今回で空手部の世界編はおわりです!!
気がつけば日は落ちていた。
目を覚ましたYMNは、ぼんやりした頭で、外に出てみることにした。
しかし外は彼女の知っている世界ではなかった。本当に夢で見たような光景が日常に溶け込んでいたのだ。
「これは……えぇ……」
YMNは途方に暮れる。
しかしいつまでもそうしているわけにもいかないので、ひとまず街を見て回ることにした。
「お、おい見ろよ! あれって……」
「ああ……間違いない」
道行く人達は、街中を動き回るいんじゅうくん達をなんとか写真に収めようとスマホを片手に目で追いかけている。
「ここは淫夢の破滅が進んだ世界だ」
突然背後から声が聞こえた。
「誰……!?」
「僕は多田野数人。世界の放浪者、そして……打倒野獣、淫夢を救う者だ」
多田野と名乗る人物は、YMNにそう名乗った。
「君は、どうしてこの世界に……?」
YMNは夢で見た事の経緯を話した。
「なるほど……それは大変だったね……」
多田野は同情するように言った。
「でも安心してほしい。僕はこの世界を救うために戦っている。どうだい? 君も一緒に」
YMNは迷ったが、とりあえずこの世界でどうするべきかもわからなかったため、多田野に同行することにした。
真夏の夜のトゥルーエンド
第4話<インムライドの力>
コージとの戦いに敗れ、しばらくの間眠っていた田所は、身体が思うように動かず、その場で立ち尽くしていた。
「ウッソだろお前」
突然見知らぬ男の声が聞こえた。
「……誰だ」
「ウッス!俺拓也ッス!」
「拓也?どこかで……」
「ウッス!多分その拓也ッス!あなたと同じく淫夢で有名になったので!それより君は田所浩二さんッスよね?」
「田所だ」
「やっぱり田所さんッスね!」
「……俺をどうするつもりだ。殺すか?」
「いや、殺さないッスよ」
「……はぁ?」
予想外の返答に拍子抜けする。すると拓也は、頭を掻きながらこう言った。
「なんかよくわかんないッスけど、俺も淫夢の破滅とやらを止めるために世界を転々としようとしたんスけど、この世界から一歩も出れないんスよ……」
「……なぜだ?」
「それが……よくわかんないッス……」
拓也は突然、頭を抱えながらその場にうずくまった。そしてしばらく黙り込んだ後、再びしゃべり始めた。
「とにかくこの世界から出られないんス!だから協力してほしいッス!田所さん!」
拓也は田所に手を合わせて懇願した。
淫夢を滅ぼす、か。
一体この男は何を考えているのか、田所は拓也の思考を測りかねた。
だがこの状況下では、拓也を頼る他ないのも事実だった。
「しょうがねぇなぁ……手伝ってやるか」
「ありがとナス!!」
すると拓也は田所に手を差し伸べた。田所はその手を握りしめた。
「よろしく頼むぜ!拓也」
⭐︎⭐︎⭐︎
コージは木村と三浦を庭に引きずると、カードを取り出した。
「こりゃでかい収穫だ」
なんとコージの取り出したカードに木村が吸い込まれてしまったのだ。
もう一枚取り出すと、同じように三浦も吸い込まれてしまう。
「空手部セット、あとはあいつなんだけどなぁ……」
コージはとある場所に向かって歩き出した。
「おい、どこにいくんだ」
師範が呼び止める。
「お!師範!!!!……秋吉くん」
コージはそう言うと、また歩き出した。
「おいこら! まだ話は終わってないぞ!」
「お前もなりたいのか?ならせてやるよ」
コージは師範の方にカードを向けると師範も吸い込まれてしまった。
「あっけな!あっはっはっは」
笑い出すコージ。
「あ、おい待てい!!」
「あいつは淫夢の破壊者ッス!」
田所と拓也が駆けつけた。
「おい、お前……何してんだよ」
田所が詰め寄る。
しかしコージは余裕の表情で答えた。
「君たちもカードになりに来たんだね」
「な訳あるか!」
「なら無理矢理にでもならせてやるよ」
コージが手を前に差し出すと、背後からオーロラのような模様の入ったホログラム製のカーテンが現れた。
「なんだあれは!」
田所が動揺していると拓也はそれについて説明した。
「あれはオーロラカーテンッス!移動にも使えるし、召喚にも使える厄介者ッス!」
コージは田所をオーロラカーテンで拘束した。
「な、なんだこれは!おい!離せ!」
「これで終わらせてやるよ」
先程の3枚のカードを取りだしたコージだったが、カードたちは真っ白になっており、何も無い状態になっていた。
「はっ!今だ!」
拓也がカーテン越しのコージに向けて蹴りを放った。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
蹴りが同時にコージに直撃し、コージは壁に激突してしまい、3枚のカードを手から放してしまった。
そして田所を取り巻くカーテンは消滅した。
「ウッソだろ……痛っ……てぇ……」
なんと拓也の下半身は上半身に比べトレーニングすらさておらず、貧弱だったのだ。
「田所さん!!俺……動けそうにないっス……代わりにこれを!!」
コージが落としたカードを拾うと、拓也は田所にカードを投げ渡した。
「えっ……俺?」
「そのカードに封印されてる彼らはきっと君を信じてるッス!!」
「でも……」
動揺する田所に拓也は立て続けに話す。
「君が本当に田所浩二なら、きっとあの技が使えるはずッス!!」
「わっ、技!?」
「そう!技ッス!!」
起き上がったコージはすかさず拓也に蹴りを入れる。
「拓也!!」
「俺は大丈夫ッス!!早く!!カードに力を込めて!!インムライドをするッス!!」
「……わかった」
覚悟を決めた表情で田所は3枚カードを握りしめると、3枚のカードは輝きとともに色を取り戻した。
田所は1番先頭にあった木村のカードを取り出すと2枚をポケットにしまった。
「なぁ、木村、俺の事、信じてくれるか?」
田所が呟くと、聞こえないはずの声が聞こえた。
「なんで信じない必要があるんですか」
確かに木村の声だった。
「……行くぞ、木村」
「田所さん!!インムライドッス!インムライド!!」
構わず近づくコージを前に、田所は決意を固めた。
「インムライド!!」
その瞬間、田所の体が輝き、瞬く間に田所の体が木村になったのだ。
「木村……えっ……」
「田所さん!!成功ッス!!」
「えっ……ど、どうなって……」
戸惑う田所にコージは説明を始めた。
「インムライドはカードに封印されは淫夢ファミリーに変身する事のできる技ッス!」
「ま、マジかよ!!」
驚きながらも嬉しそうにする田所だったが、拓也がなんとか体を起こすと、目の前にいたコージが蹴り飛ばした。
「ぐわぁぁ!!」
蹴り飛ばされた拓也は壁に激突し、そのまま地面に倒れた。
「拓也……今戦線復帰だ!!」
木村と化した田所はコージを睨みつけると、一気に距離を詰めた。
「はぁぁ!!」
田所は素早い動きでコージを翻弄した。
「ぐっ……くっそ!」
「さぁ!このまま決めるぞ!」
田所は木村のカードに願いを込める
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
高くとびあがった田所はコージに向かって無数のナイフを投げた。
「ぐわぁぁ!!」
コージは無数のナイフを喰らい、倒れた。
「拓也!!大丈夫か!?」
木村の声で拓也に話しかける田所だったが、拓也は頷いた。
「大丈夫ッス」
「よかった……」
2人が話しているとコージが起き上がった。
「クソっ……この俺が負けるなんて……」
「さぁ!大人しく降参しろ!」
田所がそう言うとコージはオーロラカーテンを召喚し、どこかへ消えていった。
「オーロラカーテンを使うと別世界に逃げることが出来るッス……」
拓也が悲しげに呟くと田所は笑顔で答えた。
「お前が居なかったら俺は死んでた。ありがとう、拓也。それにさん付けなんかしなくていい。タメ口でいこうぜ?」
田所は拓也に手を差し出した。拓也はその手をとった。
「ありがとナス…」
すると目の前にオーロラカーテンが現れた。
しかしそのカーテンには絵が描いてあった。
「小学校……!?」
「ショタの世界ッス!!やっとこの世界から出れるッス!!行こう!田所!!淫夢の破滅を救いに!!」
「おう!!」
2人はカーテンへと歩き出した。
感想よろしくナス!!