ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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300話 なぜか泣いちゃった

「?」

 

理央ちゃんが、僕のことを好き。

 

「……?」

 

理央ちゃんが、僕のことを、女の子として、好き。

 

 

「…………?」

 

幼なじみで、幼稚園から週に3回はお風呂に入ってきた理央ちゃんが、僕のことを、好き。

 

「……………………?」

 

田中君を好きな彼女が、僕のことを、好き。

 

「…………………………?」

 

あ、でも、田中君のこと、そういや好きだとかデートしたいとか、1回も相談されたことないんじゃ?

 

「………………………………?」

 

待って待って落ち着こう。

 

まず、理央ちゃんは僕のことを男だとは見ていない。

 

だって、こんなにも――なにしろ登録者数百万とかちょっとおかしいことになってる人たちのほとんどでさえ、僕のことを女の子だって思っているくらいだ。

 

しかも、みんなに言わせると――僕は、ひなたちゃんと同じかそれよりしたの小学生女子。

 

そんな見た目の男のことを好きになる女の子とか、居ないはずだ。

 

そうだ、ありえない。

 

だって。

 

理央ちゃんがよく貸してきた少女漫画には、あごが長くて尖ってて細くって、目も尖って細くって、体も長くて細いっていう三角形な男の人が女の子の恋愛対象だったから。

 

女の子はみんなそういう人が好きなんだし、なにより理央ちゃん自身も「こういう男の人って憧れますねー」っていつも言ってたし。

 

……それとは違う系統だけども、イケメンって言う部類で金髪に染めてる短髪で、体はがっしりしてて背は高くって筋肉もりもりでちょい悪な田中くん。

 

彼みたいな男の人が主人公の女の子を籠絡してくる系の小説とか、よく「読んでください!」って渡してきてたもん。

 

だから、理央ちゃんは田中君が好きってことで。

 

だから、僕に――子分ではあるけども友だちとも見てくれてる気がする彼を、理央ちゃんに振り向かせようと……がんばって来たんだ。

 

たとえば毎年のイベント。

 

節分から夏祭り、秋祭りに初詣と、事あるごとに理央ちゃんと田中君を誘ってお祭りに行った。

 

そうして話が盛り上がってきたときに、さりげなく2人っきりにしてあげた。

 

せっかく僕が絶妙な具合ではぐれてからしばらくして、なぜか僕がちょっと悲しくなって、思わず涙が出そうになったときに――なぜか2人とも汗だくになって僕を見つけてくれてたけども。

 

たとえば休みの日。

 

僕は――もう10年も続けてすっかりいつものことになってたけども、2人に連絡を取って、3人で遊ぶ予定を立てて。

 

……僕だけこっそり、何か用事ができたとかでフェードアウトしたりしていた。

 

そうだ、僕は、2人をくっつけたかったんだ。

 

だって2人は――僕は良く分からないけども、一般的には「かわいい」と「かっこいい」で。

 

「お似合い」で「初々しい」で「理想的な女の子と男の子の組み合わせ」で。

 

だから。

 

だから。

 

「……うぇっ!? ちょ、柚希先輩!?」

 

「………………………………ぇ」

 

【ふぁっ!?】

【ユズちゃん!?】

【なかないで】

【え、なんでユズちゃんが泣いてるの!?】

 

【理央様最低ですわ!!!】

【淑女同盟失格ですわ!!!】

【草】

【速攻で裏切ってて草】

 

【いえ、私たちは、あくまでユズちゃん在っての理央様ですので……】

【理央様とユズ様、どちらを取るかと言えば……】

【迷わずにユズ様ですし……】

【百合の花の中心の方が花弁よりも重要ですし……】

 

【草】

【草】

【表現んんん!!】

【ま、まあ、メンタル的にはユズちゃんの心配だよな……】

【それな】

 

【年下なのになぜか「先輩」呼びするわ当ててんのよするわ揉みしだくわセクハラするわ一方的な伝わらない愛を叫ぶわマイクさんを累計で111台ぶっ壊すわしてきた理央様なんかよりも、かわいくてちょうちょなユズちゃんだよな!】

 

【草】

【改めてひどい】

【理央様……】

【何一つとして擁護できませんわ!】

【草】

 

「え、あれ……僕、泣いて……ぐす」

 

あれ、おかしいな。

 

僕、なぜか泣いてる。

 

いや、泣いてるんじゃない。

 

涙が――なぜか止まらないんだ。

 

「ひっく、ひっく……」

 

【ユズちゃん……】

【きょとんとした顔で、ただ涙が……】

 

【あのさ  本当に悲しいときとか嬉しいときってさ  ただ、涙が出るんだよ】

 

【ああ  理解が追いつかないんだよな】

 

【わけも分からないのに涙が止まらなくってさ、それが不思議でさ】

 

【分かる、分かるよ】

 

【――人の心が分からないと言われていた僕が昔、1度だけ泣いたのも、彼女から告白されたときだった】

 

【――もう意識が戻らないと言われたあの人が目を開けたときの私も、そうだった】

 

【――骨になったあの子が夢枕に立ってくれた翌朝の俺も、そうだった】

 

【――モンスターに食べられる瞬間を見たはずだった亡き妻のはずの存在が、女神に救われたと知ったときの儂もそうだった】

 

【なんか、ここ……重くない……?】

 

「……柚希さん」

「ゆずき、ちゃん」

 

「ごめん……ごめんね」

 

涙が、止まらない。

 

拭っても押さえつけても、僕の意思に反して出続けているんだ。

 

「――ゆず」

 

……ぎゅっ。

 

僕を、優しく抱きしめてくれるお母さん。

 

【ユズちゃん……】

【ユズねぇ……】

【ユズちゃん、肩、震えてる……】

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