ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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490話 お届け物です

「おまんじゅう。チョコ。――――――なぎ払って。人には絶対当てないで」

 

「ぴっ!」

「きゅ――――――――ひっ」

 

びーっ。

 

おまんじゅうのツノが――僕のまたがる背中のふさふさしてこそばゆいたてがみの先にそそり立つ、1メートルくらいのツノ。

 

それをチョコが包んで3メートルくらいの砲身になった先から、ビームが放たれる。

 

特に首を動かさなくても、ツノの先から真横にでも真上にでも出せるらしいその光線は、一瞬でびーって目の前のモンスターたちをなぎ払う。

 

――じゅううう。

 

目の前で人を襲っていたモンスターたちの大軍が――一瞬で、どろりと真っ赤に溶ける。

 

――からんからん。

 

ざざっと世界が処理落ちを起こしたあと、地面に転がるのは大量の魔石。

 

……処理落ちするってことは、この世界を守ってる神族がかなり消耗してる……?

 

あ、そっか、さっき会ったノームさん――あの子かな。

 

むぅ、それならあの子と遊んでたときにリリスに戻ってればいろいろ聞けたのに。

 

ほんわかしてる方の僕の、ばか。

 

「……今のは?」

「ひっ!? モンスター!?」

 

「白い馬のモンスター……あれは、ユニコーン……?」

「いや、羽が生えている……ペガサスでは?」

 

「どっちでも良い! それよりも、乗っている少女は……!」

 

食べかけられてた人たちは、自分たちが安全と分かると騒ぎ出して僕の方を見てくる。

 

「……おまんじゅう」

「きゅいっ」

 

かぽっ、かぽっ。

 

体が、日曜日で暇なときに着けてたテレビで走ってたお馬さんのようにかっこよくでっかくなってるおまんじゅうが、その上にチョコが座りやすい背もたれを着けてくれてるしかっこいい鎧でおまんじゅうを守っている――教科書に載ってた軍馬ってのにそっくりな見た目になったおまんじゅうが、彼らの方向に……けれども真っ直ぐには進まず、あえてななめに近づく。

 

「そうそう、なるべく目を合わせないであげてね。横を向いてたら敵じゃないっていうアピールね。僕も手を振るから、びっくりさせないようにね」

「きゅっ」

 

かぽっ、かぽっ。

 

おまんじゅうのヒヅメ――ちっちゃいときには着いてなかったけど――が、音を立てながらゆっくりと、まるで時代劇のお馬さんみたいに歩いていく。

 

「シスター……いや、聖女……?」

「ああ、女神……」

「なんでも良いわ、私たちは助けられたのだから」

 

「あの、えっと、僕、人間です」

 

充分に近づいてから、まずはご挨拶。

 

リリスってのは、言わなくて良い。

ましてやサキュバスとかは絶対言っちゃダメ。

 

言うと、この前みたいに騒ぎになるから。

 

世の中には秘密にした方がみんながしあわせなことがあるんだ……たとえば「ユズねぇ」とか言われてきゃぴきゃぴしてるお母さんが、実は経産婦でお父さんのお嫁さんで、しかもお母さんの方からお父さんを襲ったって聞いちゃってげんなりしてるとかね。

 

うん。

 

知らない方が良いことは、いっぱいあるんだ。

母親のそういうことは、たとえリリスになってもダメージが大きいんだ。

 

「では、聖女様……そのお姿は」

 

「えっと、僕の世界?での聖女?の正装?です」

 

いろいろごまかしてるけど、たぶん。

正確には魔王さんの世界のだけども。

 

そういや、ここは11年前の世界かな、また。

もっとも、僕の知らない地域みたいだけども。

 

おかげでか、現代社会がいきなりモンスターに襲われたってインパクトのおかげで「白馬に乗った聖女を名乗る僕」の存在が素直に受け入れられてるのは楽ではあるけども。

 

「あ、それでこの子なんですけど」

 

僕たちはゆっくり近づいて、逃げなかったおじさんの元へおまんじゅうを寄せる。

 

「……その子は」

 

「はい。ケガはしてませんけど……今のモンスターに追われたりして、寝ちゃってます」

 

「それはなんと……ありがとうございます……!」

「いえ、僕も頼まれただけなので。その子を助けた人から、その子を安全な場所に……って」

 

おじさんの周りに集まってきた数人の大人たちが、僕が膝に乗せていた桜色の髪の毛の女の子を引き上げていく。

 

女の子。

 

――進化してもらったおまんじゅうたちに乗って、さぁどの方向に行こうって思ったら、誰かから呼ばれた僕。

 

道草食っちゃったせいで出口が分からないから、とりあえずで向かったその先には、さっき遊んだノームさんとは色違いの女神様が――金髪の方の子が居て、拾ったらしい子供を届けてほしいって頼まれて。

 

や、正確にはあの子の方が前に会ったし、お母さんとちゅーしてた子なんだけども……なんか雰囲気違ったし、忘れられちゃってたのかなぁ。

 

そういや女神様ってこんなに気軽にエンカウントできるんだね。

まぁ魔王様の玉の中だし、因果とかが収束してるからなんだろうけどさ。

 

それはともかく、人助けを頼まれたからにはうなずくしかなくって、だからそのまま地下から上に来たから、たぶん合ってるはず……たぶん。

 

……ちなみに女神様が知ってたかどうかは不明だけども、この子、たぶんあれだよね……僕と同じく、生まれつき「魔」の素質がある人間の子だよね。

 

まぁよっぽどひどい環境で育たなければ悪い子にはならないし、魔王になったからっていってもあの魔王様みたいに理性的な人も居るし。

 

やっぱり人間は生まれより育ちなんだ。

 

この子も僕も半分は魔の存在――魔族なんだけどさ。

 

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