ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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423話 決戦の日

「んみゅ……」

 

「ま゜っ」

「もっ゛〆」

 

すっごく気持ちの良い眠りの世界から、ぐっすり寝てやっぱり気持ちの良い僕の体へ、意識が戻ってくる。

 

「んみゅーっ……」

 

ぐーっ。

 

手と脚を伸ばして、さらに気持ちが良い。

 

「あ  ゜  」

 

「……ふへぇ……」

 

「      」

「      」

 

ほう、とひと息。

 

……ああ、今朝はおまんじゅうがおっぱいを吸ってもいないみたいで、理央ちゃんがまさぐってきてもいない。

 

実に快適な朝だ。

 

1年に何回もない、貴重な寝起き。

 

「だいしゅき……えへへ」

 

「 ゑ     」

「     ぉ 」

 

なんだか周りに人の気配はあるけども、何もしてこない。

本当に素敵な朝なんだ。

 

「うみゅ……」

 

「……聖女様の寝起きに合わせての白湯を用意してきましたが。なるほど、室内に待機していた組は全滅と。流石です、おかわいい聖女ユズ様」

 

 

 

 

「人間共の動きは」

 

「はっ。通信も傍受しましたが、今のところは様子見を続けるとのこと。……腐っても神輿です、聖女様に危害が及ぶ可能性のある攻撃は控えると明言はしております」

 

「どうだかな。そう言っておいて闇夜に紛れて襲い、聖女を奪取できたらよし、できなくとも私たちが非道な目に遭わせて殺していた――とでも言えるからな。警戒を厳に」

 

「畏まりました、主様」

 

魔王城、その最上階。

 

中心の尖塔の先にあるその室内は一見最も脆弱に見えても、その実は最も強固な防御魔法が展開されている。

 

室内の壁をぐるりとフロートウィンドウのように囲む、全周のモニター。

 

探知魔法を応用して作られたそれは、普段は城とその周囲を。

魔王やしもべの意思を汲み取ると――主に「侵入者」の居所を拡大表示する。

 

「ふむ……この『島』は都合が良い。今の私が顕現させられる限界の広さで他の島とも分断されている……。地下通路は繋がっているが、今は良いだろう」

 

「はい。適度に広く、適度に狭く――何よりも魔力が豊富です。人間共の馬車も入って来やすいですが、いざとなればこちらの軍勢も――飛行系以外の魔物たちも、移動が容易かと」

 

「あれらは車、馬は不要な乗り物だ――いや、それはどうでも良いか」

 

漆黒の衣装に身を包んだ主へ普段の通りの朝食を、普段とは違い指揮所となるこの部屋で摂取させるため、メイドたちが入れ替わりで忙しなく動いている。

 

「聖女の様子は?」

 

「亡き奥様のための寝所です、それはもう極楽といった様子で笑顔で寝ておられました」

「あれは保護して正解でした、主様」

 

「ふっ……任せたぞ」

 

「寝顔をご覧になられますか?」

 

「……いや、止めておこう。判断が鈍る」

 

「ええ、思わず和んでしまいますから……畏まりました。ともかく、担当がことごとく腰砕けになるほどにおかわいく眠られております」

 

聖女の様子を訊き、鋭かった目が少しだけ緩む。

その瞳には、慈愛が浮かんでいた。

 

「……さて。この星そのものを雷魔法で覆っています、『いんたぁねっと』によりますと、この世界の人間共は大変に小賢しく」

「今の主様でも数発しか防げないでしょう、炎系統の最上位魔法――『せんりゃくかく』を数千保有しているとのことです」

 

「………………………………」

 

ぴたり。

 

魔王は、手を止める。

 

「……人間共、絶滅戦争でもしていたのか?」

 

「いえ、使用せずに見せつける用途で量産しているそうで」

「はい、毎年膨大な税を投入して維持しているとのことで」

 

「いやいや、それだけの大魔法を無駄になどすまい。ならば別の世界を征服しようとしていたのでは?」

 

「いえ、それがそのような痕跡は」

「ええ、索敵魔法が未熟なために最寄りの世界ですら自力では観測できていないようで」

 

「………………………………」

 

「「………………………………」」

 

彼女たちは――しばし、目を合わせる。

 

「……本当に、互いに誇示するだけに……? 彼奴らは馬鹿なのか?」

 

「馬鹿でございましょう」

「馬鹿でなくば、こんな無駄なことはしないと」

 

「この世界が他の魔王や異界と接触したのは、ほんの10年程前とのこと……以降も、地と空と水を焼き尽くしてしまう副作用のために、使えずに保存しているようで」

「一方で被支配階級を煽動し、自主的にダンジョンへ潜らせているようで」

 

……かたん。

 

主は、ティーカップをソーサーに戻す。

 

「……分からぬ。聖女を欲望のままに支配しているかと思いきや、非効率極まる支配をし、かと思えば魔法技術だけは星を砕くほどにまで発展させているとは。……引き続き調査させよ。それほどの力、絶対に使う対象があるはずだ。探せ。人間でも大軍を率い、別の世界へ侵略する魔界もあったはずだからな……油断はするな、絶対に理由を隠しているはずだ」

 

「はっ」

「いんたぁねっとの誤情報に惑わされず、真実を探して参ります」

「いんたぁねっとは人工精霊を飼っているとのことですし、やはり情報の歪曲が……」

 

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