ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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158話 僕、モンスター説

「まさか……」

「ゆずきちゃんに、生えちゃうだなんて……」

 

「ぶふっ!? ……け、けほけほっ」

「大丈夫ですか? ムリもありません、こんなことが起きるだなんて……」

「あ、いえ、違うんですけど……けほけほっ」

 

「生える」ってのに反応した理央ちゃんのことを、ちょっとにらんどく。

 

もう、理央ちゃんったら……お母さんとか女子とかと一緒に、そういうのでからかうんだから。

 

「あ、そうだ。 なんかいつもコメント欄で、僕に『生えててくれたら』とか『生えてるに違いない』って言ってた人たち。 ひょっとしてこれを察知して何かが」

 

「そんなことないと思いますよ? さすがに」

「私も違うと思います……」

「書き込みで羽が生えちゃったら大変だよ?」

 

「そ、そっか……うーん」

 

なんかいっせいにダメ出しされた僕は、ちょっとがっかり。

 

けども、この鱗粉っぽいのが人体に悪影響合ったら困るし、窓際に居よう。

 

……それじゃ僕自身は吸っちゃうけども……さすがに蛾とかが自分のそれを吸ってどうなるって聞かないし、大丈夫でしょ。

 

「……他にヘンなとこはないですか? お胸が生えて、羽が生えるほかに」

「うーん……多分、ないかなぁ」

 

体のあっちこっちを触ってみるけども、とりあえず変なところはないみたい。

 

念のため、チョコがいたずらしてる可能性も考えておまたもさりげなく触ってみたけども、ちゃんと生えてるからひと安心。

 

これだけが、僕の「男」っていう証なんだ。

これまでなくなったら、もう僕は女の子になっちゃうもん。

 

「……ゆずきちゃん、妖精さんみたい」

「妖精って言うか、蛾じゃない?」

 

「とんでもありません! 綺麗な蝶々さんだと思います!」

「そうでしょうか……」

 

「ぶふっ、ちょ、ちょうちょ……あいたっ」

「……もうっ」

 

とりあえずムッときたから、理央ちゃんのことは軽くこづいておく。

 

今の、絶対コメント欄の思い出したでしょ。

 

「ふー……と、とにかく、まずは原因です! 柚希先輩、そうなる直前に何があったか覚えてます?」

 

「えーっと、確か理央ちゃんとひなたちゃんにのしかかられて、動けなくなったところに、あやさんがお胸で顔を押し潰してきて、息ができなくなって……」

 

とっても苦しかったことだけは覚えてる。

 

……その直後に、何かがあった気が……なんだっけ。

 

「……そ、その節は本当に申し訳ありませんでした……」

「あやちゃんのおっぱい、おっきいもんね!」

 

「わ、私だってやろうとすれば! 柚希先輩!」

「いや、だから窒息しそうだったんだって……伝えようとしても、指先くらいしか動かせなくって、結構ピンチだったんだからね?」

 

窒息と圧迫。

考えてみれば、結構やばい状況だよね。

 

「……そんな状況で、君たち……なんで助けてくれなかったの……?」

 

「きゅひひひひひひぃぃ……」

「ぴぴぴぴぴぃぃ……」

 

「そろそろ帰ってきてよ……特にチョコ、君なら簡単に助けてくれたはずでしょ……」

 

おまんじゅうのせいで、チョコまでおかしくなってる。

 

……2匹、離した方が良いのかなぁ。

 

「……あ」

 

「何か思いつきました?」

「……ううん。 でも、もしかしたら……」

 

僕は、ふと思いついちゃったので――お腹が、きゅうってなる。

 

でも、言わなきゃいけない。

もしそうだったら、多分、1番危険なのはこの子たち。

 

だから。

 

「……これ、もしかしたら僕。 モンスターさんに、なっちゃってるのかも」

 

だって、人間に羽は生えないもん。

人間の男に、おっぱいは自然に生えないもん。

 

ってことはさ?

 

「……町の中で、モンスターの反応があったらどうなるんでしたっけ」

 

「……ええと、一定以上の強さなら、すぐに探知が作動して……」

「そういうことです。 ……特に今は、世界中ぴりぴりしてるんです」

 

窓をがらりと、全開に。

 

……外は、何も起きてないみたい。

だけども、それだって、遠くではすでに動いてるかもしれない。

 

「僕がそれに、引っかかってたら」

「だ、大丈夫だよ! モンスターさんなら、こうやって話せないし!」

 

「でも、魔族さんとは会話、できたんですよね……?」

「あっ……いえ、でも、柚希先輩がそんな……」

 

ふと浮かんだ、嫌な考え。

 

僕が、何かの拍子にモンスターさんになっちゃった。

たまたま――そう、たまたま。

 

「レベルが……今でも何かの間違いだって思ってますけど、もし本当に50とか星とかになってたら、僕って今、人間の限界を超えてるんですよね?」

 

ぽつり。

根拠のない想像が膨らむ。

 

「……それってつまり、僕が寝てるときに来たっていう魔族さんたちと、近い存在ってことですよね。 人間よりも、魔族さんに」

 

映像だけ見せてもらった魔族さんは、スーツを着た優しそうなお兄さん。

 

その頭には2本の角が、背中には黒い羽が。

 

「人外のパーツ」が、「今の僕みたいに」生えていた。

 

「だから――」

 

「じゃ、そのときは私も魔王軍に降ります! 柚希先輩の手下その1ってことで! 柚希先輩、気に入られてましたし……なんとかなりますって!」

 

「……え?」

 

空いた窓から――もし何かがあったら。

 

みんなに迷惑がかからないように、僕だけでも。

羽も生えてるし、もしかしたら飛んで逃げられるかもしれない。

 

だから、お別れしようと思ったのに。

 

「じゃあ私はその2! 手下さんその2になるー! 悪の幹部になるー!」

「……ふふっ、では私は手下その3、ですね。 悪い子になっちゃいました」

 

「いや、でも、みんなまで」

 

「……柚希先輩? 言ったじゃないですか」

 

片手を窓枠にかけていた僕の手が、すっかり冷たくなっていた手を――理央ちゃんのあったかい手が、包む。

 

「どんなことがあっても、ずっと一緒だって!」

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