ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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461話 怖がられてるのはちょっと斬新

「……ふむ、なるほど。つまりあなたは……」

 

「はい。ダンジョンから……その。うっかり出てきちゃいました。えっと、なんだかこの世界に繋がってたみたいで、こう……押し流された的な?」

 

僕はおバカなサキュバスの魔族。

 

人に害意とかないし、別にえっちなこと誘惑とかしないしこのシスターさんっぽい服見たらわかるでしょって言って、無理やり納得させた。

 

幸いなことに、ここはダンジョンが出現してすぐの時期。

後から考えたらいろいろおかしかったとしても、今すぐならバレやしない。

 

たぶん。

 

「で、車の側に隠れていた少年を……ありがとうございます」

「いえ、たまたまばったり会ったので。たまたま、たまたまで」

 

よし、これで大丈夫。

リリスモードだし、きっと説得力抜群だ。

 

田中君からも、きっとそう証言してくれるはず。

サキュバスみたいなえっちなこと、してないって。

 

「……にわかには信じがたいが……」

「ですが、ただの子供ではないようで……」

 

「羽を生やして空を飛んできたのを目撃しました。それなのにシスター服――のようなものを着ていて、羽もツノも隠すことができるようです……そして、現在の世界の状況を教えてくれました。少なくとも危害を加えるつもりはないかと」

 

「ああ、そのつもりなら人のフリをして避難民として……先ほどのアレで、サキュバスということだから、その……人の生命力を吸ったりもできるはず」

 

「なら、先ほどのは本当にうっかり……?」

「サ、サキュバスというのは……その……そういう行為で生きると聞きますし、今も抑えてくれているのなら信用しても良いのかと……」

「ですが、言うなれば人語を解するクマやライオン……空腹になれば……」

 

ひそひそひそひそ。

大人たちの会話が続いている。

 

……結構聞こえちゃってるのは黙っとこ。

 

まぁこのへんのはエリーさんが必死になって説明してたのをなんとなくで覚えてるから、それを良い感じにアレンジしとけば良いよね。

 

僕より賢いエリーさんが使ってた言葉とかなら信じてもらえるはず。

今の僕ってば、僕を追いかけてうっかり来ちゃったあのときのエリーさんと――。

 

「……あ、あのー……もし不快な思いをさせたのなら、私の生命力とかでご容赦いただきたいのですけど……」

 

おずおずと、先生の1人が聞いてくる。

 

………………………………。

 

……みんなからちょうちょ扱いもそこまで好きじゃないけど、かといってこんなに怯えられて仰々しいのも……まぁしょうがないけどさ。

 

「はい、僕は滅多なことじゃ怒らないので大丈夫ですよ」

 

お母さんと理央ちゃん相手以外じゃ、ほんとに滅多にね。

 

「せ、先生っ! それは今でなくとも……」

「で、でも、やっぱり気になるんです。同僚でしたから」

 

見た感じ、30代くらいの女の先生がへっぴり腰。

ちょうど、お父さんが先生続けてたらこのくらいの年齢かなって感じの。

 

「それで?」

 

「は、はい。……その、サキュバス様たちというのは、今回以外でもこの世界に来たりしますか……?」

「来てたかもしれません。みんな好戦的じゃないはずなので、ちょっと悪戯して帰るかもしれませんけど」

 

「……サキュバスは、本当に居たのか……!」

「ごくり……イ、インキュバスはどうでしょう……?」

 

「――先生……インキュバスは男ですよ?」

「私はその方が……」

 

「えっ」

「えっ? ……あっ」

 

……さりげなく1人の先生――男の先生が他のみんなから引かれてるけど、見なかったことにしてあげて。

 

「ほら、サキュバスとかって人間に依存してる生物?ですし。賢い寄生虫……って言ったらなんかヤですけど、そういうのが宿主を弱らせたり殺したりって普通はしないですよね? 怒らせたら見つけられて自分が殺されちゃいますし」

「そ、そうですね……」

 

って感じのことを、えらい人相手に真っ青な顔してストレス性の汗の匂いを振りまきながらエリーさんが言ってたっけ。

 

「あと、こういう情報化社会だと暴れたらあっという間に捕まっちゃいますし? 僕たちだって監視カメラとかに普通に映りますし」

「そ、そうですね……」

 

「それに、僕たち、別にそういうの吸わないと死んじゃうとかじゃないので」

 

「そ、そう……えっ?」

 

他の先生たちの目も、一瞬で僕を見てくる。

 

「……サキュバスとかインキュバスが人間相手にえっちなことして生命力吸わないと死んじゃうんなら、とっくに滅びてますよ。危険すぎて捜索されて袋叩きで」

「は、はぁ……確かに、言われてみれば……?」

 

エリーさんが、こわもてのお偉いさん相手にちょっとちびりながらそう説明してたっけ。

 

「な、なら……えっと、その」

「はい」

 

すっごく怖がってる、けども……好奇心?

 

「……その、あなたによく似たサキュバスの人とか……こっちに来てませんか? ええと……数年前に高校生として、この近くの高校に通ってた……あ、あることを除いては、ごく普通の人間の女性として生活しているみたいですけど……」

 

――この日。

 

つまりは11年前、それからさらに数年前に高校生。

 

僕にそっくり。

サキュバス。

 

………………………………。

 

………………………………あっ。

 

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