ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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6章 庭のダンジョンと衝撃
162話 何か生えてた  庭に


「ねぇ理央ちゃん」

「柚希先輩? どうしたんです? こんな朝早くに」

 

「えっとねぇ……なんか生えちゃった」

 

 

 

 

「……って言うから、てっきりまた羽とかって思ったじゃないですかぁ!!」

「ごめんごめん、収穫に夢中になっててさ」

 

あれからちょくちょくみんなの家に順番に泊まったりして――気が付けば1ヶ月。

 

魔王軍への総動員が解除されない、長いお休みが続いている。

 

あ、そういえば、休業補償ってやつのおかげでダンジョンでの稼ぎ――はとてもムリだけども、それでも、これまでのバイト代の何倍のお金が払われるらしい。

 

なんでも、「直近の収入」で判断されるらしく……うん。

僕たちのは、最後のが特にすごかったからなんだって。

 

なんか受け取るのは申し訳ないけども、確かにバイトもできなくなってるし、ダンジョンにも潜れていないわけで……この前の報酬がなければ、確かに頭抱えてたはずだもん。

 

こういうのは素直にもらっとけってお母さんも言ってたし、良いのかな。

 

「……それで? なんですかこれ」

「? 野菜だけど?」

 

僕は立ち上がって、適当に作ってた家庭菜園を披露する。

 

「……その……えっと、そのバケツの中って」

「うん、埋まってたやつ」

 

僕の足元。

 

そこには――5つのバケツにみっちりと詰まった、にんじんとかじゃがいも、きゅうりとかの野菜。

 

「……先輩って、こんなに育ててましたっけ?」

 

「ううん、ダンジョンに潜り始めたころ……かな?に、家庭菜園でもやって、せめておまんじゅうの食費だけでもって思ってて」

 

そのバケツの横で、おまんじゅうがひたすらにぽりぽりぽりぽりと無心でにんじんを食べている。

 

もちろんそのままじゃ食べられないから、頼まれたら僕がカットしてあげてるやつ。

 

もう10本目くらいなんじゃないかな。

よくそんなに食べられるね。

 

ちなみにおまんじゅうの横ではチョコが――なんと、土を食べてる。

 

特に石が好きらしく、ほっといたら勝手に庭を這いずり回って石だけを吸い取って行ってるから、次に野菜を植えるときには、とっても楽そう。

 

土は大して減ってないし、減ったらホームセンターで買えば良いし。

ミミズさんみたいに役に立つ子だね。

 

「………………聞いて良いですか?」

「うん」

 

すうっ、と、冷静になった光宮さんが……大声で言う。

 

「――――――これ、どー見てもダンジョン関係ですよねぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「理央ちゃん、うるさいよ? お母さん、寝てるんだから」

 

僕の家の庭。

田舎だし、古い家だからそれなりに広い庭。

 

でも特に活用することもなく過ごしてきたそこは、毎年あったかくなってから寒くなるまで、延々と草むしりしなきゃいけないめんどくさい場所だった。

 

もちろん、その間に何回も家庭菜園は試してみてた。

 

けども、まずもってお母さんは具合が悪くってそういうのできないし、僕も非力だからがんばって1日。

 

しかも、なぜかどんな野菜も枯れちゃって収穫できたこともなくって、だから、ほとんど諦めつつで今年も手を出したんだ。

 

「……今まで、全然育たなかったって……」

「そのはずなんだけどねぇ……あ、生ゴミを庭に植えるようにしたのが効いたのかなぁ」

 

家にあるバケツが全部埋まる量の野菜。

 

――それは、庭のほんの一部から発掘されたもの。

 

「どう見ても、僕が植えたのの何十倍だけども……野菜って、こういうもの?」

「いえいえ……いえいえいえいえ」

 

見渡す限りに野菜の葉っぱがぽこぽこぽこぽこと植わっている光景。

 

「今まで植えたりしてたのが腐葉土になったのかなぁ」

 

「いやいやいやいやどー見ても雑草だらけだったのが良い感じに耕されてる畑になってるとか怖すぎますって! しかも葉っぱがみんな綺麗に並んでますし!?」

 

「不思議だねー」

「私は先輩の呑気さが不思議です……」

 

首をぶんぶん振ってる光宮さん。

 

急いで来てくれたからか、今朝の光宮さんはシャツにズボンっていうずぼらスタイルだ。

 

僕、こういうかっこした光宮さんが好きなんだけどなぁ。

 

いつも裾の短いスカートをひらひらひらひらさせてて心配なんだけどなぁ。

 

僕が、一応は生物学的に男ってことだからか、どんだけ言っても最低限のおしゃれはして来ちゃうんだよねぇ。

 

僕は、寝起きそのままの彼女が好きなのに。

 

「……応援、呼びますね」

「え?」

 

「いえ、これだけの量……大変でしょう?」

「うん、でも家のことだし、バイトも学校もダンジョンもないからヒマだし、1週間くらい掛けたら……」

 

遠慮したいっていう僕の気持ちをムシして、しゅたたたってスマホに打ち込んでる光宮さん。

 

「きゅっ」

「え? もっと?」

「きゅっ!」

「いいけど、お腹壊さないでね? 君、トイレしたことないけどさ」

 

そうしておまんじゅうが、11本目を口にした。

 

 

 

 

「ほわー!」

「……この規模が、家庭菜園……ですか……?」

 

それからすぐに来てくれたのは、もうここのところ毎日会ってる2人。

 

「いやぁ、すごいねぇ。 私の家、町中にあったからこういうの初めて見たよ」

 

それに、たまたま近くに居たらしい優さん。

 

……光宮さん……優さんまで呼んじゃったの……?

 

「とりあえず、お野菜はさっさと収穫して冷やさないと長持ちしないんじゃないかなって思いまして!」

「……そうだね。 ありがと、こ……理央ちゃん」

 

僕が1時間くらい掘っては抜いてを繰り返しても、まだ庭一面の何分の1。

 

確かに、僕ひとりじゃ1週間くらいかかっちゃいそうだもんね。

 

「えっと……僕の家のことで申し訳ないんですけど……こ、このお野菜使った料理とか、おすそ分けするので……」

 

「柚希さんの手料理。 充分な報酬だね」

 

まぁ、確かに優さんなら高レベルだし力ありそうだし……いいのかな。

 

「ですよね! 優さんの腕力に期待です!」

「あはは、任せて。 一応は運動部だったし、前衛だからそこそこはあるかな」

 

「お料理、一緒にしよー!」

「これだけのお野菜があれば、カレーに肉じゃが、野菜炒めから何でも作れますね……!」

 

料理と聞いて、途端に元気が出てきたらしいみんな。

そうだよね、女の子だもんね。

 

みんなそこそこ以上に料理できるのはここ最近ので知ってるし……今日からしばらく、みんなでこの野菜の使いどころを考えなきゃ。

 

「――――――きゅっ」

「――――――ぴぴっ」

 

【?】

【あらユズちゃん】

 

【もしかして:ユズちゃん】

【だな】

【あー、だーれもカメラ見てませんねぇ】

【理央様パターンじゃなかったか】

 

【ここ最近は、ちゃんとした雑談配信で賑わってたのになぁ】

【まぁユズちゃんだし】

【そろそろ揺り戻しが来そうってみんな言ってたもんな!】

【草】

 

【ユズちゃんへの信頼度よ】

【信頼してるよ? やらかす方向に】

【ユズちゃんだもんなぁ……】

【むしろ待ってたよ  この1週間、起きてから寝落ちするまで、スマホ見ながら】

【ひぇっ】

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