ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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440話 お父さんが居た

「優さん……ごめんなさい……部隊のみなさん、ごめんなさい……柚希先輩を、羽ばたかせてしまって、本当にごめんなさい……」

 

「あ、ゆずちゃんがまた変なことしちゃったんだ」

「あー……それは、その……」

 

ひなたの瞳から光が半分消え、あやは事情を察し――理央は平謝りを始めた。

 

【草】

【おいたわしい……】

【なかないで】

【このときばかりは理央様に同情するわ】

【分かる】

【草】

 

【悲報・やっぱユズちゃん】

【だってこの戦いのきっかけだユズちゃんだもん……】

【ユズちゃん……どうして……】

 

【私、こっちの方しか見てないから事情分かんないんだけど、あっち見に行った方が良さそう? エリーちゃんたちの方】

 

【そのままの君で居て】

【良くなさそう】

【草】

【完全な善意から勧めてるんだぞ】

【※マジです】

【知っちゃったら立ってられなくなるからね】

【そうそう、今の優ちゃんみたいにケガしちゃうよ】

 

【そっかぁ……うん、そうする……ユズちゃんだもんね……】

 

【うん、ユズちゃんだから……】

【ユズちゃん……どうして……】

【聞いただけで察せられる「ユズちゃんだから」】

【草】

 

【末裔のあいだで認識が一致していて草】

【末裔どころか、もう世界中の大半が……】

 

【※この配信は全世界が固唾を呑んで見守っています  だって一応で地球を侵略してきてるマジでガチな戦力を有する魔王攻略作戦だから……】

 

【あっ】

【草】

【世界はもうおしまい!】

【本当におしまいにしかけるやつがあるか!?】

 

【ユズちゃんがひらっひらばっさばっさ羽ばたいててもそうでなかったとしても、まだ上でも詳しい事情が分かってない以上には優ちゃんたちもまだまだ全力で駆け上がらないといけない地獄】

 

【おいたわしい……】

【マジでかわいそう】

【目標のない仕事って地獄だからね……】

【尻ぬぐいってほんっと大変だからね……】

【それな】

【かわいそう】

 

【みんな無茶はしないようにね  俺もこっちしか見てないけど、誓っても良い  上だけど、少なくとも今はギャグ空間になってるからゆっくりで良いと思うよ】

 

【親衛隊もそう思います……もうやだ】

 

【草】

【親衛隊がやられた!】

【そ、それでも現在進行形でやべー空中戦起きてるのは事実だから、ちょっとは急いでね……お願い……】

 

【あくまでギャグ空間は城の前だけかもしれないからな!】

【ユズちゃんのフィールド的な何かでね】

【あ、ちょうちょー】

【草】

 

 

 

 

「?」

 

僕はあたりを見回す。

 

――でっかいモンスター、その死骸が真横にあった。

 

「ぴゅっ!?」

 

変な声が出ちゃいながらも急いで距離取り、おまんじゅうに警戒――

 

「あ、おまんじゅうが居ない!」

 

そうだった!

僕、あの子をどっかで落っことしちゃったんだ……!

 

どうしよどうしよ……僕、おまんじゅうが居ないとただの子供でしかない。

 

びくびくしながら周りを眺めると――やっぱりたくさんのモンスター。

 

ただし大半はぐちゃぐちゃで、正直吐きそうなくらいにぐろくって――中には見慣れてるように魔石になってたりしてすっきりしてるけど、むせかえるような血の臭いが充満している。

 

「……?」

 

えずくのを我慢しながら、ふと、気になった構造物を見る。

 

――――――家。

 

僕の、家。

 

「――――――、え」

 

僕の家が、ずっと住んでる家が、お母さんと住んでる家が、ぺちゃんこになっている。

 

ううん、それだけじゃない。

 

首をぐるりと回すと――もう基礎しか形が残ってないけども、僕の知ってる場所。

 

家の前の道路。

 

あちこちが燃えていて、煙がもくもくで――むせるほどで。

 

――そしてその惨状は――ちょっと先まで続いていて。

 

だからつまり、

 

「……理央ちゃん、の、家も……?」

 

――――――まともに残っている建物は、存在しない。

 

なにもかもが、ぐちゃぐちゃ。

 

その上に、たくさんのモンスターたちの死骸。

 

死。

 

死が充満している。

 

「……人は……居ない……?」

 

けども――遠くで防災無線がぼんやりしゃべっている以外は、人の気配がない。

 

静か。

 

壮絶なのに静かすぎる光景。

 

それがなおさらに、気持ち悪くって。

 

「うぇっ……」

 

僕は、思わずこみ上げてきたものを――――――

 

『――妻と娘を助ける代わりに、貴様の命を? 私の労力に釣り合うと、本気で思うのか――人間』

 

ふっ、と、景色も臭いも空気も入れ替わる。

 

「?」

 

全然平気になっちゃった?

 

なんで?

 

「……?」

 

あれ、そういえば今の声はどこから?

 

僕は――今度は真っ暗になってる、けども周囲が見えるっていう不思議な光景の中、振り返って――――――

 

『はい、思いますよ。でなければ――わざわざ死に体の僕を探し出して治療し、神族――でしたか?……の手に渡る前に、僕の分かる言語というコミュニケーション方法で接触してくるはずがありませんから。それほどの力があれば、強引に首を振らせるなんて簡単でしょう?』

 

『……ははは! さすがは「勇者」の器! 明らかに上位の存在に対し、怯えることなく語るか!』

 

『それはもう。妻と子供の命まで掛かっているのですから必死で考えるので恐怖など。……それに、貴女の「転生」のために、僕の魂とやらが必要なのでしょう? ならば――』

 

そんな会話が――ずっと忘れていた人/お父さんと魔王様の間で、されていた。

 




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