ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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348話 小中高大融合学園都市爆誕(地元)

「え、ええと……ユズ様?」

 

「? エリーさん?」

 

エリーさんが――理央ちゃんと双子レベルでそっくりになっている彼女が、彼女と同じように制服を着こなして――僕の隣に座っている。

 

「……??」

 

あれ?

 

なんで下の学年のはずの理央ちゃんにひなたちゃん、上のはずのあやさんに優さんが?

あと魔族のはずのエリーさんまで?

 

「……こほん。リリスモードに切り替えてくださいませんか?」

 

「え? リリスモード? ――――――――――あ、はい」

 

ふわりと魔力を展開し、僕の中のかちりと意識を切り替える。

 

――大丈夫、何十回も練習したから使う魔力は最小限で、武装で防具なあの紐は展開していない。

 

ただ、意識が――英語の授業中みたいに切り替わるだけ。

 

「――――――あー、そうだった。政府と各国の協議、あとはひなたちゃんのお母さんたちのおかげで特別な処置にしてもらったんだよね」

 

そうだ。

そもそも僕たちが有名になりすぎて、外に出ることすら危ないって話になったんだ。

 

けども僕たちは学生――それは困る。

や、張本人の僕はともかく、みんなは。

 

「うん! 移設作業で雇用も生み出せたって喜んでたよ!」

 

「そういう面で説得してくれたんだよね。ありがとう、ひなたちゃん」

「……ユズおねえさま……」

 

「ユズちゃんが……」

「えっち……」

「見た目はまったく変わらないのに、目つきだけで……」

「ふぅ……」

 

「で、セキュリティ上の問題もあるから、どうせだからって優さんとあやさんの大学も、学科ごと移転してきた。結構強引な手続きして」

 

警護のしやすいように、僕たちの生活圏を可能な限りにまとめるっていう方策。

 

これは一見無茶ぶりでいて、実はすごく合理的だ。

なにしろ、守るべきエリアが相当に絞られる。

 

「はい……あ、あの、せめて服だけは私服じゃ……」

「俺――私たち……この格好で講義、行くことになるんだよね……」

 

……で、少なくとも当面は僕たち自身もなるべく1か所に集まっている方が対処しやすい。

 

だから――なんか大学のキャンパスをそのまま物理的に持ってくるとかすごいことやっときながらも授業もとい講義のない時間帯は、あやさんと優さんはこの教室で自習か引っ越した先のお家で待機。

 

……制服なのは……確かひなたちゃんが強引に推し進めたような?

 

「似合っていると思いますよ? ――僕は、好きですよ」

 

「あっ……」

「そ、そうか……それなら……」

 

「19歳女子と21歳女子が高校生の制服を……」

「いい……」

「大人の魅力な夢月さんに、男装解いてもかっこいい月岡さん……」

「そんな2人も、ユズちゃんに……」

 

「あ、でも、さすがに2人の服装は普通でも」

「はい、ユズ様、現状認識をありがとうございます。ではまたちょうちょモードへスイッチングを」

 

「ついでで監視対象のエリーさんも高校生として――――

――ちょうちょモードってなんですか? あ、もう切り替わ――――」

 

「………………………………」

 

「……賢くなくなったこの感覚、ちょっと好きじゃないなぁ」

 

急に頭がぼーっとする感覚。

 

これはダンジョンに潜るようになってから知ったお酒を――強いお酒をぐいーっと飲んでくらっとする、あの感覚。

 

……僕、この状態が普通なままで高校生までやってきたんだよね。

 

うん、勉強とか読書とかは、集中しようとすればなんとか今まで通りにできる。

 

けども、人との会話は――特に軽い内容で聞き流しても問題ないようなものは、気がつくとそのへんをぼんやり見てたりする。

 

だから、「ちょうちょモード」。

 

……これもあんまり好きじゃないけど、それでみんなが分かりやすいなら。

 

「………………………………」

 

「本当に便利になったなぁ」

「普段のちょうちょとかしこくてえっちなリリスが一瞬で」

「しかも認識は共有されるし」

「あのおかげで半年分の勉強にも追いつけたとか……さすがだな」

 

「………………………………」

 

「申し訳ありません。ですが、まだユズ様は幼体……本来の器に育つまで、リリスモードとも呼ぶべき本来の意識は維持が困難かと」

 

「それってどのくらいでなれるんですか?」

 

「……1000年くらいでしょうか?」

「えっ」

 

「まぁそのくらいでしたら適当に人族と魔界とを行き来していれば自然に――」

 

「あの、エリーさん」

「?」

 

きょとんと首をかしげる彼女は、やっぱり理央ちゃんそっくり。

 

「……人の寿命って、この世界でも長くて80とかなんですけど……平均で」

 

「えっ。………………………………あっ」

 

「……こっちで暮らすなら、もう少し感覚に慣れてくださいね」

 

もったくもう、そんな魔族さんたちの感覚で――え?

 

「え、あの、エリーさん。僕、1000年とか生きるんですか?」

 

「え? え、ええ……ユズ様ほどの魔力でしたら、数千年は固いかと……」

「えっ」

 

「エリーさん! その場合柚希先輩は私が生きてるあいだずっとこのままということですか!!」

「そ、そうですね……幼体が終わるまではお姿に変わりはないかと……」

 

「良かった。わたしがおばあちゃんになってもゆずきちゃんはちっちゃくてかわいいままなんだ」

 

「……改めて、違う存在なんですね……」

「ええ……柚希さんは柚希さんではありますけど……」

 

………………………………。

 

……つまりは、僕は。

 

理央ちゃんが生きてるあいだは、理央ちゃんの横に並べる大人の男には……かっこいい男にはなれないってこと……?

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