ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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438話 崩壊へのカウントダウン

「……主様。至急のご連絡の前に、ひとつ質問を」

 

「許す。何か」

 

一方で、城の頂上――指揮所。

 

そこでは、ドームの外から飛来する多数のミサイルなどを迎撃すべく、魔王である彼女が休みなく飛行系の配下達へと指示を飛ばしていた。

 

また、戦闘機など人間の登場している機体は器用に小破に留める攻撃を支持し、帰還できる程度に痛めつけるなど――それはもう、細心の注意を払って。

 

その額には、汗がにじんでいる。

 

本来ならば、メイドたちがすぐにでも世話をすべきだが――

 

「……この城を移動させているのは、何故でしょうか」

 

「? 移動? させてなどおらぬが?」

「いえ、しかし……」

 

主の彼女は唐突な質問に集中力が続かないと判断、迎撃以外の動作はすべて回避すべしと配下に指示し、顔を上げる。

 

「それで?」

 

「……この世界の索敵マップをご覧くださいませ」

「うむ」

 

「この島の南端に突き出た半島――ほぼドームの端にまで移動しているようですが」

 

「いや?」

「え?」

 

「こちらの画面では初めからと変わらず、島の中央の山脈の上だが?」

 

「………………………………?」

「………………………………?」

 

主の指し示すメインスクリーンには、確かに城が「島の中心」に留まっている位置情報。

 

これは確かなはずで。

 

なのに、それ以外の索敵情報はすべて城が「島の南端の半島、それも先っぽ付近」だと告げている。

 

「「?」」

 

――こてん。

 

主と従者たちは、そろって首をかしげる。

 

「……まぁ良い、大方この世界を覆っている雷魔法が邪魔をしているのだろう。位置情報の欺瞞をこちらの機材へも及ぼすか、手強い……だが、私の手元の方が正確なはずだ、問題はない……それで?」

 

――主の言葉は絶対。

そしてまた、主の実力も絶対。

 

ゆえに、従者たちは位置情報については思考を放棄した。

 

だが、本命は。

 

「あ、はい。……あの、その……」

「大変これ以上なく申し上げにくいのですが……」

 

「話せ。……私は、故意でなければ過失でも許す。知っているだろう」

 

「は。……実は、なのですが」

 

メイドたちは、同僚から伝えられた恐ろしい事実を主へと伝える。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

「?」

 

「……??」

 

彼女たちは、再度に首をかしげる。

 

「……あれに、吸収? 何故だ……」

 

主は困惑した。

主は頭痛を覚えた。

 

「分かりません……もう、何もかも……」

「彼女たちも、気がついたらなっていたと……まさか、聖女様が……?」

 

主は平衡感覚を失いかけた。

従者たちがとっさに支えた。

 

「……いや、純粋過ぎるあの娘はそういうことなどせぬだろう。あれは非道な世界でもなお、配下に加えたいほどの実力を持つ淫魔や亜竜、そして神族にも見初められし存在……」

 

主の精神は羽ばたきかけた――が、根性で抑え込んだ。

 

「しかし、何故だ? あれは、私と繋がっているはず……お前たち、あるいは『私とごく近しい存在』でなければ制御を奪えないはずなのだが……」

 

「あっ……」

 

主は声を上げた従者に一縷の光を見出した。

 

「どうした?」

 

「と、言うことは……」

「主様……」

 

「この城は、やはり島の南端に移動しているのでは……?」

 

「む? どういうことだ?」

 

光はミラーボールだった。

 

「その……聖女様がシステムに乱入されてしまったせいで、聖女様による『家に帰りたい』という帰巣本能で、無意識に移動していたとしたら……それが主様のそれに反映されていないのだとしたら……」

 

「……あっ」

 

彼女たちは、目を見開いて戸惑う。

 

「――――聖女は!」

 

主は、先代から受け継いだ命が発生してから初めて動揺した。

 

「コアの奥深くまで到達してしまっているようで、下の者では手が出せないとのこと!」

「仕方がないため、彼女に従う淫魔たちへと協力を要請したいとのことです! 如何されますか!」

 

「……そこまで入り込んでいたならば、いっそのこと魔界へ戻ってから向かった方が早い……戦闘指揮は一任する! また、彼女たちを迎え入れろ――あれらへの敵対行動は厳禁する!」

 

「はっ……ご武運を」

「恐らくは好奇心から入り込んでしまったのでしょう、きっと今ごろは一人見知らぬ空間で泣いているでしょうあのお方を……!」

 

「任せろ。聖女は、何があっても私が守る! なぜならば――――」

 

 

 

 

「――ったく、しつけぇ! あと消し飛ばしたらその分生えてきてキリがねぇ!」

 

「ええ……弱りました。こちらの魔力は――先ほどから何故かユズ様との接続が切れかけているため、供給がほぼ停止。おやびん様、戦闘もしばらくは最小限に……!」

 

「クソ、せっかくブレスし放題で気分良かったのに」

「それをどうか! このままですと、数十分で……!」

 

「おやびん、魔力は無駄にしちゃ行けないッスよ」

「おやびんだからなぁ……」

 

【おいたわしい……】

【かわいそう】

【エリーちゃん……】

 

【おやびんは?】

 

【楽しそうに戦ってたからね】

【かわいいね】

【かわいいね】

【無知無邪気おっぱいっ子……いいよね……】

【いい……】

【草】

 

【けど、ユズちゃんになにかあったっぽい?】

 

【ついにひらっひらやらかしたか……】

【あーあ】

【草】

【誰もユズちゃんのこと心配してなくて草】

【だってぇ……】

 

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