ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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176話 駅前にはファンがいっぱい?

『でも良いのか? 今までは、それっぽいのも丁寧に説明してお引き取りいただいてたけど』

 

『「ユズちゃん親衛隊です」って言えば、大体引いてくれてたよね』

『まぁこれ言うってことは、近くに星野が住んでるって言うのも同じわけで』

『基本はそれとなく誘導してごまかしてたんだがなぁ』

 

『まぁ、さすがにもう良いだろうと……ほら、ひなたちゃんちの人たちも守ってくれてるっぽいし』

『ダンジョン協会の人たちとも仲良くなっちゃったよねー』

『護衛とかのイロハも教えてもらえてなー』

『プロが数百人居るんだもんな、俺たちの周りに……』

 

『もうぶっちゃけ、俺たちが護る必要すらないレベルで』

『ま、まあ、今の俺たちのバイト代だからそのまま続けたいけど……』

『なにより親衛隊は配信の最高位メンバーだからな!』

『お前……』

 

「星野」

 

「んぅ?」

「あ゛っ」

 

「……この先に、どうやらファンの人たちがいるらしいぞ」

「ファン?」

 

ふと呼び止めてきたのは、なんか真っ赤になってお空見てるクラスメイトに、そんな彼を支えているもう1人。

 

「誰の?」

「お前の」

「    」

 

「………………………………?」

 

「……お前、自覚ないのな……」

「……ああ! なるほど!」

「    」

 

ファンって言われて、てっきりどこかの有名人とか来てるのかなって思ったけども……よく考えたら前にも、僕のこと知ってた人たちに何回か話しかけられたもんね。

 

「これで、すっとぼけてるとかじゃないんだ……単純に気づくのが遅いだけで……」

「    」

「追加要員来たよー」

「助かる」

 

どうやら今日も駅前でみんな遊んでるらしく……まぁね、この近くで遊ぶところって言ったら駅前か、あとは車か電車の距離だし……別の子も合流。

 

「じゃああっちで治療しましょうねー」

「    」

 

あれ、真っ赤になってるの大丈夫かな。

熱とか出てない?

 

「そういえば俺たち、理央ちゃんから頼まれてるんだよ」

「光宮さんから?」

 

「理央ちゃん」ってワードで引き戻される僕。

 

「そうなの、今日ね、今日! でかけるときに、星野君が駅前でファンとかに囲まれないように見張っててって!」

 

「へー……光宮さん、勘が良いんだねぇ」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

確かに駅前――ローカル線の中では割と大きい方だとは思うけども、それでも普段はそこまで人が居るわけじゃない。

 

なのにそこそこ人がうろついてて……あ、こっち見た。

 

「……ユズちゃん……?」

「おい、あっち!」

「ユズちゃんだって!!」

 

ざわっ、と、空気が揺れる。

 

「はーい、落ち着いてくださーい」

「走った人から退場処分でーす」

「何だお前ら!?」

 

「この腕章をご覧ください!」

「えっと……ユズちゃん親衛隊……ってことは!?」

 

「そうですよー、理央様からのご指示ですよー」

「理央様の言うことなら……」

「理央様が……このお近くに……」

 

遠くには、また別のクラスメイトたち。

彼らがその人たちに、何か呼びかけてる。

 

「……どうしよっか。 戻る?」

「星野が嫌じゃなきゃ、ファンサービスでもしてやったら?」

「そうそう、握手……は女の子限定で」

 

「何で?」

「良いから」

「でも」

「おまんじゅうちゃんが怒っちゃうでしょ?」

「あー」

 

なんだかまるで、普段の理央ちゃんみたいにさくさくてきぱきと指示を出してくれるみんな。

 

今日はやたらと頼もしいね。

 

「おまんじゅう?」

「きゅ」

 

たくさんの人……多分100人は居ないだろうけども、それを見たおまんじゅうは、特段の反応をしてこない。

 

「じゃ、ファンたちは1列に並ばせとくから」

「良いな? 基本は1メートル離れて話せよ?」

 

「おまんじゅうちゃんが! おまんじゅうちゃんが怖がるかもだからね!」

 

「なるほど、分かった」

 

背中を軽く押されながら歩き出す僕。

 

……まさか僕が、こんなことになるだなんてね。

 

たくさんの視線が来ても、なんだか自覚がないなぁ……。

 

 

 

 

「わぁ……! ほんとにちっちゃい! かわいい!」

「あ、ありがとうございます……」

 

 

「……天使……いや、妖精……う゛っ」

「ちょうど良いタイミングで居た救護班さーん!」

 

「    」

 

 

「ユズちゃんは誰が好きなんですか!? あの3人で!」

「あ、済みませーん、その質問はNGでーす」

 

 

「はあ……はあ……ユズちゃん……僕はね……」

 

「ちょうど来てくれてたお巡りさーん」

「君、ちょっと良いかな?」

 

 

「おまんじゅうちゃんって、思ってたより大きいんですね!」

「あ、いえ、これは最近の野菜で太っただけです」

「そしてユズちゃんは……ちっちゃくてかわいいです!!」

「あ、あはは……」

 

 

「あ、あのっ……!」

「あ、あのときの」

「俺たち、いつまでも応援してます!」

 

「ありがとっ」

 

「ゑ゛っ」

「ゐ゜」

「救護班さーん」

 

 

 

 

「……ふぅ……」

 

たくさんの人と話して、気が付いたら1時間も経ってた。

 

「大丈夫か? ユズちゃん」

「え? 今、僕のこと」

「こんだけ人が居るんだ、今はそう呼ぶぞ」

「え? あ、うん」

 

なんか自然な流れで握手会みたいなのを手伝ってくれてたみんなも、すっかり疲れてる様子。

 

「とりあえず、そこのファミレスに」

「ちょうど! ちょうど今日は貸し切りらしいの! だからこっちのにしよ!!」

「え? そうなんだ、分かった」

 

駅前にも元から居たからか、本当に良く今日の状況を把握してるみんな。

 

頼もしい限りだね。

 

「今、確か……」

「そう、3人で今後を決める重大な会議中だって」

「分かった、ユズちゃんの気を逸らせるぞ」

 

みんなに手を引かれ、駅前のロータリーへ。

 

偶然にもみんなの背中で隠れてたファミレスは、一瞬だけだけど見えて。

 

――そこには、なんだか理央ちゃんとあやさんとひなたちゃんが居た気がした。




お盆でお休みしたばかりで恐縮ですが、またないないされてきますので次回の投稿は土曜日となります。来週からは普段通りの週6投稿に戻ります。
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