ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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14話 配信者として登録してみたら……配信しちゃってたらしい

「……これが……配信セット……!」

「きゅい……!」

 

あれから数日。

 

おまんじゅうの居る生活にもすっかり慣れたし、バイト先の人たちも「連れて来て大丈夫」って言ってくれたし、人を襲うどころか吠えたりもしないしおとなしいし。

 

ちょっと言葉が分かるのか、「ここで待ってて」って言えばちゃんと寝て待ってる良い子だし。

 

多分この子、外で放し飼いでもちゃんということ聞くタイプだ。

 

じっとモフられてくれるもんだから、気が付けばどのバイト先でもおまんじゅうの方が僕よりも人気。

 

……ただ……それよりも、僕のこと。

 

髪の毛、梳かしてもいないのにやけにつるつるてかてかしてるのが気になるんだよねぇ……普段ならクシ通さないとぼさぼさして気になるのに、今は普通にほっぺとか首に擦れてくすぐったいもん。

 

やっぱ切ろっかな。

 

「きゅい」

「あ、ごめんごめん」

 

宅配で届いた配信セットが気になるらしいおまんじゅうが急かしてくる……この子、やっぱ頭良いよね。

 

ま、頭良い方が飼いやすいのかな。

僕的にはおばかな子とかも好きだけどね。

 

「えっと、なになに……設定無しの状態で映像と音声の個人情報をAIが自動判定して保護してくれます……市役所で提出していただいた個人情報を参考にAIが自動生成した配信名やタイトルがデフォルトに……変えたかったら自分で。 今どきはすごいねぇ」

 

お役所らしいフォントのA4プリントを斜め読みしていくと、機材の匂いを嗅ぎながらきゅいきゅい相づち打ってるみたいなおまんじゅう。

 

……もしかして理解してる?

 

まさかね。

 

きっと、人の会話を聞いてそれっぽい返事してるだけなんだろう。

 

「……配信中は視聴者に広告が表示され、同接数や再生数や時間に応じて収益が分配されます……ダンジョン内で有益な情報、例えば罠の位置や種類、苦戦している人を助けたり救助要請に応じたりした分も自動判定で……つまりは人助けすれば良いんだね」

「きゅい」

 

まぁこんなぱっとしない田舎の高校生もといフリーター、髪の毛もずいぶん切ってないから伸びきってるような見た目なんだし、テイマーではあってもおまんじゅうは幼体だから強くないだろうしで見どころはないだろう。

 

だから登録者なんて、友達かバイト先の人たちか通りすがりの冷やかし程度で、きっと収益は期待できないはず。

 

……やっぱ、やるならおまんじゅうが育ってから普通に戦闘したりしないとお金にならなさそう、かなぁ。

 

それで、どっかのパーティーに潜り込んでお手伝いとかしたりで……とかさ。

 

中級者に届かない初級者でも、慣れてくれば中小企業の2、3年目くらいのお給料程度の稼ぎになるらしいし。

 

正直まだ実感はないけども、もし本当に僕がダンジョンに潜ってモンスターを倒せるのなら、近いうちにバイト代よりおっきい金額が入って来るはず。

 

そのときは本腰入れてやんなきゃね。

 

「……おまんじゅう。 いっぱい食べて大きくなってね」

「きゅい!」

 

この数日で心なしか大きくなってきたおまんじゅう。

 

見た目よりは軽いから抱っこは普通にできるけど……もうそろそろ太った中型犬くらいになるのかな。

 

ものすごく軽いけどね。

やっぱ毛でかさ増ししてるだけだ。

 

「ん? 配信の練習プログラム……?」

「きゅい」

 

「配信ミスでやらかす前に、1度はオフラインでテストしてみましょう」って書いてある。

 

……そうだね、僕はそそっかしくてよく転んで誰かにぶつかっちゃったりするし、テストでも必ずミスで10点20点落とすんだ、間違って大事にならないように練習は必要……かな。

 

話も上手じゃないし、大勢の前だと恥ずかしくて声出ないし。

 

「えっと、まだ家の電波に繋げてないからオフラインのはずだから……こうすれば良いのかな?」

 

起動して適当に操作してみて、しばらく。

 

「……すごい……本当に浮いてる……!」

 

配信用のカメラがふよふよと浮いて、僕の目の前に。

 

「なんかSFみたいでわくわくするね」

「きゅい」

 

【お】

【初見】

【初心者の配信だ! 囲め!】

【乗り込めー】

【ってなんだこの美少女!?】

【美幼女の間違いでは】

【登録しました】

 

説明書には「スマホかタブレットかPCと連携してコメント欄などを」ってあるけど、今はオフラインなんだから繋げないはず。

 

じゃあこれで良いのか……ん、録画は後で見返せるんだ。

 

「適当にそれっぽくやって……できるのかなぁ?」

「きゅい」

 

【あれ?】

【ん?】

【もしかしてまだ準備中?】

【えっと「ユズ」ちゃーん、もう配信しちゃってるよー】

 

「すごーい。 カメラ、ほんとに浮いてるー。 おー、こっち向いてるー」

 

【あー、これ個人情報保護が初期状態だわ】

【ほんとだ、後ろの風景もぼやけててユズちゃんの顔もぼやけてる】

【俺しょんぼり】

【あれ? でも白いぬいぐるみみたいなの、もしかしてモンスター?】

【ってことはテイマーか】

 

「えっと……星野柚希、高校2年生です。 えっと、今日はダンジョン配信の練習で……こんな感じ?」

 

【「えっと……――柚希、――――――です。 えっと、今日はダンジョン配信の練習で……こんな感じ?」】

 

【草】

【ちょ、いきなり自己紹介】

【完全に初心者じゃねーか!】

【ちくしょう……名前も学校名も言ってるっぽいのにことごとくカットされてる……】

 

【ちゃんと自己紹介できてるのに、肝心なとこがぼかされてて草】

【小学生なのか中学生なのか分からねぇ】

【名前に「ユズ」が入ってるのしか分からねぇ!】

【ま、まぁ、初手で全世界にリアルバレは回避できるんだし……】

【ああ、だから最初はこの設定なんだな……】

【めんどくさいけど本当に必要なんだな……】

 

……むずがゆい。

 

世の中の配信者たちはこの恥ずかしさと戦ってるのかぁ……すごいなぁ。

 

僕なんて、後で自分でしか見ないオフラインの動画を撮ってるだけでこんなに恥ずかしいのに。

 

「やだ、ちょっと顔熱い……もうっ、人前でもないのに……」

 

【●REC】

【●REC】

【ちくしょう……ちくしょう……!】

【どうして赤面している女の子の顔がぼやけてるんですか(憤怒】

 

【良い感じにぼかされてるからなんだかエロい】

【分かる】

【そこは普通にかわいいって言ってあげようよ】

【そうだぞ、あとでコメント発見して配信しなくなっちゃうかもしれないぞ】

 

あー。

 

電車で1時間とかで大きな町に出て、みんなからじろじろ見られるあの錯覚のときみたいに恥ずかしい。

 

……けど、配信者やるならこういうのもクリアしないとかぁ……。

 

【あ、この子! この前の<URL>】

【!? ユニコーンを抱っこしてた幼女!】

【マジか】

【誰?】

【今すぐアーカイブ見て来い  悶えるぞ】

【そうだぞ、ユニコーンの幼体を抱っこして歩いてた姿にねじ曲げられそうになるぞ】

 

「けど、配信ってなに話せば良いんだろ……」

「きゅい……」

 

おまんじゅうは分からないなりに相槌を打ってくれてるけど、普段から意識して配信を観てたりはしなかったからいまいち勝手が分からない。

 

……って言うかこれって、いわゆる雑談配信。

 

攻略中とは違うからあんまりがんばっても意味ないかも?

 

【あわあわしている姿が非常によろしい】

【初心者にしかないこの雰囲気……】

【素人ものっぽくて良いね】

【言い方ぁ!】

 

【でもさ? 多分ベッドに座っててカメラ見上げてきて、お人形さんみたいなのを抱きしめてて赤くなって困ってるのって……】

 

【いかがわしい……】

【ぐっとくるな……】

【本人にその自覚が無さそうなのがまたクるな……】

【俺、ロリコンじゃなかったはずなのに……】

 

【けど声の感じから中学生……小学生?】

【定点実況に映ってたのじゃ、周囲の高校生とかより頭ひとつふたつちっちゃかったな】

【部屋の中もぼかされてるけど、ピンクとか赤とかでかわいい感じだし、やっぱ小学生じゃね?】

 

【やべぇ、今どきは小学生でもダンジョン配信してたりするからマジで年齢分かんねぇ】

【AI補正でごまかされちゃうから余計にね……】

【なんかもう、話し方だけでかわいいからこのままでもいいかも】

【確かに】

【むしろ分からない方が想像力かき立てられるよね】

【分かる】

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