ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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112話 【悲報】起きないユズちゃん

「さて。 そろそろ考えは纏まったでしょうか?」

 

「………………………………」

 

ダンジョン協会の緊急連絡回線で状況を知らせ、相談をしつつ剣を構える優。

 

それに対し、実に数分のあいだ、特に何をするでもなく佇んでいた魔族。

 

それは静かに、しかし強制力をもって優とあやを脅迫し続ける。

 

「……交渉ができるというのなら、俺たちの代表者であるダンジョン協会と」

「駄目ですねぇ。 ワタシはこれでも最大限に配慮をしているのです。 ユズと近しい、アナタたちに」

 

時間を稼ごうと、さらには柚希を引き渡す以外の何かができないかと試すも、即座に否定。

 

「優、さん……」

「……あやさん」

 

ずっと柚希をおぶっての疲労も濃くなってきたあやを見て、何かを決めたらしい優。

 

「……ひとつだけ、良いだろうか」

「何でしょう。 とは言え、ワタシはこれ以上」

 

「お前は、柚希さんには嫌われたくない。 そうだな?」

「ええ。 嫌われては好いてもらえませんから」

 

「なら……柚希さんを起こして、少しだけ現状説明をさせてもらって、その上で彼女に決めさせる。 ……彼女へは辛い選択をさせてしまうけど、その方がまだフェアだろう」

 

「……なるほど。 ではその前に、目覚められては厄介な、その2匹の魔物を」

 

ぱちん。

 

それが指を鳴らすと――ユニコーンとシルバースライムが、消失。

 

【え?】

【ユニコーンちゃんたちが!?】

 

「貴様、一体――」

 

「ご心配なく。 先の2人と同じ座標へ転送しただけです。 なんなら……コメント欄……と言うのですか、それで無事を確認できると思いますが?」

 

凄む優だったが、完全に手玉に取られているのをこれ以上なく感じており……コメント欄で、協会側からのそれを目で追ったあとは、もはや提案できるものはなくなった。

 

【こいつやべぇ】

【ただでさえチートくさい魔力とか使えてるのに、好き勝手に転移陣?使いこなせてるとか】

【コメント欄見てこっちのこと全部分かるとか】

【ちょっとー、つよつよなのに情報戦もできるとか聞いてないんですけどー!】

 

「……では、起こします。 柚希さん……柚希さん」

 

今のところは――力の差が歴然としている中では、恐らく本当に最大限、人間側に配慮しての対話をしているのが分かる。

 

だが、これ以上引き延ばそうとしたり……優が相打ち覚悟で攻撃してしまったりしたら、どうなるか。

 

そう判断したあやは、地面へ柚希をそっと下ろして声をかけ、肩を揺する。

 

「柚希さん、柚希さん。 起きてください柚希さん」

「んー、あとごふん……」

「違います、朝じゃないんです柚希さん……」

 

「柚希さん、起きてください」

「ぅやーあー……もっとねるぅー……」

 

【草】

【かわいすぎる】

【なにこのかわいいいきもの】

【ユズちゃんって言うんだよ】

 

【余裕過ぎるユズちゃんで草】

【なんでこの子、この状況でこんな余裕なの……?】

【天然ってすごいね……】

【ああ……】

【悪い魔物にさらわれかけてるお姫様な自覚ゼロね……】

【だってユズちゃんだもん……】

 

【話してると普通なのに、気が抜けてると途端に天然成分でちょうちょなユズちゃん……】

【なんでこの子はこう、致命的なところでこうなんだ……】

【だってユズちゃんだもん……】

【ユズちゃん、起きて? さりげなく今、君のピンチなのよ??】

 

 

 

 

――数分が、経った。

 

「柚希さんっ!」

「あとさんじゅーびょー……」

「だからそんな場合じゃないんです!!」

 

【草】

【すげぇ……とうとうあやちゃんが大声上げとる】

【そらそうよ……】

【見ろよ、月岡も魔族も、完全に脱力してユズちゃん見てる】

【そらそうよ……】

 

【2人揃って「これ、どうしよ……」って顔してて草】

【ときどきちらちら目線合わせて気まずそうにしてて草】

【草】

 

【すげぇ……魔族も人間も、イケメン同士がおんなじ顔してやがる……】

【気の抜けた顔で草】

【タイプは違うけどイケメンだからそれはそれでサマになってて草】

 

――「ユニコーンの姫・ユズちゃん」。

 

その素質は半端ではなく……緊迫した交渉の場も、もはや緊張感というものは完全に吹き飛ばされており。

 

「……ユズの守りを危険視したからこそ、魔力を使い切らせるよう魔物を召喚してきたが……裏目に出たか……」

 

「……もう少し待ってくれないか?」

「魔力を使い切らせたのはワタシのせい……分かっていますよ……」

 

【草】

【四天王?がため息をつくレベルのぐずりっぷり】

【またひとつ、ユズちゃんの伝説が……】

【自分が攫われようとしてるのに起きないだなんて、伝説以外のなにものでもないよな】

【そらそうよ……】

 

「柚希さん! 柚希さん! 朝です! ……じゃなくて……もう! とにかく起きてくださぁい!」

 

必死に起こそうと、何分も起こし続けているあや。

 

そんな彼女があまりにも哀れに見えた優は、レイピアを構えるのを止めて柚希の元へしゃがみ込み、なんとか起こそうと助太刀に入る。

 

「柚希さん! 今、君の命……は保障されるらしいが、ともかく……こう、大変なんだ! 起きてくれ!!」

 

【草】

【草しか生えない】

【とうとう月岡までユズちゃんの耳元へシャウト】

【月岡の語彙が消失してて草】

 

【でもぐずってるユズちゃん】

【なんでユズちゃん、こんなに寝起き悪いのぉ……?】

【ま、魔力切れって気絶に近いって言うから……】

 

【あ、理央様とひなたちゃんの配信で、理央様が顔覆ってる】

【おお、もう……】

【あー、体力ないから疲れて寝たりするとこうなるらしい】

【遠足の次の日はよくこうなってたって】

【草】

 

【お子さまか!】

【ひなたちゃんが苦笑いしてて草】

【ひなたちゃんも苦笑いするレベルか……】

【ロリだもん、しょうがないよ……】

【ユズちゃん、もう誰も高校生とか信じてくれないね……】

 

【これを見て誰が信じると?】

【もうこれ小学生でしょ……】

【ひなたちゃんより年下でしかない惨状】

【一瞬かっこいいとこもあるのかって思った俺がバカだったよユズちゃん……】

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