ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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510話 なんにも変わっていなかった、おやびんさん

【試製・簡易UIをインストール中】

 

【検索中……ユーザーのベーシックなローカルシステムへ適応】

【音声入力・感応波入力方式を採用】

【メインロジックを「戦略ゲーム」に変換】

 

ぴこ、ぴこ、ぴこ、ぴこ。

 

「………………………………」

 

――いつの間にかに、僕は目を閉じていた。

 

閉じても見える、周囲の状況。

 

【「女神の視点」を擬似的に再現可能になりました】

【女神と隊列を組んだ場合、「女神の視点」を共有可能です】

 

【現在の倍率は女神の10000分の1に低下】

【最大戦力10万までの戦場領域までの把握が可能です】

 

【――インストール完了】

 

【「テイマー」の能力を起動します】

 

「………………………………」

 

――僕のすぐそば、広いダンジョンの部屋には、おまんじゅうとおまんじゅうの友達たち。

 

そのすぐ前には巨人の女の子。

彼女の状態は「待機・警戒・自己犠牲」――なにかがあったら、僕を守るために存在している。

 

「つよい」

「あしもと、ぬける」

 

「ふたつめに、まかせる」

「まかされた」

 

「……はやい」

「つよい」

 

そこから前へは巨人さんたちが――「タイタン/タイタス/ギガント連合軍」が、3層に分かれて部屋の入り口を塞ぎ、通路の際から高速で接近するモンスター――「魔王軍辺境臨時編成部隊AR-45ω」を撃退中。

 

それぞれの適正に噛み合った編成で、それぞれができる限りの戦いをしている。

 

「………………………………」

 

――けれども。

 

「――――――! まおうさま、さがって」

 

――ぶぉんっ。

 

僕たちの目の前が輝いて、とたんにたくさんの気配を感じるようになる。

 

「! まおうさま」

 

「とっぱされた」

「ごめん」

「こども、まもる」

 

「まおうさまのへいし……わたしが、みがわりに」

 

ずんっ。

 

僕の目の前に、大きな女の子が立ちはだかる。

 

『ギィーッ!!』

 

――「魔王軍辺境臨時編成部隊AR-45ω」、「レベル89」のドラゴン12匹が、僕目がけて低空で飛行しながら口元へブレスを用意している。

 

「――――――……………………」

 

――僕は、おおきな彼女を見る。

 

彼女のレベルは――残念だけど、まだ「1」。

ほんの10年も生きていない、まだ戦ったことのない子供だ。

 

そんな彼女が、種族として小さいだけで本当はもうちょっとは経験を積んでいる僕を、守ろうとしている。

 

「……ありがと。――おまんじゅう」

 

「きゅひ」

 

かぽっ、かぽっ。

 

なにも言わなくても分かってくれる僕の相棒は、ただただ前を見て――

 

「……きゅひぃ」

 

――女の子の真下を通り過ぎるとき、一瞬だけ上を見て……ああもう、君たちってば本当にすけべなんだから――ぐいっと首を前にさせて、歩かせる。

 

……けど、なんで君、服の下に何も着てないの……?

 

や、僕は見てないけども、なぜかおまんじゅうの見た視点が共有されちゃったからさ……。

 

「……まおうさま!?」

 

「大丈夫」

 

周囲の構造は、ただのダンジョン――そう、ダンジョンだ。

 

僕が慣れ親しんできた、ダンジョン――ただ、ちょっとばかり規模が大きすぎるだけ。

 

下はなく、上に何十層も確認できる大きなダンジョン――その最下層に、僕たちは居て。

ドラゴンさんたち魔王軍は、最下層の奥の部屋から次々と現れている。

 

――だからドラゴンさんたちの侵入経路も限られているし、奥への通路の入り口を塞ぐ、巨人さんたちの迎撃拠点の選択は正しい。

 

ただただ、数と練度が足りない――次々とダンジョンの奥からポップしているモンスター、魔王軍に対してはあまりに勢いがない。

 

しかも相手は速度も耐久も遠距離攻撃も持っていて、対する巨人さんたちは耐久と一撃の攻撃力だけが高いから軽々とスキマを飛び越えられる形になって、相性は悪い。

 

なら。

 

「……一番槍とか、好きだよね。――――――おやびんさん」

 

――――――「ドラゴンみたいに動きの素早い飛行系の子」を召喚すれば良い。

 

――ぶおんっ。

 

「……へへっ……照れるぜ。オレ様を1番に喚んでくれるなんてよ」

 

「おやびんずるい!」

「うおっ!? ユズがえっちに!?」

「えっちだ……」

「えっち」

「えっち」

「ふぅ……」

 

「オスってばかばっか」

「でも、今のユズになら……」

「清楚なシスター服に組み敷かれるのも……♥」

「活躍したら、もしかして……」

「イケメンのインキュバスを紹介してもらおっと」

 

……ああ。

 

みんな、ちょっと離れていたけども……全然変わっていないんだね。

 

なんだか妙に懐かしくって思わず涙がにじみそうになった僕は、慌ててくしくしして、なかったことにする。

 

「……ワイバーン部隊」

 

僕は、画面をぴこぴこぽちぽちとひたすらに押しながら――急に現れた彼女たちに戸惑っている魔王軍を、にらむ。

 

「みんな、来て。――僕の新しい友達たちを……守るよ」

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