ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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406話 善意と善意の致命的な意思不疎通<きばくざい>

「結婚……そうです、僕、結婚してるんです!」

 

「「「………………………………」」」

 

「だから、その……他の人と、えっちなこととかは……」

 

お母さん直伝の「顔には自信があるけど、この身長だからほら……ロリータなコンプレックスとかペドフィリアンな人とかばっかり声かけてくるから……」って必殺技が炸裂したおかげで、ふんふん言ってたみんながおとなしくなってくれた。

 

ちょっと怖かったし……理央ちゃんとかみたいに慣れてたりするのとは違って、初対面だし。

 

しかもまだお互いに名前すら言ってない、本当に会ったばっかりだもん。

そういうのはせめて、もうちょっと……ねぇ?

 

それに、ひなたちゃんが言ってたんだ。

 

「浮気はダメだからね」って。

「好きな子ができたらまず先にひなたたちに会わせてね」って。

 

僕はそんなことしないけど、でももしそういう人が居たら、まずはみんなに会わせなきゃなんだ。

 

それに、今回は嘘じゃなく本当に結婚してるんだぞ。

 

僕は夫なんだぞ。

いばれるんだぞ。

 

……未だに実感はないし、お風呂で生えてるのは毎晩見られてるのに女の子扱いだけど。

 

なんでだろうね。

 

でも、とにかくお母さんの年季の入った必殺技は効果が抜群らしい。

 

みんながすっかりおとなしくなって、怖くなくなってる。

これからもどんどん使おっと。

 

「とにかく、結婚相手が居るんです。だから相手を裏切ることなんて――」

 

そうして安心したけども――

 

「――処女では……ないのか?」

 

「え?」

 

顔を真っ青にし――悲しそうな、けれども怒っている顔の2人が見てくる。

 

なんかちょっと、怖い声。

 

けど……処女?

 

処女って、あれだよね?

 

僕は男だから、そういうのを言うんなら童――恥ずかしいから訂正しなくてもいいや。

 

僕はそういう話を聞くのも話すのも考えるのも見るのも苦手なんだ。

 

みんなでそういうのを気にしないでほわほわしてたいんだ。

なのに理央ちゃんたちもお母さんもエリーさんもおやびんさんも。

 

「えーっと」

 

なんとか気まずい感じを解決しようとしゃべろうとしたけども――

 

「だが……こうして床に誘われても、驚きはしているけれどもその先のことを浮かべられてはいない。体を、こわばらせても喜ばせてもいない。これは一体……」

 

「確かに」

「発情期を迎えたばかりだったりちょろかったりしますと、すぐにとろとろですのに」

 

「ふしぎですね」

「ふしぎですね」

「ふし――はっ!? 先ほどからなぜかIQが著しく下がるような……?」

 

「これほどの淫気を放っておきながら、ご本人はまったくその気配がなし……なぜでしょう?」

「疑問です」

 

ひそひそひそひそ。

みんなが話している。

 

「主様、困りました。食べものと飲みものにもたらふくの媚薬を混ぜましたのに、へっちゃらの様子です」

「ああ、媚薬と申しましても害のないものですので実質何も盛っていないも同義ですね」

 

「これではまるで、発情期を迎えたことのない幼体……」

「なのに淫気は発している……これは一体」

 

メイドさんたちに加えてご主人様もみんな、円陣を組んでその中でひそひそと。

 

みんなで肩組んで話し合うくらいに仲良しなんだね。

 

「――これは、まさか……!」

 

「何かに気づかれましたか主様」

「さすがです主様」

 

何かに気づいたらしいお姉さんが、はっとした顔をして振り返ってくる。

 

その瞳には――驚愕と恐怖、憤怒?

 

なんで?

 

「?」

 

「まさか――催眠魔法、あるいは薬物で自覚のないあいだに。そうだ、聖女というからには、少なくとも本人はそういうことを望まないはず……なのに結婚相手が居るということは……!」

 

「!?」

「天才ですね主様」

「ですが、なんと……!」

「そのような非道が」

「人間とは、かように……!」

 

うーん、僕を見たあとはまた円陣組んじゃった。

 

僕、なんか仲間はずれ?

 

「……主様。もしそうでないとしましても、下手をしますと意に反して行われ、記憶を消去など……」

 

「そんな……!」

「何ということを……!」

 

「聖女を……いえ、女を何だと……!」

「この世界のいんたぁねっととやらを参照した限りでは、多少は理性的な社会かと思いましたが……!」

 

「状況証拠からの推論のみですので、さすがに拙速な結論――ですが、主様の天才的なひらめきが間違っているなどありえません」

 

「当然です」

「主様はまだ幼体でぽんこつですが、それでも私共の主様。判断を間違えるわけがありません」

 

ひそひそひそひそ。

みんなはまだ話している。

 

「つまり、聖女様は……」

「魂はこんなにも高潔なのに、その体を……」

「こんなにも純粋無垢を体現した魂ですのに」

「ひどい……!」

「吐き気を催しました」

 

なんかみんなが怒ってる。

なんでだろう。

 

「あの、その、僕、一応――」

 

「良いのです、聖女様……もう、良いのです……」

「処――え? あ、はい」

 

「女の子だとしたらそういう枠組みに入ります」って言おうとしたのに。

でも言わなくて良いんならいいや、恥ずかしいもん。

 

「――許せぬ。許せぬぞ人類……! 聖女を愛した後には、徹底的に滅ぼしてやる……!」

「私共一同、たとえこの身を失うことになろうとも、お供いたします」

 

「え? あの……?」

 

なんかよく分からない話をし始め、僕のことを見ていない2人――と、部屋に来ている何人かのメイドさんたち。

 

なぜか怒っている。

なんでだろう。

 

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