ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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42話 ようやく戦える、僕たち

しゅうううう。

 

おまんじゅうの角から煙が静かに消えていき、でっかかったクマのモンスターは……あ、結晶に。

 

……倒せた?

 

今ので?

 

【えっ】

【ユニコーン!?】

【ユニコーン……お前、ピンポイントで攻撃できたんか……】

 

【確かに考えてみればそうだよな】

【範囲攻撃の方が大変なはずだもんな】

【絞れば、そりゃあ攻撃力は上がるはずだけど……】

【じゃあ、もしかして?】

 

「……おまんじゅう」

「きゅい」

 

「今みたいな同じの、光み――理央ちゃんの相手のモンスター。 理央ちゃんに当てないで、できる?」

「きゅい!」

 

「……そっか」

 

おまんじゅうが、元気よく鳴く。

 

僕の、力が抜けてた脚が、あったかくなる。

 

「……ゆずきちゃん大丈夫!?」

「ごめんなさい、私たちも怖くて動けなくて……でも今のは……」

 

立ち上がろうとして、でもおまんじゅうを抱っこしてたから尻餅付いたままで。

 

そんな僕を、両腕をつかんで立ち上がらせてくれる2人。

 

「ケガはない? ごめんねごめんね、すぐに行けなくって!」

「やはり、理央さんの言う通りにリストバンドを」

 

ひなたさんがお尻をぱんぱんって払ってくれて、お尻だけめくれちゃってたらしいスカートを直してくれるのを、感じながら。

 

……2人とも、手が冷たくなってる。

 

顔も真っ青。

震えてる。

 

……怖がらせて、ごめんね。

 

「……ううん」

「きゅいきゅい」

 

僕は、なるべく僕たちから離れようと立ち回ってくれてる理央ちゃんを見る。

 

……あっちこっち、傷だらけ。

 

血も滲んでる。

 

顔も、ケガしてる。

女の子なのに。

 

……そうだよね、モンクだもん。

最前線で、1番ケガが多い職業だ。

 

女の子には、辛いはず……なのに、僕たちの編成から、今日、それを選ばせちゃった。

 

それで、僕たちのせいで、ただひとりで戦ったせいで、あんなに傷だらけになってる。

 

……女の子の肌は命。

 

お母さんが、そう言ってた。

 

いくら治癒魔法で治るとは言っても、それでも女の子だ。

あんなに傷だらけにして、良いわけがないんだ。

 

「お願い、おまんじゅう」

「きゅい」

 

きぃぃぃぃん。

 

おまんじゅうの角が……さっきは気が付かなかったけど、高い音を立てながらちょっとだけ光る。

 

「僕が助けたいけど、僕はできない。 だから、おまんじゅう。 僕と一緒に戦ってくれる君に……お願い」

 

遠くを見ると、ちょうど理央ちゃんが吹き飛ばし攻撃をして、1体が離れた地面に。

 

これなら……!

 

「――理央ちゃん! バックステップ!」

「先輩!?」

 

彼女が、僕に振り向く前に後ろに下がったのを確認して。

 

「――――――――――きゅいっ」

 

おまんじゅうを軽く抱きしめると……また、目の前が真っ白になる。

 

【うおっ、まぶ……しくない】

【身構えたけど、この前ほどじゃない】

【この前のは全力だったか】

【そうだよな、そもそもレベル1であれだけってのがおかしかったんだし】

【じゃあ今回のは?】

 

「――――ギャアアアア!!」

 

モンスターが倒れて上げる声。

 

……まだ、倒せてない。

 

「……先輩! 今のは!?」

 

「――理央ちゃん! おまんじゅう! 1体にだけ攻撃! ポイントもタイミングも狙える!」

 

「……じゃあ、今のモンスターに集中で! 今度はかけ声不要です! 信じてます!」

 

「うん! 君が回避した瞬間にだね!」

 

【尊い】

【やべ、泣けてきた】

【この2人の一瞬での理解よ】

【これが幼馴染み……】

【幼なじみの百合……】

【ああ……!】

 

おまんじゅうの攻撃が当たって、それなりのダメージが入ったらしいモンスター。

 

それは、今まで戯れてた理央ちゃん相手じゃなく、いきなり痛い横やりを入れてきた――おまんじゅうと僕を、見ている。

 

だから、そいつは僕たち目がけて突進しようとしてくる。

 

でも、

 

「たぁっ! ……はいっ!」

「うんっ! お願いっ!」

 

理央ちゃんが、モンスターに真横からのドロップキック。

すっ転んだそれへ、おまんじゅうのレーザーが直撃。

 

「グォォォ……!」

 

……そうして動かなくなり、ちょっとして結晶に。

 

「……すごい。 あの子の、たったの2発で……」

 

【しゅごい】

【ユニコーンちゃん、遠距離精密攻撃できるのね……】

【しかも、理央ちゃんが弱らせていたとは言っても……2発だろ?】

 

【レベル1でそれって……】

【しかも、中級者ダンジョンの、ここより数階層以上も下の出現モンスターをだ】

【伸びしろしかねぇな】

 

「理央ちゃん!」

「私の右のっ! 胴体!」

 

「うんっ、おまんじゅう!」

 

きゅいんっ。

 

理央ちゃんが重そうな一撃を入れて吹っ飛ばしたモンスターの胴体を撃つよう、イメージしながらおまんじゅうを軽く抱きしめる。

 

「……アイスアロー!」

 

「あやさん!?」

 

「全て倒す方針に切り替えたのですよね? なら、私の攻撃で足止めやひるませなら可能です!」

 

おまんじゅうの攻撃で倒れたモンスター。

その足元が氷で覆われてる。

 

「きゃあっ!」

 

「! ひなたさん!」

 

振りかえると、また新しいモンスター。

でも、あの3匹みたいに強いやつじゃない……はず。

 

「だ……大丈夫! 剣……マンガで見た通りに広いとこで攻撃受けたから痛くない……! あやちゃん! こっちも!」

「はいっ!」

 

【みんな懸命に戦っている】

【ユズちゃんの独壇場かと思ったけど、バランス良いな】

 

【最前線で吹き飛ばし入れてる理央ちゃん】

【遠距離から足止めなあやちゃん】

【理央ちゃんへの攻撃を大剣で防ぐひなたちゃん】

 

【そうしてとどめのユズちゃんのユニコーン】

【範囲攻撃もピンポイント攻撃もできる】

【ここへ来てみんなの後ろってポジが役に立ってる】

【むしろ射線さえ確保したら、高威力の固定砲台】

【何回使えるかは分からないけど、これなら!】

 

【というかひなたちゃん、初心者ロリなのに大剣でタンクとか……度胸座りすぎてない?】

【そこにロリは必要……だな】

【ああ……】

【さっきから理央ちゃんが傷だらけになってるの見てたし、今にも飛び出しそうだったもんな】

 

「ゆず先輩!」

 

「……おまんじゅう!」

「きゅい!」

 

「あやちゃん!」

「アイスアロー!」

 

【そして流れるようなチームワーク】

【あの、もう視線だけで通じ合ってるんですけど……】

【何この初心者パーティー、強くない?】

 

【だって、経験者でどのロールもできそうな理央ちゃんに、遠距離火力特化のユズちゃん】

【ロリのくせにタンクもできるひなたちゃんに、ユズちゃん同様、どの方向へも遠距離で……しかも複数属性で介入できるあやちゃん】

 

【普通に強いな……】

【これで結成1日目ってマジ?】

【おう、マジだぞ】

【ついでに言えば、ほぼ初心者でいきなり中級者ダンジョンだな】

 

【レベル上がれば……この子たちだけで充分じゃね?】

【なんか中級者ダンジョン、それもレベル20くらいありそうなモンスター倒しちゃってるし……】

【これ、普通に中級者ダンジョンの低層なら行けちゃうんじゃ?】

 

【あの……これが初心者のパーティー結成配信ってマジ? 本当に?】

【マジだぞ  ユズちゃんのうっかり配信で確かな記録が残っている】

【草】

【そこで証拠に上がるのがユズちゃんので草】

【やっぱりこの子、いろいろ持ってるわ……】

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