ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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299話 【速報・理央様、告った】

「……え。 ……柚希先輩が……私のことを……」

 

さっきまで泣いてたせいで流れていた涙は、きょとんとした顔に吸い込まれている。

 

僕をがっしり掴んでいたその両手は、気がついたら離れていて宙をさまよっている。

 

【?】

【なんだなんだ】

【理央様が強烈なハグしてたのまでは見えてたけど】

【ちょうどビルの影で……ちょっとヘリの人たちー!】

【なんだか話し込んでいるらしいが……?】

 

「――――――――きゅい」

「ぴ」

 

「……畏まりました、先輩方」

 

【お、おい!?<URL>】

 

【なんだこれ……ふぁっ!?】

【ユズちゃんの配信んんん!?】

【え、え?】

【速報・なぜか配信スタート】

【よくわからんがとりあえず乗り込め!!】

 

【あの、配信できないからこうして遠くから見てたんじゃ……】

【うわ、理央様顔真っ赤】

【かわいい】

【泣いてる……いや、泣いてた?】

【なかないで】

 

「あ、あの、エリーさん?」

「配信はしないって……それで上を説得して!」

 

「――申し訳ございません、お二方。 ワタシは、ユズ様の幸せが、最優先でございますので。 ……それに、この場面では……その余裕は、ユズ様には無いと思いますから」

 

なんだか教官さんと優さんが焦ってるけど、そんなことはどうでもいい。

 

理央ちゃんと僕は、お互いに事態を飲み込めないでいる。

 

……え?

 

理央ちゃんが……僕のことを……好き?

 

それも、likeじゃ……ない方の……?

 

「……そうだよ、ゆずきちゃん」

「え、ひなたちゃん……?」

 

理央ちゃんにぎゅっと抱きついたひなたちゃんが、僕を見てくる。

 

「りおちゃんはね、ゆずきちゃんのことが好きなの。 大好きなの」

「は、はい……けど」

 

「――恋愛的な意味、ですよ。 こう言えば、さすがにお分かりでしょう?」

「……あや、さん」

 

理央ちゃんを反対側からも――優しく抱きしめている、あやさん。

 

【ふぁっ!?】

【!?!?】

【ちょっと待ってちょっと待って】

【なんでここまで何百段飛ばしになってるの!?!?】

 

【なんかこう、論理そのものが飛躍してない??】

【だっていつもなら絶対、ユズちゃんは理解できなくって理央様はヘタれるのに……】

【そのためにひなあやが動いたか】

【じれったいのにとうとう動いたんだな……】

 

【草】

【ひでぇ】

【いや、だって……】

【なぁ……?】

 

【理央様が……ついに理央様が!】

【意識だけはしてもらえる可能性が! ゼロから抜け出しましたわ!】

【草】

【ああうん……理央様の普段が普段だからねぇ……】

 

【速報・理央様、報われる】

【落ち着け、まだ早いぞ】

【そうだぞ、普通にダメかもしれないんだ】

【ユズちゃんの趣味はともかく、やっぱり女の子同士だからなぁ……】

 

【え? でもさ、エリーちゃんの顔と体って、ユズちゃんが好きな姿なんでしょ?】

 

【!!!!!】

【……これ、まさか……?】

【まさか、駅前の繁華街で……】

 

【気がつけば、お店の人たちが総出になってて……】

【兵士さんたちも食い入るように見てて……】

【ヘリが生中継してる中で……】

 

【草】

【草】

【まさかの衆人環視】

【これでばっさり断られたら、理央様……】

 

【大丈夫  理央様はへこたれないよ】

【なにしろ10年以上、断られる以前だったんだからな!】

【断られたとしたって、認識されたって時点で飛躍的な進歩だよ】

【かわいそう】

【本当にかわいそう……】

 

「……え。 …………え」

 

頭がぐるぐるする。

 

理央ちゃんが、僕のことを好き。

 

それは知ってる。

 

昔から毎日言われてきた。

 

こそばゆかったけどそれが嬉しかった。

嬉しかったけど恥ずかしいから軽く流してた。

 

理央ちゃんは、それで良いみたいだった。

 

だからこれは、友達としての好きなんだって。

 

……だけど違うの?

 

そうなの?

 

そうじゃないの?

 

「………………………………?」

 

「……りおちゃん」

「理央さん」

 

「ふ、ふたりとも……?」

 

「……理央ちゃん、言うなら今よ」

「……お義母さんまで……」

 

「きゅ♪」

「ぴ♪」

 

いつの間にか僕の腕の中から逃げていたおまんじゅうとチョコが、近くでぴょんぴょん跳ねている。

 

……けど……え?

 

理央ちゃんが?

 

僕のことを?

 

田中君のことじゃなくって?

 

だってほら、いつもバイト先でも3人の誰かのお家で遊んでも。

 

2人はいつも距離が近くって、こそこそ話してたよね?

 

「……柚希、先輩」

 

顔を上げた僕の前で――理央ちゃんが。

 

潤んだ瞳で。

 

普段のにやけ顔とは違って。

 

眉が困った感じになってて。

 

でも、両手を胸の前でぎゅっとしていて。

 

――――――――真剣で。

 

「私は。 ……すぅっ」

 

くらくらする。

 

非現実的な感覚。

 

僕の中の何かが、ここから逃げようって言ってる。

 

けども、僕はそれを押さえつける。

 

――なんとなく、分かっちゃった。

 

なんとなく、理解しちゃった。

 

けど――ここで理央ちゃんから逃げるのは、男じゃない。

 

そうだ、男じゃないんだ。

 

「……私、光宮理央は」

 

彼女が、僕に言う。

 

「――柚希先輩。 星野柚希先輩のことが……好きです。 その……お、女の子として」

 

【ひゃっふぅぅぅぅ!!!】

【祭りじゃ祭りじゃ】

【理央様ぁぁぁぁぁぁぁ】

【わぁぁぁぁぁん!!!】

 

【ついに……ついにちゃんと告ってるぅぅぅぅ】

【どうしてこんな流れになったのかさっぱりだけどめでたすぎる】

【あ、理央様応援スレが一瞬で落ちたわ】

【予備の方も落ちたぞ!】

【草】

【安心して、今祭りどころじゃないから】

 

【まさかの全世界生中継での告白】

【ああ……!】

【前にも配信で愛をシャウトしていた女だ……面構えが違う……】

【草】

 

【そうだったわ、わりと駆け出しのころやってたわ理央様……】

【泣きそう  ないてた】

【今日は飲もう  たとえユズちゃんが受け入れなくたって、1歩前進どころの話じゃない】

【ああ……ああ……!】

 

【ユズちゃんは!?】

 

【ちょうちょ……してない!?】

【ちゃんと理央様のことみてるぅぅぅぅ!!!】

【マジかよ奇跡だな】

【この前のロリ女神降臨と同じレベルの奇跡だよな!】

【草】

 

【なんでもいい、理央様の十数年に渡る一方的片想いが伝わっただけで……!】

 

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