ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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458話 小さな田中君を見つけた

「……たんこぶできてる……うぅ……」

 

僕はしょんぼりして、最寄りの出口からフェードアウト。

 

「あとでお薬か治癒魔法を……ん?」

 

「あ……あ……!?」

 

すたっ。

 

僕が降り立った場所は――どこかで見たような、広い道路。

そのあちこちでひしゃげた車が燃えていて、臭くって。

 

「ひ、人が……空から……!?」

 

「……田中君じゃん」

 

そこで、車の影で隠れるようにしていた少年。

 

今ではすっかりがっちりして背の高くってモテるイケメンさんになってるけども、見た感じ……10歳にはなってないかな?……な彼は、まだ子供だ。

 

「そーそー、そういやそうだった。君ったら高学年になってから背が伸びていじめっ子になったんだよねぇ。小さいころはいじめられっ子だったから、その逆襲って感じで」

 

ついでで僕も巻き込まれたけどね。

 

でも泣きそうになるくらいはいじめられなかったし、そのころはまだ理央ちゃんも――1年年下なだけで、子供のころってば女子の方が背が高かったりするから――同じくらいの背丈で、だから守ってもらってたし。

 

「……女の子に守られてたんだっけ、僕……怖がりだったから……しかも高学年にはもう背丈、伸びなくなっちゃってたから……」

 

僕は落ち込んだ。

 

「はぁ……なんで僕、エリーさんとかみたいな……」

 

「……お、おい! 大丈夫か!」

「?」

 

しょげ込みきった僕は、気がついたら割れたアスファルトに座り込んで黒い欠片をいじいじしてたらしく、顔を上げたら――

 

「!?」

 

ちょうど目の前に、ちっちゃい田中君が居た。

 

「?」

 

「    」

 

なぜか、お口を開けたまま固まっている彼を観察してみる。

 

――うん、子供だ。

本当にただの子供。

 

今みたいな、じっと見下ろされるだけで怖くなる気配はかけらもない。

 

つまり……怖くない……!

 

すごい!

 

「くふっ」

「ま゜っ」

 

なんだかおかしくって笑えちゃって、思わずで変な声が出ちゃった。

 

けども……よく考えたら、この景色は――たぶん、11年前。

 

そうだよ、ついさっきにそのときの僕たち――お父さんと魔王さんも――見たんだ、その続きみたいな感じなんだ、きっと。

 

「……そうだよ、いくらなんでも何歳の子供相手に、何を嬉しがってるんだ僕は……」

 

ださすぎる事実に気がついた僕は、申し訳ない気持ちで田中君(幼)を見つめる。

 

「ごめんね? 君はかっこいいよ?」

 

「     」

 

――あれ?

 

なんで君、さっき見たときは普通だったのに――

 

「……熱は……ないね。大丈夫?」

 

「 !?   ∑ 」

 

こつん。

 

最近伸びすぎてる前髪を持ち上げて出した僕のおでこを、彼の真っ赤になってるそこへ合わせてみる。

 

「んー? ……まぁ熱がないんだったらいっか」

 

おでこを離したら――なぜかもっと真っ赤に、耳まで赤くなってたけども……ひょっとしてカゼかな?

 

「あ、じゃないじゃない……ちょうちょ禁止ちょうちょ禁止」

 

うにーん。

ほっぺたを左右にひっばって、喝をひとつ。

 

「!?゙」

 

……あれ、痛くない?

 

そうだった、確かレベルが上がると僕みたいな後衛でもある程度は肉体強度的なものがーって話、講習とか学校で聞いたっけ。

 

「もう、それじゃほっぺた伸ばし損じゃん。あーあ」

 

「        」

「ん?」

 

遠くで、爆発音。

それで引き戻された僕は――なぜか彼が白目を剥いているのを発見した。

 

「……それじゃまるでおまんじゅうみたいだよ、田中君……もう、しょうがないなぁ」

 

ちょっと声をかけたり肩を叩いたり、お耳にふーってしてみたり脇をこちょこちょしてみたけども、反応は無し。

 

や、ぴくぴく反応はしてたんだけど、これ、しばらく動かなくなるときのおまんじゅうとおんなじなんだ。

 

「きっと、この日の惨状で大変な思いしたんだろうし。うん、しょうがないよ、子供だし……よいしょっと」

 

僕は、彼を背中に乗せて――どうやら羽は人体をすり抜けるし、羽ばたいても問題ないらしい――立ち上がった。

 

「えっと……確か、僕の住んでたあたりはモンスターとかの襲撃?とかのせいで、壊滅してた……けども、魔王さんがお父さんをなんとかしたお礼にって、本当は死なないけどどっかに助けてくれてた人たちを引き戻してくれるはず」

 

油断するとすぐにほわーってしちゃいそうになる脳みそをがんばって回転。

 

難しい問題文を読むときみたいに、あるいは安いからって買ってきた古本がすっごく古いからかすれた印刷に画数が多すぎる漢字とかカタカナばっかりだったときみたいに、すっごく集中する。

 

「……うん、そうじゃないと僕の小さいときからのご近所さんとか小学校の友達とか、なによりぺちゃんこになっちゃってたお家とかがあったっていう僕の記憶がおかしなことになる。つまり――この光景は、そのうち修復される」

 

家の近くの国道。

 

その両脇にあったはずの建物が、ことごとくに半壊したりなくなったり地面ごとえぐれたりしていて。

 

「じゃ、運の良いことに助かってたらしい田中君のこと、誰かに預ければ良いのかな? ……ここが夢の中って可能性もあるけども、さすがにおまんじゅうみたいになってるのをほっとくのはかわいそうだし」

 

――どぉん、どぉん。

 

……人が戦ってる。

 

お父さんみたいに、今日、この日に戦う適性に目覚めた人が。

 

「あっち行くよ、田中君。……あ、飛びたいけど飛んだらびっくりされちゃうね……よいしょ、羽もしまって……っと」

 

僕は、煙の上がっている方向に歩き出した。

 

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