ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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291話 ぷつん

「……んー、うるさい……」

 

お母さんたちが騒ぐもんだから、せっかくの気持ちよかった微睡みから起こされちゃった。

 

「……チョコ、そんなとこへばりつかないでよ……」

「ぴ」

「汚いでしょ?」

「ぴ」

 

……とりあえず、なぜかズボンとぱんつがふとももまで落ちてて、おまたからおへそにかけて、まーたチョコが張り付いてるからぺりぺりと剥がしていく。

 

この子、何回か守ってくれたのはありがたいんだけどさぁ……こうやってじゃれつくようにして肌に密着してくるからなぁ。

 

この前なんか首から下が全部チョコのボディースーツみたいだったし、全身ぞわぞわして頭が真っ白になったんだから。

 

「おまんじゅうも、吸わないでって……吸うならお母さんの吸ってよ……」

 

「……あの……ユズ、様……?」

「んぅ?」

 

ふと見上げると――ゆでだこみたいな顔になってるエリーさん。

 

「?」

 

「………………………………きゅう」

 

そのまま座り込んで、こてんと寝ちゃったエリーさん。

 

「……?」

 

「ゆず」

「あ、お母さん」

 

まったく分からないこの状況、どういうこと?

 

「……とりあえず、下、穿きましょうね」

「脱いだんじゃないよ、チョコのいたずらだよ」

 

「上も、ちゃんとしまってね」

「寝相じゃないってば、おまんじゅうが吸ってくるんだよ」

 

こういうときにちゃんと冤罪だって指摘しとかないと、僕がだらしないって思われちゃうんだ。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

「……あれ? エリーさんに……見られた……?」

 

え?

 

エリーさんが?

僕の下半身を?

 

え?

 

なんで?

 

理央ちゃんでもあるまいに?

 

 

 

 

「大変……たいっへん! 失礼なことを致しました……! この処分は如何様にでも……!」

 

「や、良いってば……おまんじゅうとチョコがいたずらしてたの見ちゃっただけなんでしょ?」

 

目がすっかり冷めた僕の前には、土下座を通り越した何かをしているエリーさん。

 

「それにさ」

 

僕は――理央ちゃんとの、小さいころからの思い出を浮かべる。

 

「……どうせさんざん理央ちゃんに見られて触って揉まれてきたし、なんならふざけて舐めようとされたりしたし、今さらかなって……」

 

「えっ」

 

「え?」

 

「きゅっきゅっ」

「ぴっぴっ」

 

ああ……恥ずかしかったなぁ……特に思春期入りたてのころは。

 

何がって、その……胸が膨らんできて女の子らしくなってきたのを、まるで自慢するかのようにぐいぐい顔に押し付けてきたりされたりしたし――もちろんお風呂に突撃されて。

 

それに比べたら、僕のこんなちっちゃなのを見られたりする程度、何ともないもんね。

 

「え、あの……それって」

「ゆず? 理央ちゃんにぺろぺろされたりしたの?」

「お母様!?」

 

「うん、しようとしてきたよ? 田中君のえっちな本発掘して持ってきて『これおもしろそうだからやってみましょう!!』って、お風呂に入ってきて」

 

「えぇ……」

「理央ちゃん……がんばってたのねぇ……ほろり」

「そこ、褒めるところですかお母様……」

 

腕力で敵わないからされそうになって――でも、顔近づけるとだいたいいつも固まるから、それで逃げられるんだよね。

 

あ、でも、おまただけは断固として死守したよ。

 

理央ちゃんったら、女の子に生えてない部分だからって興味津々ですーぐ顔近づけようとするんだから。

 

「……だって、ゆずのことを1番理解してて、ゆずに首ったけなのよ? それも幼稚園からずっと」

「……なるほど……ユズ様が女性でしたらともかく、男性ですとむしろ……」

 

「ええ……ゆずをもらってくれるありがたい子だから、理央ちゃんを積極的に応援してきたのだけど……」

「……たぶん、肝心なところで……視聴者様たちにも指摘されていましたから……」

 

エリーさんとお母さんがこそこそ話をしてる。

 

「……とにかくおまんじゅう? 吸うの、いい加減止めてね? 1日中ひりひりしてさ、おかげで僕、男なのにブラジャー……じゃなくても良いけど、とにかく当て布しないと痛くて動けなくなっちゃうんだから」

 

「きゅーいっ」

「やーだ、じゃないのっ」

 

「きゅーっ」

「ぴーっ」

 

「こら、チョコも真似しない! 真似して体に張り付いてこないの! ……あんっ……もうっ!」

 

胸元の2匹を叱るも、どこ吹く風でまた体に張り付いてくる。

 

……これ、なまじ意識がなんとなく伝わるから、僕のことなめてるとかそういうわけじゃないのも分かるんだよねぇ……。

 

ただただ僕とじゃれたいっていう気持ちしか来ないから、強く叱ることもできないんだ。

 

「ゆずぅ? もう女の子でいいじゃない」

 

「――――――は?」

 

ぷつん。

 

僕の中の何かが、音を立てる。

 

「お、お母様っ!」

 

「ゆずったら、みんなに女の子って思われてるんだしぃ……私譲りでこんなにかわいいんだし、もう大きくならないんだし、理央ちゃんは分かってくれてるし。 それならいっそのこと女の子としてちやほや――」

 

「あっ、あのお母様! ワタシ、ユズ様と繋がっていますので気持ちが伝わってくるのですが――」

 

「――ふぅん。 お母さん、そんなこと言うんだ」

 

お母さんと僕は、たまにケンカする。

 

元気ないときはケンカできなくて寂しくなるけど、今は元気で。

元気すぎて、ときどきかちんと来ることがなるんだ。

 

「エリーさん?」

「ひゃいぃぃぃぃぃ!?」

 

「僕、みんなが女の子だって思ってるから余計女の子になってきてるんだよね」

「は、はいぃぃ! し、しかし! ユズ様が男性の意識で居られる限り、肉体的性別までは完全にとは――」

 

「なら、みんなに言っちゃえば良いんだ」

 

「きゅいっ!?」

「ぴっぴっ」

 

すべての元凶なおまんじゅうを、ちょっと苦しい程度に抱きしめながら――僕は、配信機材へと足を進める。

 

「みんなに、僕は男ですって。 そうだよ、だいたいあやさんたちにも嘘ついてるんだ、悪いことなんだ」

 

「ゆ、ゆず!? ごめんなさい、そこまで怒るとは――」

「ううん、良いんだよお母さん」

 

僕は、くるりと――なぜか笑ってる顔を、お母さんに見せる。

 

「おかげで決心が付いた。 今からさ、暴露配信ってのでさ。 ちょっと、みんなにごめんなさいするついでに男アピールしてくるんだ」

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