ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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415話 絶望の淵

【ユズちゃんの純粋な可愛らしさ、庇護欲をそそる小動物な動き、ご本も読んでお勉強もできるけどア……純粋過ぎる脳内】

 

【そのせいでユズちゃんと同じクラスになればもれなく射止められ、男女問わずに種類を問わずに愛を一身に受けることに】

 

【同年代のピュアな男子】

【年上好きの男子】

【巨乳好きの男子】

【メガネっ娘好きの男子】

 

【それを全部性別変えた女子たちも、かなりの確率で淡い恋心程度は抱いていたのをお知らせします】

【まぁ理央ちゃんっていう終身名誉ヘタレとくっつく未来しか見えなかったから脳破壊されてから回復したけど】

 

【※なお男女ともに母性本能は刺激されました】

【※父性では?】

【※そうだよ? ぴよぴよ危なっかしい雛を守りたくなる意味で】

【※ユズちゃんとふれ合った生徒たちの未来は確実に子煩悩です】

 

【※んでたぶん実際に子育てして「ユズちゃんよりはマシだ……!」「なんて育てやすいんだ……!」ってなるだろうことまでテンプレです】

 

【草】

【草】

【親衛隊の報告が助かる】

【詳しすぎて草】

【んもー、あの天然魔性ロリっ子はぁ】

 

【あの  そんなこと言ってる場合じゃ】

 

【ないからユズちゃんかわいいねで現実逃避してるの!!】

【ばか!!!】

【こんなの見せられてどうしろってんだよ!!】

【もうでっかいどー全域で避難指示発令されてるの!!】

 

【あと30分でスーツケース1つに入るだけの家財道具まとめて強制避難の私の気持ちがわかるの!? 実況しながらとかめっちゃ忙しいんだから!!】

 

【草】

【草】

【えぇ……】

【お前は早く準備しろぉ!!】

【実況なんぞしてんじゃねぇ!】

 

【だってこの配信、目を離すと後で理解できないことばっか起こるんだもん……何よ、ちょっと買い物に行ってたあいだに魔王っ子堕として闇堕ちさせるとか……】

 

【それはそう】

【草】

【草】

【それは同情する】

【気持ちはよく分かる】

 

【ほんの数秒でえらいことになる配信だからね】

【※ユズちゃんはただいま見えないところで暗躍してます】

【ちょうちょしてるんだよ?】

【草】

【なぁにこれぇ……】

 

【この配信はね、現実から逃避するためにも存在するからね……】

【なぁにこれぇ……】

【ほら、現実逃避の鳴き声が繁殖してる】

【草】

 

 

 

 

『――以上、緊急対策会議に出席した首相の会見でした。繰り返しお伝えします、次の地域に避難指示が発令されています。該当区域の市民の皆様は落ち着いて指定の場所へ――』

 

「……これが、現実……なんですよね」

「……ええ」

「ゆずきちゃん……」

 

柚希の新居――兼、事実上の重婚ハウス。

 

エリーの呼びかけにより即時撤退の判断が下されたために、今まさに柚希を救出するつもりだったはずの彼女たちはリストバンドにより強制的に離れた場所へ離脱してしまい――肝心のエリーやおやびんなど、魔王の攻撃でも何とかなりそうな味方がことごとくに取り残された形に。

 

それだからこそ――彼女たちは、理央は、「どうしてリストバンドを急いで外さなかったのか」と後悔していた。

 

「……柚希、せんぱい……」

 

うつむき、片手を――戻ってきてから、ずっと握りしめている理央。

 

ふと、あやが目を下ろした先に――長袖の服をだるだるに引っ張って着ていた、理央の服。

 

袖が――かすかに赤くなっている。

 

「理央さん、ちょっと……」

「………………………………」

 

それを、そっと手首の方へと下げると……痛々しいひっかき傷があった。

 

リストバンドを――転送ぎりぎりまではずそうと、痛みなんか気にせずに引きちぎろうとしたような。

 

それは、治癒魔法というこの世ならざる力を使わなければ、一生に残るだろう痛々しい傷跡になっていた。

 

「! ……理央さん。救護班の方に、言わなかったんですか」

 

「……はい。だって……」

「りおちゃん……」

 

「……間に合わなかったんです。エリーさんが叫んだときに『もしかして』って、こうなるって分かったのに……それから何秒か、考えるのが止まっちゃったんです。きっと『リストバンドっていう命綱外して、万が一死んじゃったらどうしよう』って……! 柚希先輩の方が……どんなに怖い目に……っ!」

 

下を向き、あの一瞬――実際には10秒ほどあった時間を、未だに後悔している理央。

 

彼女の顔は、十代の少女としてはあまりに重い絶望を背負っていた。

 

「とりあえず治すねー?」

「いたいのいたいのとんでけー」

「痛いの、おしりがひゅってなるしー」

 

「……みなさん」

 

理央たちと一緒に――「どうせ優ったら作戦司令部で忙しいし」と、他のダンジョン潜りたちとともに詰め込まれたヘリで傷心の理央を運ぶついでにハウスまで着いてきた、優の友人たちが話しかけてきた。

 

「あたしたちも、優と冒険して何度かピンチあったけどさぁ」

「安全な場所に退避できたんならさ、ちゃんと休まなきゃって」

 

「休むときは、心も休めて。……まだ致命的な過ちじゃないんだから。ね? ほら、あの子なら間違いなく手厚い保護受けてるだろうしさ、魔王ちゃんにでも」

「高校生のときってばいちばんナイーブだからね。ところでナイーブって何なんだろ?」

 

「……ありがとう、ございます……っ!」

 

ぽた、ぽた。

 

顔を上げないものの、ただただ感謝の意を伝えるその声は……震えていた。

 

 

 

 

「りおちゃん……なかないで……むにゃ」

 

「聖女様……なんとお優しい……」

「きっと、このお方を哀れに思い慰めてくれた女性なのでしょう」

 

「待っていてくださいませ、聖女様。必ずや、私共の主様が貴女様を辱めた狼藉者を地獄に堕とし、その女性を救い出してくださいましょう……」

 

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