ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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323話 ふくらんではまった

「………………………………っ」

 

「ゆ、ゆずきちゃん!? だいじょうぶ!?」

「先ほどから急に様子が……!」

 

「い、今、優さんたちに連絡……してるけど、話し中みたいで……!」

 

膨らむ。

 

ふくらむ。

 

僕の中の知らない感覚が、膨らんでいく。

 

【やばくね?】

【ユズちゃん大丈夫!?】

【サバト魔法が拡大しすぎている……?】

【あ、確かさ、エリーちゃん、前に言ってたよな?】

【なんて?】

【おい、そんな場合じゃ】

 

【サキュバスとかインキュバスって、配信とかしてると見てる人からえっちなエネルギー吸収して強くなれるって】

 

【草】

【えっち言うな】

【まぁでも言ってることはその通りっぽいし……?】

【ああ、人に直接えっちなことを……してほしいんだけど!!】

【草】

【だからユズちゃんが苦しそうにしてるんだってば!!】

 

「……んっ」

 

かちり。

 

僕の中の――なにかのスイッチが、入る。

 

【!?】

【●REC】

【もしかして:ユズちゃんもえっちな気分になった】

【もしかして:理央様のせいでキャンセルされたらしい総受けショタハー、再会】

【!!!!!】

 

「……柚希、先輩……?」

「ゆ、ゆずきちゃんが……」

 

「きゅい」

「ぴ」

 

ぶわっ。

 

僕の中から、なにかがあふれ出す。

 

けれどもそれは、さっきと違って「制御された力」。

 

「……先ほどのような気分にはなりませんが……明らかに魔力が高まっているような……」

 

【!!】

【あやちゃん!?】

【さっきの気分って!? さっきの気分ってなに!?】

【ぐへへへ、どんな気分だったのか言ってみようかあやちゃん】

【お前ら……】

【あの、なんかカメラ越しでもユズちゃんの回り、なんか渦巻いてるような――】

 

「――――――――あ、そうなんだ」

 

かちり。

 

僕の中の――奥深くにあったらしい、「それ」がはまり込む。

 

急に軽くなった気がする体を起こし、立ち上がる。

 

「……先輩……?」

 

僕から少し離れたところに――電話を掛けていたらしい理央ちゃんが居る。

 

僕の、物心つく時期からずっと一緒だった女の子。

 

リアクションがいちいち大きいから髪の毛がふわふわ揺れがちで、高校1年生にしてはちょっと幼いけど小さいころから比べると随分育った、女の子らしい顔と体つきになった子。

 

事あるごとに――週に4回以上はお風呂に突撃してきて、結局毎回一緒に入って、中学までは「幼なじみなのでこれが普通なんです!」とかウソついて、体の洗いっことかさせてた子。

 

その毎回で――小学校のときから、香りを漂わせていた子。

 

僕はそれを、ずっと――つい最近まで、それも含めて彼女の匂いだって認識していた。

 

「ゆずきちゃん……?」

 

ひなたちゃんが――かちりとなる直前で苦しかった僕を抱きしめようとしていた彼女が、見上げてきている。

 

長い髪を横でひと房縛り、小学生らしいあどけなさがある中でふとしたときの目つきは――理央ちゃんほどじゃないけど、かすかに香りが漂ってくる子。

 

「大丈夫、ですか……?」

 

おっかなびっくりで僕に近づこうとした態勢のままで固まっている――大学生らしくいつも目立たないけどおしゃれな服装な、あやさん。

 

大学生だけど大人というよりはまだ高校生のままな印象の、物静かで控えめで、けれどもそんな性格に見合わないお胸が邪魔って言っていた子。

 

――さっき、ぶわっと漂わせてきていた子。

 

「………………………………」

 

【ユズちゃん……?】

【大丈夫……?】

【なんかユズちゃんが】

【こわいよー】

 

【ユズちゃんがちょうちょもせずに真顔で立っている……!?】

 

【草】

【草】

【いやまあそうなんだけどそれ言ってる場合!?】

【ユズちゃんが次になにするか見当つかない恐怖】

【分かる】

 

「……おまんじゅう、チョコ」

 

「きゅっ」

「ぴっ」

 

ぽてぽて。

 

2匹が、僕の腕の中に収まる。

 

「……おやびんさん」

 

「――分かったか? 俺様に交尾迫ろうとするんなら、せめて俺様にケンカで勝てる――ん? ユズか?」

 

おやびんさんが――やっぱり山賊の女首領さんみたいな格好の、がっちりとした体つきでお胸もあやさんにせまる、赤髪をぼさぼさに散らした女の人に変身してる彼女が、あの盃を片手に出現する。

 

【!?】

【え? え?】

【おやびん!?】

【朗報・おやびん、女の子だった】

【マジで!?】

 

【でかい】

【でかい】

【あやちゃんはマシュマロ、おやびんはおもち】

【うむ】

【ふぅ……】

 

【うわめっちゃ美人】

【てか格好よ】

【ああ、これは「おやびん」だわ】

 

「……エリーさん」

 

「――ですから、ユズ様はあれでもまだリリスとして目覚めたばかりの、文字どおりの幼体でして――――――ユズ様ぁ!?」

 

家にいるときの、おしゃれなお姉さんって服装のエリーさん。

 

顔は理央ちゃんそっくり、胸のサイズも腰のサイズもおしりのサイズも、すべてが理央ちゃんとほとんど一緒で、でもやっぱりぜんぜん違う印象の彼女。

 

【エリーちゃん!】

【ふぁっ!?】

【あっ……いい……】

【痴女なのに、いや、だからこそ普段着が普通の格好とか……】

【●REC】

【なるほど、これがギャップ萌え……】

 

「……優さん」

 

「――はい、柚希さんは未知数の存在ですが、性格は極めて穏やかで優しく、ちょう――のんびりした人なので、自分から望んで世界を混乱――あれ?」

 

【!!!】

【月岡の妹さん!!】

【美人さん】

【できる女の人って感じ】

【分かる】

【スーツ着てる!!】

【高身長女子っていいよね】

 

【え、これ、どゆこと?】

【もしかして:ユズちゃん、みんなを召喚】

【えぇ……】

【え? ユズちゃん、やろうと思えば誰でも目の前に連れてこれる?】

【あっ】

 

「みんな」

 

僕は、「動きやすい服装」に――着ている服を繊維に変換して魔力を混ぜて再構成する。

 

「ちょっと、お願いしたいことが――あるんだ」

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