ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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18話 ダンジョン講習で この子、ユニコーンかもって

「ほしのちゃん! それって何のモンスターなの?」

「えっと……分からないんです。 赤ちゃんだからまだ見た目も図鑑とは違いますし……」

 

「そうなんだ! ほしの……えっと……ゆずきちゃん! ゆずきちゃんで良い?」

「あはは、良いですよ。 みんなにそう呼ばれるので」

 

柚希「ちゃん」って。

うん……むしろ「君」付けだと違和感ある格好だもんね……。

 

実にお役所らしいプリントとか冊子とかを配られての講習……ちなみに今、下から見上げてきてる向日さんは、普通にうとうとしてたね……の休憩時間。

 

寝たから元気になったらしい向日さんが突撃して来て、おまんじゅうに抱きついている。

 

「きゅいっ」

「あははっ、くすぐったーいっ」

 

いきなり正面から抱きつかれて怒るかなって思ったおまんじゅうも、喉鳴らしてるみたい。

 

普通、犬とか猫ってこうされると怖がるんだけどなぁ……やっぱりモンスターだからかな。

 

「本当に可愛いですね。 けれど、どうやって手に入れたんです? この初心者講習に来ているわけですし、ダンジョンに潜ったことはないのですよね?」

 

「あ、はい。 実はダンジョンから逃げ出してきてて……」

 

香水のいい香りのする夢月さんも話に乗ってきて、おずおずとたてがみを撫でている。

 

「きゅい、きゅいっ」っておまんじゅうもご機嫌だし、2人とも気に入る人間だったらしい。

 

うん、この子、ぬいぐるみみたいでかわいいもんね。

「かわいいかわいい」って、女の子がいるところだとこうなるよね。

 

ま、怖がられるよりはいいのかな。

 

「……ってことはもうモンスター討伐したんだ! すごい! 私だったらムリ!」

「私も……運動神経が壊滅していますから」

 

「あはは、僕もこの子を助けようって思って夢中で」

「きゅいっ」

 

滅多にない、町中……というよりはどこにでもある田舎道の茂みの中だったけども……へ逃げてきてたからこそ、この子を追ってきてたスライムたちも弱ってたんだもんね。

 

「でも、モンスターって維持費が大変って聞いて……それに、その。 家計も厳しいので、今のバイト代よりも稼ぐためにこの子を使う感じなので、なんだかこの子に申し訳ない気がしてて……」

 

「え? 良いんじゃない? この子だってご主人様の役に立つなら嬉しいでしょ? ね?」

「きゅい!」

 

「モンスターですと、どうしても闘争本能もありますし、体力も多いので運動させる必要があると聞きます。 それに、モンスターが溢れてたころを知る人からは嫌われやすいので……」

 

「……そうですね。 できたらダンジョンで疲れさせて、移動は最小限にしたいですね。 一応、家にも庭はあるんですけど、大きくなったらとても……ですし」

 

そうだよなぁ……この子、どこまで大きくなるか分かんないもんね。

 

それを考えるとあまりレベル上げない方が?

いやいや、上げちゃって深い階層に潜った方が生活費は。

 

「……あのー、星野さん……?」

「あ、ごめんなさい! もう続き始まりますか?」

 

「あ、いえ。 後は併設の地下道を通って初心者用のダンジョンへ潜っての実地研修だけですけど……」

「私、はやく潜りたい!」

 

僕たち3人でおまんじゅうを撫でていたところにかけられる声で、学校に居たときに先生から怒られるあの感じかなって思ったけど……どうやら違うみたい?

 

「ええと、もし間違っていたら申し訳ないんですけど……多分そのモンスター、これかな……と」

 

そう言いながらタブレットに表示した図鑑を差し出してくれるのを、3人で見上げる。

 

白い馬。

角が生えてる、白い馬だ。

 

「……ユニコーン? 絵本とかに出て来てたお馬さん?」

「ユニコーンですか!?」

 

「ユニコーン……って馬でしたっけ?」

「きゅい?」

 

ユニコーンって名前で、向日さんがツインテールをぴょこんとさせながら考え込み、夢月さんはぷるんって震わせながらびっくりして……だって見えちゃったんだもん……とにかく2人ともイメージはあるらしい。

 

当然か、だって僕だって知ってるレベルのだし。

 

あれだよね。

絵本に出て来る……優しい馬?だよね。

 

「でも、モンスターにも居るんですか? あれって神話とかの生き物ですよね?」

 

「……ええ。 世界で数例ですが、ダンジョンの中でボスとして出て来た例が報告されていますから。 もっとも、その全てで戦闘を回避されたため、戦闘能力は一切不明で……」

 

「そうなんですかー。 ユニコーンだったの? 君」

「きゅい!」

 

分かってるのか分かってないのか……多分分かってないよね、ただ僕が話しかけたから鳴き返しただけだろうね。

 

「……ユニコーン。 モンスターがそうかどうかは不明ですが……」

 

「確かお姫様みたいな子に懐くんだよね!」

「……そうですね。 清らかと言う意味では」

 

そっか、だからおでこにおできがあったんだね。

これが角になるのか……そうなるとモフる角度が難しくなりそう。

 

「……あの、教官さん? そうなりますと、万が一彼女が……を作った場合に、その……」

「……もし生態がそのままだとしましたら……よほど納得の行くお相手でないと排除……」

 

「その場合、大変なことに……」

「……そうですね。 ありがとうございます、私も上に相談してみます……」

 

社会人の講師さんと大学生の夢月さんが話し込んでる。

大人の話なら聞かない方が良いのかな。

 

「? ふたりでなに話してるんだろ。 ね、柚希ちゃん」

「そうだねぇ……あ、ここが角になるみたい」

 

「へー。 なんかフシギな感じー」

「きゅいー」

 

大人の2人が話し込み始めたからか、こっちに来た向日さんと2人でおまんじゅうを撫で繰り回して時間を潰す。

 

……普段と変わらない気がするけど、普段よりずっとおまんじゅうがご機嫌だから……まぁいっか。

 

「……念のため、彼女に……調査と称して彼氏の有無などを……」

「それが良いでしょうね……万が一、成長してSランク以上のモンスターになったユニコーンが暴走したりでもしたら……」

 

「けれど、今どきそういうのは……」

「強制はできませんが……暴走したときに備えて人員を……」

 

でも良かったぁ。

都会でも優しい人たちで。

 

てっきりすぐにバレて「女装男!? キモい!」って言われるって思ったし。

 

あ、でも、今のうちに言っといた方が良いのかなぁ。

 

うーん。

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