ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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22話 ユニコーンってレーザーで攻撃するんだ……

「ぴぎっ、ぴぎっ」

 

目の前に居るのはモンスター。

 

普通に近づかれたら火傷にもなるし、攻撃されたら骨も折れるらしい、恐ろしいモンスター。

 

しょせんはスライム。

普通の人はそう言うけど、僕はそれでも怖い。

 

しかも僕はテイマー。

僕自身が強くなるわけじゃない。

 

「………………………………」

 

でも。

 

「きゅい」

 

僕には、この子がいる。

……なら、きっと大丈夫。

 

だよね?

 

「ぴぎっ、ぴぎっ」

 

そんなスライムたちは……さっきまで強かった子たちが下がって、今はおろおろしてる僕しかいないからか、だんだんと飛び跳ねながら近づいてくる。

 

……僕でさえ倒せた相手だ、ほとんど意志なんかなくって、ただ本能で戦ってるんだろうね。

 

こっちが攻撃してこない人間だって思ったのか、ぺっちんぺっちん跳ねながらやる気は満々。

 

「……でも、おまんじゅう。 どうやって攻撃するの?」

 

 

「――――――――――――――――ぎゅいっ」

 

 

「わっ!?」

 

なんかちょっと低めの声で鳴いたおまんじゅうを見下ろ――そうとしたら、ものすごくまぶしくて思わず目を閉じちゃった。

 

【うおっまぶし】

【何だ!?】

【薄暗い画面が真っ白になって目が! 目があああ!】

【視聴者の目もやられた!】

【何が起こった】

 

「まぶしー!」

「……これは……!」

 

けども、まぶしかったのはどうやら一瞬。

 

すぐに収まって、まだちょっとちかちかする目を開けて……まずはモンスターから距離取ろうって思った。

 

けど。

 

「……え?」

 

じゅううう。

地面が赤くなってる。

 

あれ?

 

「スライム……いない……?」

「きゅいっ!」

 

【え?】

【何が起きたん?】

【分からん】

【えっと、もしかして……】

 

「……レーザー攻撃。 しかも数体を、範囲で……まさかユニコーンがそんな攻撃手段を。 ……確か4、5体居たはずですから分散していたはず……ということは、最低でも威力は、レベル……」

 

振り返ると、びっくりした顔の教官さん。

 

「?」

「きゅい」

 

戻った声に目を落とすと……あれ。

 

「こぶが……角に」

「……どうやら、そこから攻撃したようですね」

 

しかも、ちょっとあったかくなってる?

 

【えっ】

【ちょっと待って、いきなりレーザー!?】

【こんな遠距離かつ範囲攻撃できるの!?】

【今のレベル1とかだよな!?】

【マジで?】

 

【ユニコーンってそういう攻撃するんだ……】

【何か想像と違う……】

【でも確かに、ユニコーンが攻撃するって言ったら角で突撃だけど、さっきまで生えてなかったもんな】

【今でもちっちゃくて刺さらなさそうだし……】

 

【Wiki調べたら、「今まで目撃例があっても逃げられて戦闘例はないため、攻撃手段は不明」……らしいぞ】

【つまり、レーザーで遠くから攻撃もできるのに、人間との交戦を避ける賢さのあるモンスターなのか】

【しゅごい】

【モンスターってほとんど脳筋なのに……】

【はえー】

 

「……すごいすごいすごい! すごいよゆずきちゃん!」

「ええ、今の光……痺れました」

 

「え、えぇっとぉ……僕じゃなくて、この子がしましたから……」

 

光ったかと思ったら、数匹のモンスターがいなくなって結晶だけになってた。

 

その威力は……ひなたさんの斬撃攻撃で何回か、夢月さんの魔法で2発で倒せるはずのスライムを、何匹も。

 

……確かに、すごい。

 

すごいけど。

 

「おまんじゅう……無理してない?」

「きゅい」

「今ので疲れてない? 眠くない? 気持ち悪くない?」

「きゅいきゅいきゅい」

 

「……そっか」

 

こんな攻撃。

 

てっきりあのときに襲われてた記憶で、思いっ切りの必殺技でも出したのかって思ったけど、なんかけろっとしてるらしいおまんじゅう。

 

「すごいね、おまんじゅう」

「きゅいっ」

 

……うん。

 

もしかしたら。

もしかしたら、僕。

 

おまんじゅうと一緒なら――本当に、この生活を変えられるかもしれない。

 

もしかしたらずっと田舎で、それも正社員にもなれなくてずっとバイト暮らしでみんなに置いて行かれる、そんな、寝る前によく考えてた未来から。

 

【優しい】

【ユズちゃん優しい……】

【テイマーの人って動物にも好かれるって言うしな……】

 

【つまりユズちゃんのこれは素ってことで?】

【お前、ユズちゃんが計算してこういうのできると思うか?】

【思わない】

【思えない】

【だって事故配信2連続だし】

【それすらも計算ずくだったらもう何も信じられない】

【ああ……】

 

「……で、では、先へ進みましょう……向日さんもモンスターとの近距離での戦いには問題なさそうですし」

「もちろん!」

 

「夢月さんも、魔法、着弾地点がかなりピンポイントですから誤射の心配もありませんね。 撃ちすぎて魔力不足になるのが心配な程度でしょうか」

「ええ……」

 

「……で、星野さんは」

 

ぴたり。

 

立ち止まった教官さんが僕を見てくる。

 

「?」

「きゅい?」

 

「……次に攻撃するタイミングを指示します。 そのときに、もっと低威力で……できたら1体だけを攻撃。 そのような意識で試してみてもらえますと……ほら、このままですと前線の方が……」

 

「……私に当たったら?」

「……リストバンドと救護班の治癒魔法で助かるとは言え、良くて大やけど……でしょうか……」

 

「ゆずきちゃん!!」

「は、はいっ、気をつけますぅ!」

 

【草】

【ロリがロリを怒っている】

【そらそうよ】

【ロリでもさっきの威力を理解している】

【そらそうよ(2回目】

 

「……星野さんが遠距離で範囲攻撃をできるのなら……私、必要でしょうか……?」

「だっ、大丈夫です! ……ほら、魔法とか……かっこいいですし!!」

 

【草】

【ユズちゃん、それ慰めになってないよ?】

【ま、まぁ、多分ユズちゃんのユニコーンが特別なだけだから……】

【そうだよな、普通は普通のモンスターテイムするからこんなのはな……】

【ワイバーンとかにならないと、遠距離攻撃ってないもんなぁ……】

 

【ロリがめっちゃユズちゃんのこと振り返ってる】

【そらそうよ(3回目】

【ユズちゃんに背中を預けるのが怖いと見た】

【そらそうよ(4回目】

【ロリちゃん、良かったね……ユズちゃんがおとなしい性格で、ユニコーンも気性が穏やかで……】

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