ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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507話 巨人さんたちは良い人だけどでっかい

「! 見、見ろ……!」

 

「百鬼夜行が……」

「消えていく……?」

 

「にゃーん!!」

「こけーっ!!」

「ぎゃっぎゃっ」

「きゅるるるっ」

 

空中に、端末に――たまたま閉所で電子端末を持たずに居た人々なら目の前の空中に……あらゆる場所へと通知された、「女神からのクエスト」。

 

その意味を飲み込む間もなく……出現からたったの数時間で全国の幹線道路という道路を練り歩いて北上していた魑魅魍魎の列が、青い森県に侵入してからは二手に分かれ、それぞれ出海道への地の底からの港、それに海からの港へ到達していた。

 

それらが密集するも、特に悪さをするわけでもなく――中には見物客へファンサを試みるケルベロスやライオンたちも居たりしながら盛り上がっていた、それぞれの半島の先端。

 

それぞれの列の先頭に居たモンスターたちが……数体ずつ、謎の光に包まれて消えていく。

それに合わせ、空席分だけモンスターたちがおとなしく前へ詰めていく。

 

たまにズルをして前に入ろうとしたりする個体が袋叩きにあったり、人へ媚びすぎて「ねー、この子飼って良いでしょー?」「うーん……餌代が……」と葛藤が生まれたりと色々なドラマが生まれていたモンスターの群れが――次々と、消えていく。

 

その光景は、やはり先程の女神からのお知らせ――そして、

 

「これが……ユズワールド……」

「すごいね、ユズワールドって」

「そうだぞ、ユズワールドはこの国を救ったんだ」

 

「サキュバスたちを色香で堕としたりしてな」

「でもまた危機に晒してたよ?」

「ばっか、あれは無意識の誘導に違いない」

 

「なにしろ、怪異だもんな!」

 

「勇者にして聖女にして性女にしてサキュバスにしてリリスにして魔王のユズちゃんだもんな!」

 

「え? インキュバスにもなれるって」

「ショタよ!!」

「こんなとこまでリムジンで乗りつけてくる馬鹿女はつまみ出せ!」

 

その場のすべての人々の認識は――完全に一致していた。

 

なにしろ――現在のこの世界で、意味の全く分からないのが恐ろしい謎の現象を起こすのは、たったの1人しかいないのだから。

 

 

 

 

「……へー、女神様が。あの女神様、優しいですよねぇ」

 

「まおうさま……!」

「さすがはまおう、めがみともしりあい」

 

「めがみ、かみさま、そのともだち、まおう」

「いいまおうさま」

「かわいい」

「すき」

 

「あの……ですから僕は……あ、そういや僕、ちょっと前までは一部の人たちから魔王認定されたりして……撤回されたかは知らないけど、ともかく嘘じゃない……のかなぁ……?」

 

おおきな女の子が話してくれたのは、僕の知る女神様が彼らを助けてくれたらしいこと。

 

なんでも、すっごくでっかくて怖い魔王から彼らを助けるために、自分を対価に――そんな話を、巨人さんたちの中でもひとつ目だし肌の色が違うし髪の毛がない人たちを中心に、でっかい涙を流しながら話してくれた。

 

……スケールが違いすぎて、彼らの涙のひと粒が僕にとっては落石とかそういうレベルだったもんだから、おまんじゅうを初めとしてユニコーンのみんなが逃げ惑ってたのは内緒。

 

それには全然気づいてなかったっぽい巨人さんたち……どうやら体が大きいとささいなことには気づかなくなるらしいね。

 

そりゃそうだ、ユニコーンさんたちや僕、この中で1番小さな女の子の手乗りサイズだもん……つまりは子供の手のひらサイズのお人形さんってことで、二つ目の巨人さんたちの大人にとっては……家の床をちょこまかと駆けるハムスターみたいな感じ?

 

ちなみに一つ目の頭頂部が涼しそうな――だって髪の毛もおめめも1つないもん――巨人さんたちはもっともっとでっかいから、僕なんてかたつむりみたいなサイズとのろのろさに違いない。

 

僕は好きだけどね、かたつむり。

あのぴこぴこ動くおめめが好き。

 

でもなめくじはなんだか嫌い。

ぬ゛ゅる゛んってするもん。

 

でも、どっちにしても気がつかないでうっかりぷちってされかねない怖さがあるんだ。

 

「! こうげき?」

「そうかも」

 

「おっきなまおうさまの?」

「めがみ……しなないで」

 

「しなない、やくそく」

「しんじる」

 

巨人さんたちが一斉に動揺して立ち上がる。

 

「わ、わっ」

 

……膝をついたりしてた人から落ちた砂利は、僕にとっての巨石。

 

「おまんじゅうっ、みんな、がんばって避けて!」

「きゅひっ」

 

――どすどすどすっ。

 

さっきの涙よりも何倍も怖い事態に、僕たちは逃げ惑うのみ。

 

……良い人たち、みたいなんだけどなぁ……僕たちが、ぷちっと潰れるかよわい種族だって認識してないだけなんだけども……。

 

「こども、まもる」

「まおうみたいだぞ?」

「まおうでもこども……こどもはまもる」

 

「そうだ」

「めがみさまもいってた、じぶんよりよわいの、まもる」

「まもる」

 

優しい……はず、なんだけども。

 

「! みんな、したみてうごく」

「あ、おうまさん、ふむとこだった」

 

「ゆにこーんらしいぞ」

「でもはねはえてる」

 

「ぺがさす?」

「でもさきゅばすといっしょ」

 

「………………………………?」

「………………………………?」

 

「……ふぅ、助かったぁ」

 

女の子が声をかけてくれたおかげか、僕たちへ降ってくる岩が収まり、そろりそろりと移動してくれて地響きも減る。

 

「ぶじ?」

「はい、大丈夫です。ありがとうございます」

 

「ううん。まおうさま、まもるのがわたしたちのしごと。まもれば、わたしたち、まもってくれる」

 

きりりと言い張る女の子の巨人さん。

 

……うーん。

 

なんかこのままだと、僕……ここから無事に戻れても、巨人さんたちの面倒まで見なきゃいけない雰囲気……?

 

この子たちを飼うのは、ちょーっと食事代と、なによりも場所代が厳しいかなぁ……?

 

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