ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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159話 僕は人間だって

「――――――って、かっこつけたのにー!!」

「ご、ごめんね……なんかしぼんじゃって……」

 

「羽って……しぼむの……?」

「さ、さぁ……どうなのでしょう……」

 

僕がモンスターかもしれない疑惑で落ち込んでいて、励ましてもらって。

 

じゃあどうにかしよう!ってなって。

なんだか急にむずむずしてきて、思わずくしゃみして。

 

……そうしたらなんか、なくなってた。

 

……なんで?

 

「ない! ないですか!? ちっちゃくてもいいんです! むしろちっちゃい方がかわいがれます!!」

 

「ちょ、くすぐったいってば理央ちゃん……肩甲骨のとこ、生えてないでしょ……」

 

「落ちてませんか? ぽろってそのへんに!!」

「僕のこと何だと思ってるの理央ちゃん……」

 

どうしても僕の羽を触りたかったらしい理央ちゃんは、僕のパジャマの上をぷちぷちって脱がしてまで背中を確かめてきてる。

 

……でも、分かる。

 

感覚的に、今は生えてないんだ。

 

「あ、ゆずきちゃん」

「え?」

 

「……その、お胸が……」

「あ、ほんとだ……しぼんでる」

 

ぺたん。

 

背中をひたすらにさすさすはすはすされてるのは、もう気にしないとして。

 

「パジャマパーティーですからかわいいのにしてくださいね!」って言われて着けてる、かわいめのブラジャー。

 

その膨らみが、はっきりと分かるほどにへっこんでて……つまりはいつも通りに。

 

さっきまでは、むしろきついくらいだったのに。

あれが女の子の感覚なんだって思ってたのに。

 

「良かったぁ。 僕、別に大きいのに憧れないから」

 

僕は男だし。

 

「そう、ですか……」

「え? あ、いえ、あやさんのは素敵だと思いますけど」

 

あやさんは女の人だし。

 

「……そうですか……!」

 

なんだか落ち込んだらしいあやさんを励ましたりするも、そのあいだひたすら背中でもぞもぞしていてくすぐったい。

 

「……ないです!! 落ちて干からびてもないです!!」

「だからそう言ってるでしょ……?」

 

「もっかい生やしてください! どうすれば生えますか!? お酒!? それともすっぽんとか!? あるいは私の裸!?」

 

「よく分かんないけどちがうと思うよ……あと脱ごうとするのやめて……」

 

まーた変なテンションになってる理央ちゃんを、いい加減にってぐいぐい押し出す。

 

この子は本当に、テンション上がるとおかしくなるんだから。

 

「でも不思議だねぇ、なんでゆずきちゃんに綺麗な羽が生えたんだろうねぇ」

「ダンジョン関係……ということくらいしか……」

 

そういえば、すっかり酔いが醒めてるらしいみんな。

さっきみたいにのしかかってこないから、ちょっと安心。

 

「あ、教官さんからチャット来てた」

 

僕の後ろに張り付く理央ちゃんはほっといて、ふとテーブルの振動音に気が付いて手に取ったスマホには、「救護班を派遣します」って文字が。

 

「……救護班さん……来ちゃうらしいです」

 

「まあまあ、では急いで着替え直さないと」

「ひなた、眠いのにー」

 

ほんとに、僕……どうしちゃったんだろ。

 

「柚希先輩の素敵な羽がぁー!」

「うるさいよ理央ちゃん、ご近所迷惑でしょ」

 

「あ、ここ、お父様が買い取ったから大丈夫なんだって」

「えっ」

 

 

 

 

「はぁ……しぼんだ、と」

 

「しぼんだっていうか、消えたっていうか?」

「あんなに綺麗だったのにねー」

 

「お胸も……普通にBくらいには……」

「妖精さんのようで素敵でしたね……」

 

それからすぐに、マンションの下の方が騒がしくなって。

 

窓から見てみると何台もの車が入り口に止まっていて、たくさんの人たちがわーって出てきて。

 

……うん、そうだよね。

 

僕が、モンスターになっちゃったかもしれないからしょうがないんだけども……全員完全武装なのが、ちょっと怖かった。

 

でも、ひなたちゃんの家に上がってきたのはあのときの教官さんと、何人かの救護班さんたち。

 

全員女の人で、武器すら持ってなかった。

やっぱり優しいんだね。

 

「……治癒魔法、限界までかけましたけど……何か変化は?」

「いえ、特に……?」

 

3人くらいに治癒魔法をかけてもらった僕。

 

こんな夜遅くなのに、なんだか目が冴える程度にしかならないらしい。

 

「ということは、今の状態が正常……ですね」

 

「柚希先輩は魔族とかでもモンスターでもありません!」

「ええ、分かっていますよ。 落ち着いてくださいね」

 

この場で1番、きーっとなってるのは理央ちゃん。

 

ずっと僕の手を繋いだまま、僕が悪いのじゃないって言ってくれてる。

 

「星野さんは、戸籍情報を初めとしまして、全ての情報でおかしな点はありません。 私の目からもご本人にしか見えませんし……何よりも、そちらのユニコーンがそばにいるという時点で、間違いなく私の知る星野さんですから」

 

「教官さん……」

 

にこっ、と、優しい笑顔。

こういう大人の人って、素敵だなぁ。

 

「……柚希先輩はあげません!」

「え? ……え、ええ……」

 

「魔力反応も、そちらの2匹にしか反応してませんね。 ユズちゃ――そちらの方は、完全に人間だと断定できました」

「そう報告しますから、下の兵力も下がらせますから安心してくださいね、ユズちゃ――さん」

 

僕のことを、なんかごつい機械でスキャンしてたらしい救護班さんたちが、僕のモンスター疑惑を払拭してくれたらしい。

 

……けど、君たち……絶対配信見てたでしょ……何回も僕のこと「ユズちゃん」って呼びかけてたし。

 

なんか手帳持ってうずうずしてるし……サインとかできないよ?

 

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