ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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205話 逃避行

「ぜえ……ぜえ……」

 

「ありがとね、おまんじゅう。 ちょっと休んでてね」

 

さすがにくたっとしてきたから、ちょっとへたってくすんでるおまんじゅうをもみもみしてあげたりして休憩。

 

「最初のときよりだいぶ減ったね、モンスターたち」

「そうねぇ。 一時はどうなるかと思ったわぁ」

 

結局、チョコに待機はしてもらってるけども、今のところ僕たちがすぐにどうにかなるってことはなさそう。

 

チョコなら……後で聞いたことだけど、僕が気絶してもちょっとなら硬化して守ってくれたみたいだし、僕自身の魔力が尽きない限りにはがっちりと僕たちを包み込んでくれる。

 

あとは、どうやって出口を見つけるかだけだ。

 

「けど、壁らしきものはどこにもないんだよねぇ」

「そうねぇ……適当に進んでみるしかないかもねぇ」

 

「適当って……反対側とか行っちゃったらどうするのさ」

「大丈夫よ? 地球は丸いから、歩いていればいつかはどこかに出るわ!」

 

「そっか。 お母さん賢いねぇ」

「えへへ……そうでもないわ!」

 

「じゃあ、どっち行こっか」

「私の感覚だと……こっち!」

 

「あ、でも、ここはダンジョンだよ?」

「ダンジョンでも地面があるなら地球よ!」

「なるほど」

 

【草】

【ダメだこの2人】

【ユズワールド! ユズワールドに対抗できる理央様はまだですか!?】

 

【やっと18階層まで来たところだぞ】

【てことは最低でも20階層か、ここ……】

【理央様たち、すっごいスピードで攻略してるのになぁ】

 

【どうか20階層でありますように……あと、そろそろ理央様の喉か3台目のマイクがぶっ壊れそうだから、早くユズちゃんと合流させてあげて……】

 

 

 

 

「どこにも着かないね……」

「広いわねぇ……」

 

「きゅひー……ぜえぜえ」

 

「ごめんねおまんじゅう……僕たち、攻撃手段ないから」

「私も何か出せたら良かったのにね」

 

「何かって何?」

「そうねぇ……」

 

ぱたぱた飛びながら、寄ってきたモンスターたちをおまんじゅうに倒してもらう時間が過ぎる。

 

……けど、もう2時間くらいしてるけども一向にどこにもたどり着けず、モンスターは減らず、僕たちの疲労だけが蓄積していく。

 

【理央様たち、20階層攻略!】

【はええ】

【みんながんばったからね】

【中級者までとはいえ救護班も来てるし強気だし】

【何よりみんなの意思がひとつだからね】

 

【「ユズちゃんたちをこれ以上好きにさせたらマズい」って?】

 

【うん、そう】

【みんな必死だよ】

【草】

【まぁねぇ……この2人のトーク、やばいからねぇ……】

【なんかこう……脳みそが溶けそうなんだよなぁ……】

【あー、聞いてるだけで知能指数が下がっていく……】

 

【レベルとか下がりそう】

【本当に下がるかもね】

【ガチで下がったらやばいから!! どんだけの人が見てるんだよこれぇ!?】

【人類の退化が、今この瞬間にも……】

【草】

 

「いろいろ持ってきたし、3日くらいならしのげそうだけど……それ以上は厳しそうだよねぇ」

「おトイレもお風呂も食器もないものねぇ。 机すらないわ」

 

「お母さん、モンスターに囲まれてる状況で心配することじゃないと思うよ?」

「でも大切よ? この前見たサバイバル関係の動画でもそう言ってた気がするもの」

 

「大丈夫、僕たち水と食料はあるから。 3日分だけど」

「なら安心ね!」

 

【うーん、このユズワールドっぷりよ】

【待って!? あと1、2時間すればユズちゃんたちのおトイレタイムが!?】

【ガタタッ】

【さすがに配信AIがガードするだろ】

【だな】

 

【そんな……】

【どうして……】

【一生に一度で良い  一生に一度で良いんだ……】

【うぅ……】

【お願い……キャッシング枠使って投げ銭するから……】

【草】

【末裔どものコメントがひどすぎて草】

 

「……きゅひーっ……きゅひ……」

 

「ありがとね。 無理しないで、いざとなったらチョコに覆ってもらえるからさ」

 

だんだんビーム自体の威力も精度も落ちてきている。

 

……当然か、昨日だって僕と一緒に屋根に転がるくらいに撃ってくれたんだもんね。

 

こういうとき、僕自身の弱さが悔しいんだ。

 

「僕自身に、戦う力があれば……」

「ゆず、そんなこと言わないで」

 

そう言いながら、ぎゅっと抱きしめてくるお母さん。

 

ああ、羽ってやっぱり半透明だし取れてるし、こうして2人がくっついててもぶつかったりしないで普通に飛べるんだな。

 

そんな、どうでもいいことが頭に浮かぶ。

 

「ゆずは、弱くなんてないわ」

「だって、今もおまんじゅうに、こんなに……」

 

お母さんの髪の毛がくすぐったい。

 

【ユズねぇ……】

【ママぁ……】

【これはママの風格】

【ユズネェはユズママだった……?】

【すでに記憶から改竄されてて草】

【良い場面だってば!!】

 

おまんじゅうが倒してくれた正面の敵は、あと数分もすれば接触するだろう。

 

……その直前にチョコに頼んで、隠れるしかなさそうだな。

 

「やっぱり、弱いよ。 こういうときに理央ちゃんとかなら拳でなんとかできるし、ひなたちゃんなら大きな剣でずばっとできるし。 あやさんなら、魔法で吹き飛ばせるんだもん。 僕自身は、なんにも……」

 

男なのに。

 

男なのに、いつもいつも守られてばっかり。

 

だから、ここに居ない3人の顔が浮かぶんだ。

 

「早く……会いたいなぁ」

「そのためにも、まずは生き延びないとね!」

 

【あ、理央様が】

【草】

【あー、まーたマイクぶっ壊しましたねぇ……】

【えぇ……】

【もう何台目よ草】

【そらこんな場面で自分のこと言われたらねぇ……】

 

【ひなたちゃんが無邪気に喜んでいる】

【かわいいね】

【あやちゃんも顔赤くしてうつむいてる】

【ほほえましいね】

 

【「柚希せんぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」】

 

【うるせぇ!!!】

【草】

【理央様、肺活量すごくない?】

【ユズちゃんへの愛が深いからね】

【でもどれだけ深くても伝わらないんだよね……】

【ぶわっ】

 

【どう考えても今そんな感想抱く場面じゃないのに……】

【ユズちゃん自身もユズちゃんの周りもことごとく愉快だからしょうがないよね】

【草】

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