ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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168話 あやさんと落ち着くひととき

「………………………………」

 

ぺら、ぺら。

 

「………………………………」

 

静かにタップする感触。

 

それが、部屋を支配している。

 

 

 

 

「今日は静かで良いですねぇ」

「ひなたさんと理央さんは駅前でお買い物ですものね」

 

なぜかもう、毎日来るのが当たり前になってる3人。

あと、それなりの頻度で来るようになった優さんと女の人たち。

 

それで最近はうるさいくらいだったんだけども、今日は僕たちふたりきりだ。

 

厳密に言えばお母さんも居るんだけども、お母さんは寝室で寝てるからね。

 

そういう意味でも、ちょっと落ち着くんだ。

 

「……柚希さん、結構な量の古本をお持ちなのですね」

「あ、はい。 バイトで忙しいときでも、10円で売ってるのなら気軽に買えたので」

 

ひなたさんと連れ立って家に来て。

 

理央ちゃんとひなたちゃんが駅前に行くことになったけども、あやさんと僕は残る流れになって、で、何をするでもなく僕の部屋に一緒に来て。

 

で、ヒマそうだったから本棚――これも、ご近所さんから譲ってもらったやつだ――にあった本を見せて。

 

「………………………………」

 

よく考えたらこれ、男の部屋に女の子が来てるっていうシチュエーションなんだよね。

 

マンガとか、田中君が好きな本とかだと、男の部屋に女の子が1人で入るのって、普通は恋人とかじゃないとしないことらしい。

 

何でなのかは分からないけども。

あ、理央ちゃんは昔から入り浸ってるからどうでも良いけども。

 

「柚希さんの本棚……どれも落ち着いた内容の小説だったり、大学の講義みたいな内容のお堅い本が多いですね」

「そうですね。 そういうのじゃないとつまんなくって」

 

理央ちゃんが薦めてくる本とかは、とにかく男女の恋愛要素が強いからつまんなくって。

 

田中君の部屋の本もまた、どれも挿絵で女の子がきわどい格好とかえっちな格好してるのが多いから恥ずかしくって。

 

「本当に、みんなと一緒に潜って最初の報酬がもらえるまでは、僕、これくらいしか趣味がなかったんです。 あ、理央ちゃんから渡されてるタブレットで、タダの本とかも良く読みます」

 

「……あら、これ、理央さんの……」

「貸してもらってるんです。 本当は映画とかマンガとか読み放題らしいんですけど……彼女が好きなジャンル、僕はあんまりですし」

 

彼女と一緒によく観たりするけども、内容が誰と誰がくっつくかとかそういうのが多いんだよなぁ。

 

女の子ってそういうのが本当に好きだよねぇ……あ、でも、あやさんはそうでもなさそう?

 

「……ふぅ……」

「?」

 

「……ゆ、ゆじゅきさんはっ」

 

あ、噛んだ。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

「……その、今読んでいる本の内容で、その……女性同士のカップルがですね……」

「あ、そうなんですか」

 

こういうときは、お互い気がつかないフリ。

それが1番しあわせ。

 

「こほん、それで、ふと気になって。 柚希さんが、そういうのをどう思うのか……と」

「学校の国語とか英語の文章とか保健でやる、あれですよね?」

 

同性愛。

女の子同士。

 

マンガとか小説だと「そういうジャンル」としてあるらしいそれは、根強いファンがいるらしい。

 

っていうのを、クラスの絵の上手な女の子に熱心に説明されたことがある。

 

あと、その逆で男同士もあるんだって。

「どう?」って聞かれたから「好きな人同士が良いよね」って言っといた。

 

そしたらそれからしばらく、なんか田中君がげっそりしてた。

なんでだろうね。

 

「……気持ち悪い、とは思いませんか?」

「え?」

 

「だって、もし……その、同性を好きな人が、ある一定以上の年齢で。 ……ええと、その……す、好きな人相手に、普通なら異性に対して抱くような感情や欲求で、見てしまうので……」

 

あ、言ってて恥ずかしくなってきたらしい。

 

だよね、普段のあやさんならそういうこと言わないもんね。

 

でも、こういうのってお互いに本読んでたりすると、なんだか言いやすいっていう不思議なとこがある気がする。

 

学校で「このテーマについて話し合いましょう」っていうのみたいだからかな。

「しょうがないから真面目に話そうね」ってお互いに決めてるってやつ。

 

「僕は気にしない、っていうか慣れてますから気になりませんよ?」

 

「? 慣れて……?」

「はい、だって」

 

んー、って、しばらく思い出して。

 

「小学校のころから……あ、幼稚園の頃からかも。 僕のことを好きって言う同性の子から、好き好きって言ってもらえるので」

 

「幼稚園の頃から!? ……そ、そんなに……」

 

それも、女子からよりも男子からが。

男子からのはそもそも嬉しくないから、もちろん断るけども。

 

「まぁ小学生までは、告白って言っても『特別に好き』っていう意味なだけでしょうし、中学からは冗談交じりの告白も多かったので、からかわれただけだと思いますけどね」

 

まぁ小さい頃から髪の毛も長めだったし、この通りにぼんやりしてるし、女の子たちに囲まれてリボンとかでかわいくさせられてたし。

 

みんなで体育とかプールしたあと、服の取り替えっことかさせられてたし、理央ちゃんが無理やり脱がしてきてスカートとかワンピースとか着せてきたし。

 

だから、僕のこと本当に女の子だって思ってた男子からよく告白されたんだよね。

 

まぁ「僕、男だけど」で、みんな「あ、そっかぁ」って諦めてくれてたんだけども。

 

知ってて告白してくる男子は……うん。

「ありがとう」くらいは言って、「ごめんなさい」だ。

 

そういうのに理解はあるよ?

 

クラスの女子が、男子同士の恋愛が好きな子が良くそういうの見せてくるし。

 

でも僕、そもそも女子ともそんなに興味ないし……。

 

「……柚希さんが……柚希さんが、同性との経験豊富……」

 

あ、でも、「それでもいい!」って断ってるのにしつこい人とか結構居たけども……いつの間にか居なくなったなぁ。

 

なんでだろ。

 

やっぱり、告白のときは理央ちゃんと田中君が付き添いで来るようになったからかなぁ。

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