ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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354話 高難易度のダンジョンと、葛藤

「え? 良いんですか? ダンジョン」

 

「はい。と言いますよりも……」

「率先して攻略を――今の柚希さんに見合った、高難易度のダンジョンへ定期的に入ってほしい。そう、国が要請――以来という形で言ってきていますね」

 

がたっ。

がたたっ。

 

「?」

 

みんなが席を立っ――たと思ったら、なんか綺麗な姿勢で座っている。

 

「しーっ、作戦会議を邪魔してはいけない……」

「そうだな、ここは――クラスチャットで実況だ】

 

【なるほど】

【天才か】

【よし……事前に連絡しておいた小学校から大学までの有志のスマホに一斉送信……っと】

 

休み時間。

 

普通の雑談みたいな感じで、優さんとあやさんがそう切り出してきた。

 

「柚希さんは、国際的にも友好的な存在という認識になっています」

「でも、未だに敵視――内側から侵略する魔族、魔王ではないか、と」

 

「まぁ精神系ですからねぇ、サキュバスとかって。柚希先輩はそんなことしないのに」

「大衆の人たちって分からないものは敵って思っちゃうからねぇ。――あんまりひどいのは処――オハナシしてるけどね♪」

 

【ひぇっ】

【ひぇっ】

【ロリが怖い】

【こわいよー】

 

【同じ空間に居るからこその威圧感……!】

【でもそんなひなたちゃんもかわいい】

【どきどきするよね】

【わかる】

 

話を聞くと、僕たちが何もしてないってのもまた人々を怖がらせちゃうんだとか。

 

だからいっそのこと――他のみんなはちょっとレベルが足りないけども、どうせなら一握りの人しか入れないダンジョンに僕たちで潜ってモンスターを間引きするのはどうかっていう提案らしい。

 

「さすがに、当面は柚希先輩の火力頼りになっちゃいますね」

「はい、私でも高難易度のダンジョンは厳しいですから」

「私も、魔法攻撃がレジストされてしまいますし……」

「ひなたも吹っ飛ばされちゃうから、最初だけはねぇ」

 

……そっか。

 

僕だけが、ちょっといろいろあったもんだから飛び抜けちゃってるんだ。

 

えーっと、魔族のエリーさんにサキュバスさんたちにインキュバスさんたち。

あと魔族のおやびんさんにワイバーンさんたち、お母さんのキマイラたち。

 

あ、お母さんも元気ならダンジョン……いや、さすがに母親同伴で潜るのはちょっとやだからやっぱり無しで……。

 

【ユズちゃんは?】

【んー、あれはちょうちょ未発動】

【ちゃんと考えててえらいね】

【えらいね】

 

【まぁ眷属達が言うほどには星野ってちょうちょしてないんだよな】

 

【そうそう、座ってちゃんと考えてるときはね】

【体育とか、外に出るとなぁ】

【たぶん単純に体力不足で……なんだろうけど】

【あー】

 

【まぁ今までは地下のダンジョンのせいでいろいろあったみたいだし、少しずつ脱ちょうちょしていけば……】

 

【草】

【脱ちょうちょ言うな!! おなかいたいだろ!!】

【ああ、これが限定チャットなのが悔やまれる】

【脱ちょうちょはいずれ配信で広めたい気がする】

【語呂が良すぎるんだよなぁ】

 

……?

 

休み時間なのに、なぜか教室がしんと静まりかえってる。

 

みんなはスマホに夢中――それもイヤホン着けて。

 

なにかおもしろい配信でもやってるのかな。

廊下も静かだし、他のクラスの人たちもみんな見てたりする?

 

【ここが親衛隊限定チャットね】

【なんだかわくわくする会話が聞こえてきた】

【かんじむずかしい】

【大丈夫、聞いて見てるだけで楽しいよ】

【小学生から大学生だからな……】

 

【親衛隊の特権だ、存分に楽しめ】

【ユズちゃんの顔を見たいのに】

【まぁ盗撮は駄目だからな】

【でも音声……】

 

【そこはまぁ、廊下で立ち聞きしたってのでギリ?】

【ユズちゃん、うちの学校にも来てくれないかなぁ】

【あ、そこは今度から合同授業とかで……】

 

【あー、ユズちゃんの関係者ってことで一緒くたで監視されてて窮屈だし、それならいっそのことって話か】

【そうそう、どうせ守秘義務で外にばらせないしって】

 

――僕は、正直、ダンジョンに入る理由がなくなっている。

 

だって、そもそもがお母さんのお薬代と生活費と学費のためだったんだ。

 

そして……あの串刺しにしちゃった空飛ぶヘビさんを倒した報奨金とか、女神様が倒したモンスターたちまで僕たちで山分けさせてくれちゃったし、あのサバト魔法で怒られるかって思ったらいろんなとこからお礼が来ちゃったらしいし。

 

……ダンジョンってのは一攫千金。

 

それを、初めてたったの数ヶ月で身に染みて実感している。

 

でも。

 

それでも僕は――それ抜きに、小学生の頃からずっと、憧れていた。

 

毎年の適性遠足で、いつもまだかなってわくわくして――がっかりしていた。

 

だって、ダンジョン攻略っていうのは――かっこいいんだもん。

 

男なら誰だって、自分の力で――仲間と力を合わせて、地下の迷宮を攻略したい気持ちがあるんだもん。

 

でも、この子たちは女の子だ。

女の子はどうなのか、よく分からない。

 

優さんは、僕よりも前にダンジョンに入っていてすごく進んでる。

理央ちゃんも、中級者に足を踏み入れるくらい進んでいた。

 

そしてひなたちゃんもあやさんも――僕と同じ日に、ダンジョンへ潜ろうとしていた。

 

だからきっと、みんな、潜りたい――のかもしれない。

 

でも一方で、僕はこの子たちを巻き込んじゃってる。

 

窮屈な思いをさせちゃってる。

 

……本当は、どう思って居るんだろう。

 

そう思うと、僕から積極的に「潜ろう」とは言えないんだ。

 

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