ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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362話 見たことないケタのお金が一瞬で5円になった僕

「……というわけで。いろいろすっ飛ばしちゃったし急にイベントがありすぎてもうとんでもないことになってましたけど、ひと段落ついて、次の目標が高難易度のダンジョンへの挑戦なので」

 

「ひなたたちの装備……これ、初心者講習で配られたのからほとんど変えてないんだよね……」

「あれだけの戦いを、よくもまあ低品質のものだけで……」

 

「なにしろ大半が柚希さんの活躍でしたからね」

 

「あ、ゆうちゃんだけはちゃんとした装備だ!」

「ええ、これでも一応中級者ですから」

 

――そうだった。

 

僕は、装備を買いに来ていたんだ。

 

でも、僕?

 

僕自身は戦ってないし……おまんじゅうにビーム撃ってもらってただけだからなんにもしてない気がする。

 

ああ、いつもおまんじゅう――と、途中からはチョコにがんばってもらってたから、おまんじゅうのいつものあれには目をつぶってるんだった。

 

「で、柚希先輩、お店の人に貯金の額を見せて『これで揃えられるテイマー向けの最高装備を』って言ったので」

 

「……お店の方は、それを『ダンジョン攻略用だけの口座』と思い……なので、かなりの額でしたが本当に最高級の装備品に、これまた最高級の消費アイテムを金額ぎりぎりまで計算してくださり……」

 

「柚希先輩、金額をよく見ずに決済ボタン押しちゃったので……」

「ひなた、止めたよ? けど、遅かったの」

 

「……だから、口座が5円にぃ……?」

 

なんだか僕がとてつもなくぽんこつに思えてきて、悲しくなってきた。

 

うん、今ならちょうちょって言われても怒れない気がする……。

 

「僕のおかね……たったの5えんなの……?」

 

「ぶふっ」

「す、済みません! で、でも……!」

「と……尊……」

「   ゛ 」

 

ふと見ると、お店の人たちが……また震えて机にへばりついている。

 

「いえ、柚希先輩のオーダーがあいまいだったのと、勝手にぽんぽんボタン押して決済しちゃったのが悪いので」

「そうそう、画面はよく見ないとね。あと、普通はそういう運用するもん。ゆずきちゃんだって最初は口座、別にしてたんでしょ?」

 

「え? ……うん、たぶん……? なんかよく分からないのがぴこって出てたから、よく分からないけどとりあえず邪魔だからって何回か押した記憶はあるけども……」

 

「柚希さん……」

「柚希先輩……」

 

「……?」

 

え?

 

お母さんとか、しょっちゅう「スマホが壊れたわ!」とか「ノートパソコンが」とか「タブレットが」って言ってるよ?

 

だから電子機器なんてしょっちゅう変な動きするんじゃないの?

それの対処も込みでスキルっていうものじゃないの?

 

「……ゆずきちゃん」

 

あ、ひなたちゃんが怒ってる。

すっごくかわいい笑顔だけど怒ってる。

 

「ゆずきちゃん。スマホとかの操作は、これからは絶対誰かに頼んで、横に座って見ててもらうようにね」

 

「え? うん、分かった……?」

 

何か怒らせたことだけは分かるから、素直にうなずく。

 

女の人は、怒ると怖い。

女の子は、怒ると怖い。

 

そして普段絶対に怒らないようなひなたちゃんが怒ると……どれだけ怖いのかが想像できない。

 

といっても、そういえばあやさんも優さんも……お世話になってる教官さんとかも僕に本気で怒ることはそうそうないから分からないんだけども。

 

理央ちゃん?

小さいときから十何年一緒に居たと思ってるの?

 

「……取り消しましょうか? 今ならまだ決済の取り消しを……」

 

「いえ、どちらにしても高難易度のダンジョンでは必要ですから」

「そうです! こういうときのためにパーティー共用のお財布も決めたじゃないですか!」

 

お店の人がありがたい提案をしてくれてるからうなずこうとしたけども、理央ちゃんたちが拒否しちゃう。

 

「あ、それがあったね」

 

「え、でも」

 

でもそれはダメじゃないの?

 

だってそれはみんなのお金――

 

「ゆずきちゃん」

「はい……」

 

うぅ……みんなからお金借りるとむずむずするけど、ここで僕が駄々こねても意味がないどころか泣かされるのが分かるからなんにも言えない……。

 

こういうのは嫌なのに……理央ちゃんだけが相手ならどうとでもなるし、たぶん優さんやあやさんが居ても押し通せるのに……。

 

「それにしても、ずいぶんと可愛らしいものを選びましたね」

「いくつか見繕ってもらったのを、柚希先輩が選んだんですから!」

 

「ゆずきちゃんかわい――あ、そうだ!」

 

ぽんっ。

 

ひなたちゃんが、かわいらしく閃いたって合図をする。

 

「――ちょっと早いけど、新衣装お披露目配信! それやれば、投げ銭――だと換金されるのは1ヶ月後だけど、その分ならひなたたちが建て替えても嫌じゃないでしょ?」

 

「! なるほど……! 柚希さん自身の稼ぎですものね! ひなたさん、すごいです!」

「えっへん!」

 

「分かりました、すぐに問い合わせます。ですが、配信機材は家ですので帰ってから」

 

「「当店の宣伝用の機材をお使いください!!」」

 

「え、いいんですか? わー、ありがとうございますー!」

「よかったねゆずきちゃん、今から配信できるって!」

 

「……う、うん……?」

 

あれ?

 

僕……なんでここに来てるんだっけ?

 

お披露目配信?

 

あ、うん……理央ちゃんから配信者ってのを教えてもらってたとき、そんなのがあった気がする。

 

じゃあいっか、みんながそれで良いって言ってるんだし。

 

………………………………。

 

……こういうとき、やっぱりリリスモードになるべきかなぁ……でも余計なことまで分かっちゃうからヤなんだよなぁ。

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