ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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402話 おふろあがりと変なメイドさんたち

「ふぅ……」

 

お風呂に入った後って気持ちいいよね。

体が覚めるまで、いくらでもぼーっとしてられる。

 

こういう隙を狙ってくる理央ちゃんも今は居ないから安心だね。

 

「    ゜」

「 ゛  〆」

 

「――はっ!?」

「あ、鼻血です」

「まさか、私共がすべてやられるとは……」

 

「?」

 

あ。

 

更衣室から出てってくれなかったけども真上を向いてくれてたメイドさんたち――さすがに僕がおふろ入ってるあいだは普通にしてたんだろうけども――が頭を下ろしたり、部屋の外から入ってきてる。

 

「首がおかしいですね」

「奇遇ですね、私もです」

「これはまた奇異なこと」

「鼻血が収まるまで苦労しました」

 

ぽつぽつとなにやらを言い合っているらしい、なんだか首の動きがおかしい室内組の人たち。

 

まぁいいや、おててわきわきさせてきてたときからは想像できないくらい静かに待っててくれたんだから。

 

あれはそうだ、きっと僕っていうお客様をおもてなしするための冗談なんだろう。

 

「匂いが……!」

「白と黒の制服を赤で染めてしまうところでした」

「なるほど、全員揃って真上を向いていたのはこのせいで」

 

でもなんで入ってきた人たちも、みんな次々と真上向いてるんだろ?

 

まぁいいや、ああいうのが流行ってるのかもしれないし。

 

女の子たちって週替わりで不思議な行動とかするから、気にしたって男の僕には意味がないんだから。

 

「……聖女様……?」

 

結局、理央ちゃんみたいに僕の体をねめ回すように這いずり回るように見てくることもなく、みんな揃って淑女って感じだったから、さっさと体を拭いて服を着たところで声をかけられる。

 

「? なんですか?」

 

タオルでぽんぽんって髪の毛を乾かしながら聞く。

 

「……もしや、淫魔の方でさえお助けしたことが……?」

 

「! それですね」

「なるほど、それならばこの昂ぶりも」

「高位の聖女ともなれば、その魂の輝きで淫魔さえ……」

 

服脱ぎ始めたらおもむろに外出てくれたり、部屋に居るままでも真上向いてくれてたメイドさんたちがわらわらと集まってくる。

 

なんだかんだ僕の言うことを分かってくれてて、そっと気遣いしてくれてたんだ。

 

さすがはメイドさんたちだね。

 

……でも大丈夫かな、僕を見ないためにずぅっと真上向いてた人たちの首、痛くなってないかな。

 

あと……なんで何割かが鼻血出たのをティッシュで塞いでるんだろう。

それも両鼻。

 

なのに口も閉じてるし……あ、すぴすぴ必死に呼吸してる。

メイドさんってすごいね。

 

けど、いんま?

 

いんま……いんま……ああ、淫魔。

 

「あー、サキュバスさんとかインキュバスさんたち? はい、家とか……えっと、庭とかで毎日楽しそうにしてますね」

 

どっちかって言うと、1回ケンカしてから仲良くなったって感じだけどね。

ケンカっていうか、エリーさんたち独特の思考回路で戦っただけだけども。

 

そして普段はあの不思議な空間でのんびりしてるサキュバスさんたちとインキュバスさんたちのくつろぎ具合は、もうお庭でキャンプしてるってことでいいよね、説明しやすいし。

 

「……やはり、これは……」

「通りで……」

「非常に強いと言いますか、もはや淫魔そのものの加護が……」

「危険では?」

 

「けれど、そのせいで……そのせいで……!」

「くっ……! 淫魔耐性がないのが、こんなところで……!」

 

「でも、主様はきっとお喜びになられると」

「主様に対抗するには、主様に勝る力を……なるほど……!」

 

「……すんっ」

 

ひそひそひそと――なぜか発情してるメイドさんたちから、そっと目をそらす。

 

……そっか。

 

偉い人な吸血鬼さんがご主人様だもんね。

きっとみんな、えっちなこととかされてるんだね。

 

田中君が好きな本のひとつにそういうのとかあったし。

 

普段のモードの僕だと詳しくは分からないけども、えっちなことは他の人が居るときにはできないってのは分かるもん。

 

きっとみんな、それを待ってるんだ。

ご主人様って人にえっちなことしてもらうの。

 

……だから僕、ここから帰ろうかって何回も言ってるのに。

 

僕、邪魔しちゃってるんだろうし、さっさと出てっちゃダメかなぁ……。

 

「あ、ついトんでしまいましたために失念しておりました」

「下着を替えて参ります」

「待ちなさい、順番です」

 

「聖女様……恐れ入りますが、こちらにお着替えを」

 

「? いえ、僕はこの服で。………………………………!!」

 

――はっ!

 

僕は気がついた。

大切なことに。

 

「すんすん……ごめんなさい、汗臭くって」

 

「いえ、大変に香しくて今すぐにでも――こほん」

「皆で堪能――こほん」

「我慢できずに過半が下着を――こほん」

 

「……申し訳ございませんが、主様との面会には清潔な服をお願いしたく」

 

「分かりました」

 

そうだよね、臭いのはマナー違反だもんね。

 

……僕が汗かくとエリーさんは白目剥くし、理央ちゃんとひなたちゃんと優さんは発情するし、あやさんももじもじし出すからやっぱり臭いんだろうとは思ってたけども……ごめんなさい。

 

僕、女の子に見えても男だもんね。

女の子にとっては臭いんだもんね。

 

マナー違反はマナー違反。

 

おとなしく従おう。

 

理央ちゃんのお父さんとか、いつも「臭い」って足蹴にされてるし。

そんなお父さんと2人、そっとゲームをするのが静かな日曜日なんだ。

 

「柚希くんは本当に良い子だねぇ……」って、ちっちゃいころはお父さん大好きっ子だった理央ちゃんを遠い目で見るその背中が哀愁ただよっているんだ。

 

理央ちゃんちのお父さんはかわいそうだけど良い人なんだ。

 

僕のお父さんみたいにかわいそうじゃなくって悪いやつじゃないんだ。

 

なんでお母さんはあんなお父さんのこと、まだ好きなんだろうね。

 

「ダメンズ」ってやつなのかな。

 

ダメダメなほど好きになっちゃうとか……いくら言っても離婚届出さないんだから、もう。

 

そのくせ自分は「僕のお姉ちゃん」とか言われてきゃぴきゃぴ若作りしちゃってさ。

 

もう。

 

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