ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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486話 頭を打って正気に戻った

「……あーあ、ひどいよ神族」

 

僕は脳天をさすりながら体を起こす。

 

「おまんじゅう?」

 

「     」

 

「……そうだよねぇ……いくら君が軽くたって、上空何百メートルから落とされたら物理法則的にねぇ……」

 

とりあえずとして「尊さのオーバーフロー」で限界に達したわけじゃなく、単純に思いっきりスカイダイビングしたあと頭同士でごっつんこしたせいで気絶している友達を脇に抱える。

 

「きゅひ……」

 

……抱えると、ぴくぴくと蠢く。

 

「こんな胸元とワキで元気になるのかぁ……君たちの種族は難儀だねぇ」

 

それにしても――と、僕は頭をさする。

 

「良かったぁ……『ツノが生えてる状態のときに降ってこないで』。もし生えてたら、おまんじゅうが串刺しに……いやまぁ一瞬で倒した判定になってリスポーンはするけど、嫌じゃんそんなの……再構成されるまで、スプラッターじゃん……」

 

僕は「リリス」として自慢の2本のツノの触覚を、確かめる。

 

「……幼体だからしょうがないけど、かっこいい太さと長さとうねりっぷりにはまだまだだなぁ……この体の人間としての生殖器みたいに子供だからなぁ」

 

僕は、結婚したはずの女の子たちから「小さくてかわいい!」「柚希先輩の柚希先輩は怖くないから良いんです!」「でも、いつか……ごくり……」「    」とさんざんだった、雄の証を思い起こす。

 

「『普段の僕』もさ、もっとちゃんと言わないと。『男として、そういうこと言われると本気で凹むんだ』って。田中君とか男子に同意求めたら良かったじゃん、『君たちも言ってやってよ、男の大切なものがちっちゃいって笑われたら嫌だよね?』ってさ。……こういう扱いが嫌いじゃないから、しょうがないけどさ。僕、リリスなんだからさ。もっとこう、女の子たちには恐れられるかよだれを垂らされるかする存在感がないとねぇ……よっと」

 

――ぶんっ。

 

僕は「この世界を覆う」魔法陣を――魅了と困惑と酩酊と錯乱と自害と繁殖と麻痺と停止と支配の魔法を解除するついでで、治癒魔法を作動させる。

 

「幼いながらもリリスなもんだから、ときどき迷惑かけちゃうんだよなぁ……無駄に魔力があるせいで。あ、そういやサバト連発しちゃってたっけ。それで今回はこんなことに……あとでお詫び入れないとなぁ。普段が普段だからってのもあるけど、あの世界の人たち、かなりの善寄りの人たちだし……うん」

 

「きゅひ?」

「きゅ!?」

「きゅひひひひ」

「きゅぎゅっ」

 

――ぽんぽんぽんぽんっ。

 

いっせいにリスポーンしてきたユニコーンたちが――

 

「あ、ごめんごめん。あんまりいっぺんだと処理落ちしちゃうよね」

 

治癒魔法を、あえてエリアごとに限定してかけ直す。

 

――ざざっと崩れかけていた世界の一端が元通りになる。

 

「危ない危ない……うっかり壊滅させて絶滅させちゃったけど、ここ、純潔ユニコーンたちの世界を崩壊させちゃうとこだった。生態系は大事、絶滅危惧種――『他種族の清らかな子供相手にしか繁殖欲が湧かない』とかいう性癖の……ペガサスたちの幼体の一種の楽園を消し去っちゃうとこだった」

 

ぽんぽんぽんぽんっ。

 

僕たちの周りに爆発四散したばかりで戸惑っているユニコーン――その幼体だけが出現していく。

 

その数、千。

 

「千匹で良く保ってるよなぁ……まぁあれだ、この子たちはそもそも同類での繁殖はしないけど条件次第で純潔が維持できる不思議な生態系だし、生存競争の厳しい世界のお目当てさんのとこ行けば大抵うまく行くし。逆にうちみたいなとこだと……」

 

僕は、ちょっとだけかすんだ目でファンシーな魔力で覆われた空を見上げる。

 

「……なにさ、『ユニコーン勢』って。アイドル産業がこんな形で大衆化された世界とか、いろいろとおかしいよ……」

 

「……きゅ、ひ?」

「あ、おまんじゅう」

 

もぞもぞっと目を覚ました友達は、

 

「んっ……こーらっ」

「きゅひっ!?」

 

――服越しとはいえ、起き抜けに早速乳首へ吸い付いてきた彼をむんずと首元でつまみ上げる。

 

「おまんじゅう? そういうのはね?」

「きゅ……きゅひ? きゅ?」

 

……この子には、お灸が必要だ。

 

普段の僕へ、いつもいつもいたずらばかりしてるから。

 

「――夜中、ふたりきりのときにやるのっ。ふーっ」

 

ぼそっ。

 

彼の耳元へ、ウィスパーボイスを吹き込む。

 

「        」

 

ぴしっ。

 

固まる――けども、爆発四散はしないおまんじゅう。

やっぱり君だけだね、僕の相棒になれるのは。

 

「……ふふっ。あー、おもしろい。あんなにセクハラしといて本人は純粋過ぎる性格だとか、相手から襲ってもらえないと繁殖できないとか、種族として厳しすぎるよ君たち」

 

僕たちの周りには、千匹のユニコーン――その幼体。

 

まだ子供であって――人間、それも小学生男子換算で5年生から中学2年生、いたずら好きでえっちなことにも興味津々だけど肝心の体が熟してないから、ただただグラビアとかえっちな単語で盛りあがったりする程度の精神年齢。

 

大半の女性にとっては敵でしかない彼らも、彼らの好むピュア過ぎる性格の女の子とか美形の男の子とかとは相性が良いんだ。

 

「……どこをどうこじらせたら、そんな分からなさすぎる業を背負った種族が誕生したんだろうね……いや、人間出身の僕が言えた立場じゃないけどさ……」

 

 

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