ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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472話 ノームさんと遊んだ

「ふんふーん♪」

 

ぽちぽちぽちぽち。

 

僕はゲームが好き。

読書の次に好き。

 

特に戦略を考えるのが好き。

理央ちゃんが、好きなイカを狩るみたいなすばしっこいのは苦手。

 

だから、こうして六角形なマスで「3D」の宙域?での指揮はとっても楽しい。

 

じっくり考えて動かして、またじっくり考えるのが好きなんだ。

でも将棋とか囲碁は難しすぎて僕には無理だったんだ。

 

「お、みんなのレベルが上がった。ついさっきまで全員1だったのに」

 

何度目かの召喚で、さっき仲間にしたばっかのあの子たちが軒並みレベル100台に上がっている。

 

まぁゲームだから、雰囲気で僕のペット……じゃない、仲間の名前が使われてるだけなんだろうけども。

ほら、今でもきっとあの「ないない」な箱の中でおいしいもの食べながら寝てるはずだし。

 

「レベルが上がった子たちで陽動して、好きを見てダンジョンを撃ち込んで敵の本体を……なかなかおもしろいバランス」

 

「じょうず」

「わ」

 

ふと気配を感じてみると、僕の真ん前までもそっと寄ってきていた黒髪の……髪の毛が歩いてきたと思しき場所へ延々と伸びてるし、もう呪いの人形さんなんか目じゃないくらいすごいんだけど、あとなんか良い匂いするけど、ゲーム画面をのぞき込んできている彼女が居る。

 

……こしょこしょ。

 

「あ、あははっ、の、ノームさんっ、はね、羽がくすぐったいですっ」

「しつれい」

 

背中から生えて――はおらず、空中でふわふわしているかっこいいカラスさんみたいな羽が僕の首元をくすぐってきていたのに気づいたらしく、彼女が振り返ってくる。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

――綺麗だ。

 

幼い女の子。

中学生になったばかりくらい。

 

闇に溶けそうな――いや、髪の毛そのものが闇でしかない、艶やかだから薄暗い光を反射していなければ認識もできないし、部屋中に敷き詰められるほどの長さの黒髪。

 

その正反対の、真っ白なお肌。

 

真っ赤なおめめ――魔王さんよりも穏やかで、眠そうなおめめ。

 

「……はぇー……」

 

「?」

 

「あ、違うんです。ただ、綺麗だなぁって」

「てれ」

 

ぷいっと画面へ振り戻るけども、僕に見られたのが嫌とかじゃないよね?

 

「もう、はんげきふぇーず」

 

「あ、はい。コツをつかんだので仲間たちをレベリングしつつダンジョンをうまく使って敵を弱らせたので、結構MPが余ってたので」

 

画面の隅に表示されているMP――プレイヤーの使えるコストは「3000PB」。

 

単位とかはさっぱりだけども、ダンジョンを突撃させたり敵を倒しての回復で大体の感覚はつかんでいる。

 

「あとはこれで強いユニット……この『魔王(善)』さんとか『勇者』さん、『女神』さんも向かわせようかなって」

 

「おおー」

 

あ、羽がわさっと開いてる。

 

……どうだ、僕だって男だ、こういうタクティカルなゲームは得意なんだぞ。

 

「むふーっ」

 

「ゆずき」

 

くるっ。

 

四つん這いの彼女が、じっと見上げてくる。

 

「かんしゃ」

「いえいえ」

 

「おれい?」

「いいですって……あ、帰り道を」

 

「それはさいしょから」

「あ、そうなんですか」

 

「そう」

「ほへー」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

「………………………………?」

「………………………………?」

 

こてん。

 

む。

この子と話してると、なんだかリズムが狂う気がする。

 

「……みりょうはきかない」

「みりょう?」

 

「さきゅばす」

「確かにサキュバスではありますけど」

 

正確にはインキュバス……や、両方持ってるリリスだっけ?

 

「のーむはあるにささげてる」

「ある?」

 

「かたよく」

「大切な人なんですね」

 

「ぽっ……」

「えっと、お幸せに?」

 

どうやら好きな人が居るらしい。

不思議な子だけど、こういうところは女の子なんだ。

 

「たたかい、さんせんする?」

 

よく分からないことを呟いた彼女が、今度は画面を指差す。

 

「?」

 

「たたかい。ゆにこーん」

 

「あ、僕の友達のおまんじゅう、結構強いんです」

「ぴ!」

 

「はいはい、チョコも強いよね。おまんじゅうと合体技が強いよね」

「ぴ!!」

 

そういえば張りついてたチョコが、僕の胸元で声を上げる。

……まーた体に張りついてる……トイレ行きたくならないから良いけどさぁ……。

 

「あなたも、つよい」

 

「僕は弱いですよ?」

 

ほら、テイマーだし。

 

「?」

「?」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

「――【scan】」

 

ぶぉん。

 

僕の顔の前に小さなおててを突き出してきた彼女が――なにやらかっこいい魔法陣っぽいAR映像?を見せてくる。

 

こういうの、僕、好き。

 

「……なるほど」

「分かりましたか?」

 

「ん」

 

彼女は妙に納得した顔つきをしている。

 

「ほしに――かごが、ひとつずつ」

 

「どちらも『いきてほしい』」

 

「あい」

 

「ゆうしゃと、まおう」

 

「そのこども」

 

「……ゆずきは、あいされている」

 

愛。

 

……そうだね。

僕は、幸運なんだ。

 

「よく分からないけど、周りの人には恵まれてるって感じてます」

「ん、なみなみならぬ、あい」

 

うんうんと満足そうにうなずいている黒髪の子。

 

「でもけいけんち、ぷーるちゅう」

 

「プール?」

 

「――れべるあっぷ、してく?」

 

「150くらいあがる」

 

「3だんかいくらいしんか」

 

「はばたく」

 

「……よく分からないので、お任せで」

「まかされた」

 

ぶぉん。

 

僕の胸元に彼女おててが当てられて――――――――

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