった事も考慮して、今回だけは処分はなしにしてやる。今回だけな」

 

「ありがとうございます」

 

健は寛大な措置をしてくれた相澤に頭を下げ感謝する

 

「お前が救けた人達からの嘆願もあったし、無下にするわけにもいかん」

 

懐から幾つかの封筒を取り出し差し出す

 

「礼の手紙だとさ、取り敢えずこっちからの知らせがあるまではここで安静にしていろ。いいな」

 

「わかりました」

 

封筒を受け取り返事をしたところを確認し病室の出口へ歩き出す。開いた扉の前で立ち止まり健の方へ顔を向ける

 

「何かあればお前のスマホに連絡、若しくはこっちに来るからその心算でな」

 

「はい」

 

それを最後に病室を出て行ったのを見届けた後複数の封筒に目を移す。病院や入院患者とその家族からのようだ。封を開けようとした時、扉の方からノック音が響く。開けかけた封を戻し顔をそちらに向けると上肢固定帯で右腕を吊った頬の扱けた骸骨のような男性が立っていた。髪型と雰囲気で健はその人物が誰かが直にわかった

 

「オールマイトですか?」

 

「よく・・・わかったね。驚いたかい」

 

まさか初見で当てられるとは思っていなかったのか若干の驚きと共に近づいてくる

 

「なんとなく、雰囲気で」

 

「そっちも大変だったと聞いているよ。すまない、情報が来たのが全て終わった後だったから対応が遅れてしまった」

 

頭を下げようとしたオールマイトを健が素早く制する

 

「いえ、此方も学校の指示を無視して行動した以上責任があります。本来であれば除籍処分にされてもおかしくない程の行動をしたのですから」

 

「教師の立場から言うとこんなことはしてほしくなかった。けれど何もしなければもっと大勢の人が犠牲になっていた。元ヒーローとして言わせてもらえば、よく頑張ったと言わせてもらうよ」

 

教師として、ヒーローとしての双方の複雑な気持ちではあるが精一杯の称賛を健に送る。数秒何かに躊躇していたオールマイトが続ける

 

「もしかしなくもないが、君は林間学校の時にオールフォーワンと遭遇していたんだね?」

 

「ええ、木椰子区のショッピングモールで会った時と同じ服装と雰囲気が一緒でしたから。向こうから名乗りました」

 

「そうか・・・私がやつを倒して連行しようとした時に意味深な事を言っていたからね」

 

「その言い方ですと自分の事ですね」

 

オールマイトは苦い表情をしながらその時の事を思い出す。朝日が昇りその光が瓦礫を照らす中拘束具を付けられ連行されるAFO。ふと立ち止まり首を横に回す

 

「いやぁ、今回は僕の負けだオールマイト。全てを出し切っての一撃実に見事だったよ?」

 

「黙れオールフォーワン。貴様の悪事はここまでだ。刑務所で大人しくしておくんだな」

 

「ははは、そうだねぇ・・・暫くは大人しくしておこう」

 

含みのある言い方にオールマイトが表情を厳しくする

 

「あぁ、こんな事言うのも今更なんだけど、オールマイト。彼は元気かな?」

 

「・・・何の事だ」

 

「えっと、誰だったか・・・確か体育祭で脱落した君の教え子だったなぁ」

 

「っ!!彼に何をした!?」

 

その言動で察し問いただそうとオールフォーワンに詰め寄ろうとするも疲労困憊でふらつく

 

「無理はするものじゃあないよオールマイト。ちょっとした贈り物をね?したんだよ。今頃どうなってるかな・・・」

 

「オールマイト!」

 

そこに塚内が瓦礫を避けながら走り寄る

 

「長野の病院!正確にはその街にヴィランが襲来したとの情報だ!我々がアジトを襲撃からそう時間も経たずに!」

 

「なんだって!?・・・貴様!!」

 

オールマイトがAFOに向き直るが既に本人は頑丈なヴィラン専用の檻に入っている

 

「でもねオールマイト、ぼくの予想では彼が君達の云う苦難を跳ねのけていると思っているんだ」

 

「貴様に彼の何がわかる!」

 

「わかるというか・・・予感かな?」

 

それを最後にAFOを乗せた車両が走って行った。オールマイトは咳き込みながらも塚内に確認する

 

「塚内くん!状況は!」

 

「落ち着いて聞いてくれ、どうやらオールフォーワンの予想は当たっていた・・・USJで遭遇した同タイプの十数体のヴィランが街を襲ったが現地のプロヒーローが応戦、大半が無力化したが数体を残して全滅。だがそれも彼が撃退したとの事だ」

 

「っ・・・こうしてはいられない・・・私もっ・・・!!」

 

現地に向かおうとするも大きく咳き込み背を丸めるオールマイトを塚内が支える

 

「そんな体じゃもう無理だ!エンデヴァー!」

 

「言われなくても分かっている!ホークスにも連絡を取る!エッジショット!」

 

「応!」

 

エンデヴァーはエッジショットを伴い長野に向かう準備を始めた

 

「そんな事が・・・」

 

「最初は我が耳を疑ったよ。塚内くんの報告を聞いた時はね」

 

健はオールマイトの話を聞いて僅かに溜息をつく

 

「何から何までお見通しという奴さ、悔しいが奴に踊らされていたのは確かだった」

 

数秒も間が空き健が話題を変える

 

「所で、なぜ相澤先生が出て行った後に入られたのですか?」

 

「いや、私も絶対安静と言われててね。見つかると何言われるか・・・」

 

「・・・」

 

その後暫く会話をした後オールマイトは自室にこっそりと戻っていった。それを見送りふと机の上に置いてある自身のスマホに目をやると画面が灯っておりにそこには通知の知らせが表示されていた。手にとり確認すると健は僅かに目を細める

 

「皆・・・」

 

そこには職場の親方とA組と中学のクラスメイト達の名前があった。ベットから起き上がり同じ階のラウンジへと向かった

 

 

それから暫くして、学校から相澤と一足先に退院したオールマイトが健の見舞いと一つの知らせを持ってやってきた。病室ではなくて食堂のテーブルを挟んでいる、完食した料理の皿が大量に積まれている

 

「・・・というわけで、今後のヴィランに対する対策として夏休み明けから全寮制にしようって計画だ。お前はどうする」

 

健は相澤から差し出された一枚の用紙を手に取り内容を確認したあと顔を上げる。包帯も取れ縫合箇所も幾分か減っている

 

「此方としては全く構いません、今までの出来事を見れば生徒が散らばっている状況は却ってよくありませんし」

 

「すまない、本来であればこんな事を聞くのは失礼になるんだがね・・・」

 

「いえ、形式である以上仕方ありません」

 

両親や身内に了承をもらうのが当然だが彼にはいない、半場強制な形になってしまった事にオールマイトと相澤が頭を下げる。健は直に制する

 

「生徒が暮らす寮は雄英の敷地内でセキュリティも万全にするからそこは安心してくれ」

 

「もちろん生活面も心配しなくていいからね」

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

健が了承したのと同時に料理が運ばれてくる

 

「話は済んだかな?」

 

色黒に黒髪を辮髪に編んだ筋骨隆々の中国人の男性が話しかける

 

「すいません、邪魔をしてしまいまして」

 

「ご遠慮なさらず、もしよければ私の料理を食べて行ってください」

 

「そこまでお世話になるわけには・・・」

 

相澤が遠慮するが男性は続ける

 

「実は食材を多めに持ってきてしまいましてね、持ち帰るわけにもいきませんから」

 

「相澤くん、ここは好意に甘えよう。全員回ったし後は学校に戻るだけだから」

 

「・・・そうですね。御馳走になります」

 

それからオールマイトと相澤は男性から振舞われた薬膳料理を堪能した。健は大量の料理を平らげデザートに40リットルの砂糖水を飲み干し二人はかなり引いていた。因みにオールマイトは食事の後幾分か調子が良くなったらしい

 

TO BE CONTINUED




もう少し話を進めたかったのですが年末用事がありましてここまでしか書けませんでした。来年からはできるだけ投稿できるよう頑張ります
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