ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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266話 小さな女神さま

『――我を愚弄するか、神の幼体――――――』

 

「この見た目だけど……えっと忘れたけど、それなりに生きてるんだよね。 一応これで完成形。 心は永遠に……まぁいいや」

 

きぃぃぃん。

 

魔王さん――と、周囲に展開しているヘビさんたちが、いっせいに口から眩しい光を咥える。

 

「はぇぇ、小さいのに年上なんだぁ」

「すごいわねぇ」

 

【ゑ?】

【草】

【今その反応するぅ!?】

【ああ、やっぱりユズちゃんたちはユズちゃんたちだったよ……】

 

【あの、今、全方位からブレスが来そうなんですけど】

【ひぇぇ】

【緊張感……緊張感……どこ……?】

【シリアスさんと一緒に消えちゃったよ……】

 

『――最早耳長族など些事! この場で貴様を葬らねば、我の覇道は――――――』

 

「うん、別に私の知覚する範囲に居なければ来なかったんだけどね」

 

すっ、と。

 

彼女が、片腕を突き出す。

 

「――よりによって、『もうひとりの私』が居る世界だからさ」

 

「もうひとりの私」?

 

なんだろ、それ。

 

「その子が守護してる世界だしさ」

 

誰か大切な人が近くに居るのかな。

 

「だからさ」

 

突き出された腕の先から――手のひらから――眩しい光。

 

あったかい、光。

 

「とりあえず――ここで滅ぼされて。 ね?」

 

そう、つぶやいた彼女の手のひらと同時に、見えるすべての敵がまぶしく光って――――――

 

「――judgement」

 

 

 

 

【どうなった】

【わからん】

【見えない】

【何も見えない】

【悲しい】

【草】

 

【あのロリ女神って】

【去年現れたのとは別個体……?】

【いやでも、どう聞いても……】

【ユズちゃんは! ユズちゃんたちは!?】

 

「……けほっけほっ」

 

「ゆず、大丈夫……?」

 

まぶしくなって、何も聞こえなくなって。

 

そんな状態が何分も――ひょっとしたら何十秒だったかもしれないけども。

 

「だ、大丈夫……」

 

ようやくに視界が効くようになってきて、お母さんの声も聞こえるようになってきて。

 

【ああああよかったぁぁぁぁ】

【ああああああああ】

【まだ見えないけど無事っぽい】

【魔王と女神の攻撃が衝突したんだもんなぁ】

 

【魔王軍、それも精鋭部隊全部とだぞ】

【そうだった】

【けど、どうなったんだ……?】

 

「きゅっきゅっ」

「ぴぴぴっ」

 

……腕の中には2匹とも居る。

 

感覚では分かってたけど、声まで聞いてようやく安心できる。

 

「……あれは……?」

 

お母さんの声につられて顔を――真上に上げる。

 

――そこには、

 

「鐘?」

「おおきなベルねぇ……」

 

僕たちのずっと上に、大きな鐘が生えている。

 

それはあまりに大きいからゆっくりと動き――

 

――ごぉーん。

 

そんな大きな音が鳴ると同時に、細長い光が全部の方向に飛んでいく。

 

『ぬぉぉぉ……オオオオオォ!!!』

 

魔王さんの声に首を戻すと、そこには。

 

【えっ】

【!?】

【居ない?】

【魔王以外が……】

【もしかして:一瞬で消滅】

【はぇー】

 

【でも、予備の肉体があるって】

【いくらでも復活できるとか言ってたけど】

【何でもいい……ユズちゃんたちが無事なら……】

【ほんそれ】

 

「ふぅ。 ここは魔力が濃くて良いね」

 

振り向いた彼女は――両手に金色の弓と矢を携えている。

 

「……あなたが、女神さま……ですか?」

 

「一応ね。 たまたま移動中に聞こえたから」

 

白と黒の翼を背に、振り向いている彼女はどう見ても。

 

「……小さいんですね」

 

僕からですら、見下ろす背丈で。

 

……あと、頭の上のくるくるしてる王冠……なんだろ。

 

その上の輪っかはなんとなく分かるけども。

 

「君も、中身に比べるとずいぶんと――んん?」

 

すたすたすたと歩いてくる女神さま。

 

「すんすん……すんすんすんすん」

 

……なんだか僕の周りを回って、頭とか首筋とかを嗅いでくるんだけど……。

 

【●REC】

【もしかして:ユズちゃん、良い匂い】

【あー】

【草】

 

【異世界の女神すら虜にするのか……】

【魔族も魔王も引き寄せられてきたからね】

【エリーちゃんが灰になったり即堕ちするレベルだからなぁ】

【草】

【そもそもとしてユニコーンが懐いてるしな!】

 

「…………あー、なるほど。 だからその子が懐いてるのか」

 

「きゅい!!!!」

「おまんじゅう、うるさいよ」

 

なんか元気になってるおまんじゅうが腕の中でもぞもぞと元気すぎる。

 

「でも……」

 

「?」

 

ちらりと見上げてくる女神さま。

 

「……まぁいいや。 とりあえず、あのヘビ倒してくるね」

「あ、はい、あのヘビさんお願いします」

 

【草】

【草】

【朗報・ちょうちょと女神の意見が一致】

【草】

【上位存在同士、通じ合うものがあるんだよ】

 

きりきりきり。

 

自然な動きで、光る弓矢を引き絞ってる女神さま。

 

「予備があるなら、予備ごと貫けば良いもんね」

 

『は?』

 

しゅんっ。

 

女神さまの矢が、そのまま魔王さんに飛んでいって――。

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