ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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355話 上級者向けダンジョンに行くって決めた

「……私は、また潜りたいです」

「理央ちゃん?」

 

そんな迷ってる僕のことを――なにも言わないのに分かってくれる理央ちゃんが言う。

 

「だって、ようやく初心者ダンジョンをいくつかクリア――って言えるのか分かりませんけど、とにかく踏破したんです。この先も……ちょっと一足跳びになっちゃいますけど、もっと探検したいなって。みんなで」

 

――理央ちゃん。

 

本当はすっごく早くにダンジョン適性が分かってて、何回も何回も友達の臨時パーティーで潜ってて――なのに本格的に潜るのをぐっと我慢して、発現の遅かった僕を待ってくれていた後輩。

 

「美人4姉妹パーティー……じゃない、5姉妹パーティーで再出発もおもしろそうだよね、ゆずきちゃん!」

 

「ひなたちゃん……」

 

ひなたちゃん。

 

小学生なのにがんばって勉強をして飛び級してきた子。

たぶん、僕のリリスモードと同じくらい頭の良い子。

 

……なんだかすごいお金持ちらしいけど、最初の頃以来は僕たちに合わせてくれている子。

 

「私は、柚希さんが負担に感じなければ。またダンジョンに潜って……才能の限界まで、魔法を使ってみたいです。だって、まだ始めたばかりですから」

「あやさん」

 

あやさん。

 

僕みたいにちょっとおかしな方向性の魔法とかじゃなく、普通にかっこいい魔法を使える魔法職の人。

 

大学生さんだから、ちょっと制服の――特に胸元がきついっていつも言ってるけども、とっても似合ってる人。

 

「ですよね! 優さん!」

「え? で、でも俺――私は……」

 

優さん。

 

僕のせいで巻き込んじゃって――っていうかトドメがリリスモードの僕のせいで、みんなのついででキスしちゃったから僕の関係者ってことで高校に連れて来られちゃった人。

 

正統派で有望視されてたパーティー――なんでも今は優さん以外の女の人たちだけでダンジョン潜りに復帰しているらしい――のリーダーだった人。

 

「……優さんは、もっと潜りたいですか?」

「え? は、はい……でも、柚希さんが」

 

そして、気配りができすぎる人。

 

だけども――彼女を巻き込んじゃったのは、僕なんだ。

 

なら、

 

「……中級者の上まで進んでて、そのリーダーの経験がある優さん。その次にいろんなパーティーでの経験がある理央ちゃん」

 

僕は、2人を見上げる。

 

「あんなに重そうな大剣でガードしてくれたりして頼もしいひなたちゃん。僕と一緒に後方で魔法撃ったりする仲間の、あやさん」

 

あやさんを見上げて、ひなたちゃんを真正面から見る。

 

「……ダンジョン。また、行きましょう。きっとおまんじゅうも退屈してますし、チョコだって次はどんな変形できるようになるのか知りたいですし、なにより」

 

そうだ。

 

僕は、初めて潜ったときのあの気持ちを思い出す。

 

「……ダンジョンって、わくわくするんです。どきどきするんです。だから――また、行きたいなって、思うんです」

 

【ぶわっ】

【イイハナシダナー】

【感動した】

【ユズちゃん……!】

 

【よし、聞いたな】

【おう】

【てことで親衛隊は至急レベリング態勢だな】

【今日の夕方から各自ミーティングね。警備担当以外はローテ組んで突撃するわよ】

【ケー】

 

【……でも、大半は諸運者で、強くても中級者な私たちが上級者向けダンジョンに行くとかキツくない……?】

 

【じゃあユズちゃんのわくわく配信を現地で実況しないで良いんだ】

【そんなこと言ってないでしょ!! やるわよレベリング!!】

【草】

【気持ちは分かる】

 

【ここは多方面から手練れを講師や臨時パーティーに招いて……大丈夫だ、日向家から資金のバックアップを受けているから……】

 

……そっか。

 

ダンジョン。

 

また――潜れるんだ。

 

「………………………………」

 

早く、放課後にならないかな。

 

とにかく教官さんとか誰かに言いたいんだ。

また、潜りたいですって。

 

そう思うと、貧乏ゆすりがとまらない。

 

お行儀が悪いって知ってても、体がうずいちゃうんだ。

 

【かわいい】

【かわいい】

【ちくしょう……違う学年だからちくしょう……】

 

【ユズちゃんがそわそわしてるよ】

【かわいいね】

【かわいいね】

【本当に良いなぁ……】

 

 

 

 

「……そうですか。ありがとうございます」

 

「? ありがとうなのはこっちですけど」

「いえ。実は私、いろいろな関係先から強く言われていまして……星野さんを、またダンジョンへ――人手の足りない高難易度のそれへ……と」

 

放課後に――優さんが呼んでくれていたのは、教官さん。

 

……この人もまた、僕のせいで僕たち専属みたいな形で忙しいらしい。

 

「いつも、ごめんなさい」

 

「……年下の子に頼られて、嫌な気持ちになる大人は居ませんよ。それに、今の事態は柚希さん自身も望んでというわけではありませんし」

「教官さん……」

 

今日もぴっしりとしたスーツ姿で出迎えてくれた彼女は、いくつものダンジョンの資料を持ってきてくれていたらしい。

 

「それに、星野さん――柚希さんのお相手をしていますと、退屈することはありませんから。公務員の仕事は、1年中どころか退職するまで何十年も代わり映えしないのが普通ですからね。私も、なんだか若返った気持ちですっ」

 

「はぇー」

 

そっか。

 

教官さんは公務員さんなんだ。

 

「……あの、今日の柚希さんは?」

 

「意識すれば切り替えられるって……切り替えます?」

「いえ。……私が知っている柚希さんは、こちらですから」

 

……ちょうちょモードって笑われる僕で良いって言ってくれるのも、すっごく嬉しい。

 

今度、何かお悩みとかあったら聞こうっと。

 

 

◆◆◆

 

 

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