ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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404話 吸血鬼のご主人様はかわいかった

「……聖女様、大変失礼しました。では、こちらへ」

 

すすっ。

 

メイドさんが、僕をどこかへ案内しようとしている。

 

「いえ、あの、ですからこれは……」

「いえいえ、大変にお似合いで素敵でございます聖女様」

 

「いえいえ」

「いえいえ」

 

「いえいえいえ」

「いえいえいえ」

 

「……来てくださらないと、私共が困ってしまいます聖女様」

 

「え、でも……」

 

「きっと主様も、出会ってすぐにむしゃぶり――こほん、笑顔になられるでしょう」

 

「よく分かりませんけど、第一印象は大事っていうし……分かりました。挨拶はしないとですもんね。ごはんとおふろもらっちゃったし……」

 

「そうでございます、一宿一飯の恩義でございます」

 

「でも僕、別に来たかったわけじゃ」

「聖女様ご案内でございます」

 

恥ずかしいけども、きっとこれが正装なんだから吸血鬼さんもこんな感じの格好なはず。

 

お互いにすけすけなら、プールとか海とかで下着同然の水着しか着てなくても恥ずかしくないもんって論理な、あんな感じになるはず。

 

そうだよ、異文化コミュニケーションなんだ。

 

第一印象で嫌われないようにしないとね。

 

そうそう、確か暑い地方の人ってば半裸みたいな格好らしいし、きっとこれもそう。

理央ちゃんが昔「裸族になりましょう!」ってすっぱだかになりながら見せてきた雑誌にそういうのが書いてあったんだ、間違いない。

 

「ではこちらです。……はい、主様へもお伝えを……」

 

ハンズフリー通話しながら案内される僕。

 

良いなぁ、ああいうのってかっこいいなぁ。

僕、未だにスマホすらよく分かんないからうまく使えないだろうけども。

 

 

 

 

「――――――よくぞ参った、異界の聖、じょ……?」

 

どうしよう。

 

「………………………………」

 

「?」

 

ご主人様らしき人が、硬直している。

 

――「ご主人様」ってよりは「お嬢様」とか「姫様」って呼び方の方が似合ってる子が。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

とりあえずで見つめ合ってみる。

 

……すっごく整ってる顔してる。

 

「……ぐっ……!」

 

「ステイでございますご主人様」

「いくらなんでも出会い頭に押し倒すのはまずいのでございます」

 

「分かっている……!」

 

メイドさんたちに向かって、なぜか赤い顔をして怒っているご主人様って人。

 

銀髪に赤い目の、小さな女の子。

 

怒っても怖くはないけども……なんかタイミング悪かったのかな。

僕、今日はこの辺で帰っても良いんですけど。

 

「……それよりも……これは、性女の間違いでは?」

 

「いえ、彼女の正装では聖なる気で満ちておりました。なんでも淫魔からも力を貸されるほど好かれているせいかと」

 

「なるほど。……もう食べて良いか?」

 

「駄目でございます。形式上でも吸血鬼の主らしく会談を終えてからでございます」

 

「ぐっ……! 久方振りだぞ、こんな我慢など……!」

「たまには極上を前に我慢するのも美味でございます」

 

「女を求めてさまよい歩く男子中学生みたいなムーブはお控えくださいませ主様」

「第一印象が台無しだとダメダメでございます主様」

 

「…………………………………」

 

――ご主人様。

 

その人――いや、子は……吸血鬼さんは、お母さんくらいの見た目で今の僕みたいな格好をしている、女の子だった。

 

ご主人様って呼ばれてる、吸血鬼の女の子。

 

彼女は理央ちゃんみたいな目で僕を見てきている。

彼女は理央ちゃんみたいな匂いを発している。

 

「…………………………………」

 

「……どうした、近う寄れ。私は、お前と話がしたいのだ」

 

……あと。

 

「どっかで見たことある」っていうか、「すんごく慣れ親しんだ匂い」がかすかにするんだけども。

 

うーん、誰だっけ……?

 

「しかし、これは実に美しい……!」

 

「はい。ロリコンでペドフィリアな主様にはクリティカルなお顔とお体、精神年齢だと申し添えます」

 

 

この子も理央ちゃんみたいなの?

 

「待て、私は――」

 

「ご本人は正真正銘神族から直々に加護を賜るほどの純真無垢で『その手』のことを何一つ知らず。しかし、ここへ正反対の属性であります淫魔の淫気。無知で無垢、何をするのかも知らずともその肉体は淫ら。お好きでは?」

 

「……ぐ、否定できない……!」

 

「ですからこそ大事にするのでございます」

「このタイプは、1度嫌うとトロットロに溶かしても心の奥底では絶対に許さないタイプでございます」

 

「何しろ聖女様ですから」

「正攻法こそが結局は最短なのでございます」

 

目を輝かせている、えっちなお姉さん。

吸血鬼さん。

 

けども……うーん。

 

やっぱ、どっかで――いや、それなり以上の期間、会ってたはずの人なんだけども……うーん。

 

僕のちっちゃいころから、ずっとそばに居たはずの――

 

「ほ、ほら見ろ! お前たちがそんなことを言うからショックを受けているではないか!」

 

「んぇ?」

 

「ヴッ……」

 

「よわよわ主様でございますね」

「いつまでも女に耐性がつきませんねクソ雑魚主様」

 

なぜか僕を見て変な声出してるご主人様って子。

 

……なんか理央ちゃんみたいな感じがしてきたよ。

 

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