ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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463話 残っている町を守るんだ

「……というわけで。あくまで僕の『予測』ですけど」

 

「シスターさんが先ほど上空から観察された中では局所的に――『ダンジョン化』により特定地域が魔界となり、ダンジョンというモンスターの巣窟になり」

「サキュバスさん……は敵ではないですけど、そこからあふれてくるモンスターたちがこの被害を出しているものの、私たち人間の中にも半分くらいが、それらと戦える適性を持っていて」

 

「――勇者さんも、居ました。自分の命をかけて、その地域一帯のモンスターを追い払って……ぐす」

 

「……お辛かったですね。勇気のある人も居て、誰かを助けていた……教えてくれて、ありがとうございます」

 

なでなで。

 

みんなに現状を――ここからの未来で、学校とかで教わったものをそれらしく教え返しているあいだ、僕は女性の先生たちに囲まれてなでなでをされている。

 

……こんなときでも子供扱い、だけど泣いちゃったからしょうがないよね。

 

これでも背がちょっと伸びてるし、なぜかお胸もちょっと膨らんでるのにね。

でも大丈夫、ちゃんと生えてるのは来るとき確認したから。

 

あ、がんばってぶわってなるのは抑え込んでる。

あれでよく理央ちゃんたちが襲ってきてたから。

 

「それで、世界中が一斉に襲われているものの、少なくともこの島国は迎撃可能と」

 

「はい、山の奥とか……出海道とかには強すぎるダンジョンとかが――魔力の関係とかで多いみたいですけど、それも遠巻きに封鎖すればなんとかなる……はずで、他の地域も大半は……長くて数ヶ月で、取り返せるはずです」

 

きゅっきゅ。

 

僕は、覚えている限りのモンスターたちの見た目とか名前、強さとか戦い方をホワイトボードに――うねうねななめになっちゃって読みにくいだろうけども、書いていく。

 

それでもなでなでされる。

 

なんでだろう。

背伸びしながら書いてるからかな。

 

「あと、地上に出たモンスターは時間経過で魔力を失うので、この小学校とかも立てこもっていれば……侵入されなければ、相手のサイズが小さかったり飛行系が居なければ、相手が勝手に消えてくれます。遠距離魔法使うのとか、単純にレベルが高い――強いモンスターもいるので、油断はできませんけど」

 

要は、映画とかであるゾンビパニックものと同じ状況。

幸いにしてここは人間のテリトリー、ちゃんと隠れていれば……雑魚相手なら、それで勝ちなんだ。

 

「……しかし、通信は回復しなさそうなのですね」

「電気を始め、ライフラインも……備蓄分だけでなんとかなれば、ですね」

 

「そのあたりは、戦える人を集めて近くのお店から借りるとか――」

 

僕がなんでここに居るのかは分からない。

 

けども実際に居て――これが夢じゃないんなら、ちゃんと未来の情報を伝えられている。

だから、できる限りの対策を。

 

そう思ってしゃべっていた僕は――――――羽を出した。

 

「!?」

「聖女さん!?」

 

「――モンスターの集団が、こっちに。……校門を早く閉めて。避難してる人たちを、3階の――なるべく窓から離れた、できたら狭い部屋に。急いでください」

 

僕は窓まで駆け寄るとがらがらと空けて――ふわり。

 

「ほ、ほんとうに飛んでいる……!」

 

「見え……ふぅ……」

「――先生……最低です」

 

「!? 待て、誤解だ!」

「いえ、今普通に覗いていましたし……事態が収束したらオハナシしますからね」

 

――教員室の先生たちは、忙しそうに駆け出している。

 

少なくとも、僕が来なかったよりは犠牲も少なくなるはずだ。

 

「……ああいや、確かシンゾクって人たちが助けてくれてるとか……いや、でも、それでもモンスターに食べられちゃう人は少ない方が良いはずだし……」

 

――過去を変えちゃったら、未来が変わっちゃう。

 

タイムパラドックス。

そんなことも、ちらりと頭をよぎるけれど。

 

「……もう今さらだ。それに――1人でも多く助けた方が良いのは、間違いないから」

 

ばさっばさっ。

 

高度を上げ、モンスターの気配へ飛んでいく。

 

――どうか、弱いのでありますようにって。

 

 

 

 

「うわぁ!? 来るな、来るなぁ!?」

「誰か! 子供だけでも連れて行って……!」

 

「あのスライム、俺の友達の頭に取り付いて……気がついたら体まで溶かして……すぐに消化して、骨ひとつすら……うぷっ……」

 

――幸いにして数は100匹くらいとかなり多いけども、適性さえあれば初心者でも倒せる範囲のモンスターばかりだった。

 

……もっとも、その向こうにはそれなりに強いのが集まってるみたいだから、そっちは僕がなんとかしなきゃだけども。

 

けれども、初めてモンスターに襲われた人たちはパニックに陥っている。

 

それはそうだ、たとえかわいいウサギであろうとも敵意を持って飛びかかって噛みついてくるんなら恐怖するのが普通の人だ。

 

「!? おい、あれ!」

「鳥か!?」

「空にも何かが!?」

「いや、あれは人……でも、羽が……」

 

――なら。

 

「――落ち着いてください」

 

ふわり。

 

僕は、あえてゆっくりと舞い降りる。

 

混乱している人たち相手は、静かに落ち着いて。

理央ちゃんとかお母さんをなだめるときに、いつもやっていること。

 

「大丈夫です。あなたたちは、もう――大丈夫です」

 

わざと低めな声を出して――それでも田中君みたいな普通の男子の声にはならないし、なんならこれでもさっきのミニ田中君くらいだけど。

 

「あなたたちは……助かります」

 

僕は、お母さん譲りの――サキュバスの血を引いている、僕にはよく分からないけども美人寄りの、決してかわいい寄りじゃなく綺麗系の顔を最大限に活用して微笑んだ。

 

ついでにシスターさんらしく、胸の前でぎゅっと手を組んで、祈るようにして。

この地域に教会なんてないけど、きっと安心してもらえるだろう。

 

「あ゜っ  」

「   ぴ 」

「     」

「     」

 

パニックだった数十人は、一瞬で落ち着いてくれた。

 

おんなじ顔のお母さんにはそこまで効かなかったけども、理央ちゃんとか田中君とかには抜群のスマイル。

 

「僕が、助けに来ましたから」

 

ひとまずみんなを安心させる。

そうすれば、この中の半分くらいは戦える。

 

その、はずだから。

 

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