ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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287話 僕はリリスだって

「あ、そうですユズ様、お母様」

 

「なになに?」

「なにかしら?」

 

夜ごはんを食べて、みんなが帰ってから少し。

 

「どうせ外に出ても狭いし」って、テイムしたモンスターさんたちの大半は僕たちの中――あのダンジョンの最下層のピンク色の空間だって――で、思いのままに過ごしてるらしい。

 

で、呼べば来るらしい。

こう、召喚陣的な何かで一瞬で。

 

「あ、これはまだ内緒ですよ?」だとか、そんなことを食べながらエリーさんから聞いてた僕たち。

 

もうすることもないと思って、いつもみたいにお母さんと2人でのんびりしてたら、ふと、なにか忘れ物をしてたみたいに話しかけられる。

 

あ、家で過ごしてる――この最上階のフロアのことね――エリーさんは、普通におしゃれな女の子って感じの服装。

 

おかげでおへそとかろっ骨とかに目が行かなくて気が楽だ。

 

「?」

「?」

 

「……本当に親子ですね」

 

「いやぁ、それほどでも……」

「いやぁ、それほどでも……」

 

僕は顔も癖も……あと結果的にだけど背の高さとか幼さまで、お母さんそっくりなんだ。

 

あ、でも、男らしさとか度胸はたぶん僕の方が上だよ。

 

だって、かわいいって言われてきゃぴきゃぴとかしないもん。

 

「あ、それで、些細なことなのですが」

 

「うん」

「ええ」

 

「ユズ様は我らの王の座に着かれましたので」

 

「ええ」

「うん。 ……うん?」

 

王の座?

 

王座?

 

「サキュバスでもありインキュバスでもあります」

 

「……?」

「……?」

 

「つまり、人間様からは……単純な見た目のせいではなく、今後はユズ様の放つ魔力のために、どちらとも取られるようになると」

 

「……元からじゃない?」

「元からだね……」

 

なんだ、些細なことだった。

 

小さいころから女の子と間違われて、大きくなっても小さいままでやっぱ女の子と思われるし、でも男って主張すると普通に男って思ってもらえる。

 

……まぁ成長できなくなったから、背伸びして中学男子までだけどね……それでも良いんだ、僕が男って思ってたら。

 

「あと、ワタシがリリスとして――以前は男性の姿となってかどわかし、ユズ様を手籠めにしようとしていましたように」

 

「あらまぁ」

「?」

 

手籠め?

 

「今のユズ様がリリス――サキュバスとインキュバスを束ねるものとしての地位を得ています」

 

「……つまり?」

 

「今後、異世界へ進出するご予定がございましたら、彼らの存在する世界でしたら一瞬でその者たちは手下になるということです。 橋頭堡としてはこれ以上なく使い勝手がよろしいかと」

 

「はえー」

「なんだかすごい話ねぇ」

 

よく分かんないけど、ケンカしないならいいや。

 

「あ、でも、お気を付けくださいまし」

 

エリーさんが、尻尾をふりふりしている。

 

「ユズ様は……なぜか2割ほどの方々が、強く強くユズ様のことを男性だと信じていますが」

「やった!」

 

「逆を申しますと、8割は女性と認識しています」

「そうねぇ……」

 

やった、僕は男だって信じられてる。

 

「ワタシたちは、人間様の情よ――こほん、感情で左右される存在。 彼らが想うように、変化します」

 

変化?

 

「ですので――ユズ様が今後、強くご意志を持っていませんと」

「持っていないと?」

 

「……気づかぬうちに、精神が。 そして次第に心までが女性となり――最後には固定化されてしまいます」

 

「!?」

 

「あらあら」

 

「もっとも、そうなりましてもワタシのように変身魔法で性別は意思で変えられますので何も問題は」

 

「あるよ! あります、エリーさん!!!」

 

だんっ。

 

思わずにテーブルを叩いちゃう僕。

 

「僕は男なの!」

「え、ええ……」

 

「じゃあみんなが僕のこと、男らしい男って認識すればむきむきに」

「いえ、もう認識はほぼ固定……」

 

「よし! これからはかっこいいとこ見せるんだ! そうだよ、おまんじゅうの力借りないときはズボンも……買えるじゃん! お金! お金入るんだし!!」

 

そうだ、僕はお金持ちになるんだ。

 

教官さんと優さんが言ってたもん、あのダンジョン攻略した報奨金とか魔族の人たちをコントロールする対価とか、僕がおとなしくしてる代わりの対価とか今もお庭でぽこぽこ生えてるだろうお野菜の販売ルートとか。

 

そうだよ、理央ちゃんたちに手伝ってもらってたあれだけでも、毎日でもズボン買えるじゃん!

 

「お母さん!! 明日、ズボン! ズボン買いに行く!!」

「え、ええ……外出許可、頼んでみるわね……」

 

「あとは美容院! この髪の毛もばっさりすれば、きっと男だって見てもらえるはずだよね!!」

 

鏡の前に立つと……うわ、なんかすごく伸びてる……前髪で片目が完全に隠れ、もう片方はヘアピンで固定。

 

横髪は胸に乗ってるし、後ろ髪は背中の真ん中くらいまで伸びてる。

 

これじゃ女の子としてしか見られない。

 

もっとクールに、スポーティにならなきゃ!

 

「お母さん!!」

「え、ええ……」

 

よし。

 

明日、僕は男になるんだ!

 

「………………………………ぎゅいぃぃぃぃ……」

 

「せ、先輩? お願いですから邪魔は……ユズ様の望みですよ?」

「ぎゅい」

 

「チョ、チョコ先輩は!?」

「ぴぴ」

 

「え!? 楽しそうだから着いて行く!? ……え、えぇー……」

 

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