ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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253話 僕は一生ちっこいらしい

「?」

 

僕の思考が拒む。

僕の理解が拒む。

 

僕たちが、まさか人間じゃなくなっていて、って。

 

「……あと、たった今も膨大すぎる魔力を探知しましたので……恐らくは、ユズ様は……既に、おやびん様やワタシをしのぐ魔族の領域かと……」

 

「ああ、先ほどのは死を覚悟したね……」

「あのブラックホールをこんなところでいきなり生み出そうとしていたものね……」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

お母さんと目が合う。

 

「?」

「?」

 

たぶん、お母さんもおんなじだ。

 

分かってるけど分かりたくない、分かりたくないから考えない。

 

たとえば僕がどこからどう見ても小学生の女の子だとか、お母さんがどこからどう見ても中高生の女の子だとか。

 

【ごらんよ  これが理解度100と理解度0の差だよ】

【草】

【ユズねぇ、やっぱ高校生でも怪しいって】

【ユズちゃんも中学生でも怪しいって】

【2人とも、本当は何歳なんだ……】

 

「……ついでに申しますと……半魔族まで至りますと、ほぼ不老になりますので……ええ……」

 

「!?」

「!?」

 

理解しないといけない言葉が来た。

 

体がびくってなる。

お母さんもびくってなってる。

 

【草】

【草】

【ダブルユズがすっごい反応した】

【草】

【え? 老いないってすごいんじゃ?】

【いや、ユズちゃんは……】

【ああ、コンプレックスだって言ってたもんね……】

 

「……僕が、身長、伸びなくなったのって……」

 

「お――姉様が、恐らくは10年ほど前から。 そして同じ家に住み、同じだけの魔力を浴び続けたユズ様が……成長途中で止まったのもまた、そうだと……なにしろ、子供のうちから高濃度の魔力を吸収し続けたでしょうから……」

 

「……ということは私、老ける心配せずに済むのね!!」

 

「もう、身長が伸びないだなんて……一生、小学生に見られるだなんて……」

 

隣でぴょんぴょん嬉しそうにしてるお母さんはどうでも良くって、それよりも絶望的な真実を告げられた僕。

 

……まさか、そんな理由でダンジョンにも潜れなかった上に背も伸びなくってヒゲも生えなくって、男としての自信になるはずのものも、みんなの何分の1のままだったなんて……。

 

「……柚希先輩はかわいいのでそのままで居てくれて嬉しいです!!」

「え、ええ、可愛らしいというのにも需要があると思いますよ……?」

 

「ゆずきちゃんは、ずーっとわたしより小さいまんま……ゆずきちゃんをお世話してあげられる……」

 

【嬉しそうにしてるユズねぇ】

【絶望でうずくまったユズちゃん】

 

【興奮してる理央様】

【理央様ステイ】

【あやちゃんもなんだか目つきが……】

【ひなたちゃん、さりげなくひどいこと言ってない??】

 

「ひとまずはこのくらいでしょうか。 信じていただけると有り難いのですが……」

 

「いや、信じるよ……元から、ダンジョンに潜ってレベルの上がった人ほど老化が遅いから、そう指摘されていたし、こんなことで嘘をつく理由も無いし……」

 

「ええ……去年に出現した異界の女神も、大変に幼い見た目で数千歳ということでしたし……それが魔力の保有量と言われたら納得しかありませんから……」

 

台所でタップダンスを始めたお母さんと理央ちゃんの足音がうるさい。

 

【草】

【理央様?? ユズねぇ??】

【女子にとっては若い方が良いもんな!】

【ユズちゃんは?】

【まだ女を意識してない小学校高学年未満の女の子だから……】

【草】

 

【本気で落ち込んでるユズちゃんぺろぺろ】

【かわいい】

【コンプレックスこじらせてるのがかわいいんだよ】

【分かる】

 

「柚希さん……ずっと、お世話しますからね……」

「ゆずきちゃんのこと、妹みたいにかわいがれる日が……」

 

あやさんとひなたちゃんは何か変なこと言ってる。

 

「      」

 

「ぴ♪」

 

おまんじゅうは動かないままで、チョコはそんなおまんじゅうをずりずり引きずって庭の方に進んでる。

 

おまんじゅうの背中の毛がはげそう。

 

でも良いよ、肝心なときに助けてくれないんだもん、はげちゃえ。

 

「………………………………」

 

僕は、ぼんやりと考える。

 

ダンジョンなんてものが、なければなぁ。

 

そうしたら今ごろは、こんな女の子の格好して女の子だって思われない見た目になってたはずなのになぁ。

 

そんな、人生の理不尽さをかみしめて。

 

全部全部、ダンジョンってやつのせいなんだって。

 

【ああ! ユズちゃんが!】

【ハイライトが消えてる】

【かわいそうなのがかわいい】

【理央様、あとで慰めたげて……】

 

【ユズちゃんのことだからすぐケロッとするかと思ったんだが】

【いろいろ爆発してたし、ストレス溜まってるだろうし】

【あー】

【3日間もダンジョンの中だもんなぁ】

 

「……で、どうやったら出られるんですか……僕が一生子供扱いされるのはもう確定として諦めてますけど……」

 

「ゆず!! とても良いことなのよ!!」

 

力が出ない僕の真横で、ここ10年で最も元気そうな動きをしてるお母さん。

 

お母さん……男はね、同世代からは年上に見られたいものなんだよ?

 

「良いことです!!!」

「そうです!!」

「ゆずきちゃんはそのままでいいの」

 

みんながぽんぽんって頭を撫でてきている。

 

……でも、小学生と同世代と大学生の女の子たちにそういう扱いをされるって時点で、僕の心はひしゃげるんだ。

 

【草】

【みんなに撫で撫でされてるユズちゃん】

【かわいいね】

【かわいいね】

【草】

 

【ユズちゃんが本気で落ち込んでる】

【かわいそうがかわいい】

【これもうみんなのペットじゃない?】

【ガタッッ】

【草】

 

【エリーちゃんの情報によって、今後成長しないって確定したしな】

【永遠のロリ……素晴らしい】

【魔族って素敵】

【分かる】

【えぇ……】

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