ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。   作:あずももも

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513話 タワーディフェンス

「一つ目さんたち、今です」

 

――――――ずぅぅんっ。

 

【敵斥候部隊4波のうち40%を撃破】

 

「一つ目さんたちはそのまま前を向いて待機。続いて二つ目さんたちは、抜けてきた敵を。小さいのは無視してください」

 

――――ずぅんっ。

 

【15%を撃破】

 

部屋の入り口は1か所。

そして魔王軍っぽいのもそこから定期的に出てくる。

 

――なら、ストラテジーゲームの定番、あるいはタワーディフェンスの定石として、出てきたところを強いのから叩いていくだけ。

 

巨人さんたちはでっかいから1人1人がリーチも長ければ攻撃も広範囲でなによりも強い――けども、大半のモンスターたちは彼らの足よりもちっちゃいんだからすり抜ける。

 

それをさらに、彼らよりひとまわり小さいけども、僕たちのサイズからするとまだまだ大きい――最寄り駅前のビル並みにはでっかい二つ目さんたちが迎え撃つ。

 

おなじことをしてももっと範囲が狭い代わりにモンスターを狙って倒しやすく――最初の一つ目さんたちよりもダメージを受けにくい彼らを、大きすぎる代償として下が見えづらく、勢い余って二つ目さんたちまで巻き込まない後方へ配置している。

 

狭い入り口のすぐ前にはタンク役、あるいは攻撃を受けないところに支援攻撃役。

 

うん、どんなゲームでも当たり前のことなんだ。

 

【魔王軍は魔王/勇者/聖女・ユズの座標を目標としています】

 

【敵残存率・45%】

 

【敵の編成は以下の通りです:ドラゴン25・ビー153・バット529・リザードマン2257……】

 

ぴこぴこぴこ。

 

僕の目の前には、ゲームをしているときみたいに半透明の情報バーが常に表示されていて、リアルタイムで更新されている。

 

しかも口で伝えたり強く想ったことが瞬時に正確にそれぞれのユニット――人たちへ伝わるんだから、ミスのしようがない。

 

「サキュバス・インキュバス淫魔さんたちは右に逃げた一群を迎撃してください」

 

もちろん戦場を俯瞰してくれるミニマップ――誰がどんなところに居てどんな状態でってのがひと目で分かるんだから、僕じゃなくてもある程度こういうのに慣れていたなら小学校低学年の子供でも指揮はできる。

 

実際、用語とかほとんど分かんなくたって小さいころの僕はこういうのをクリアしてたんだから。

……なぜか理央ちゃんとか女子の大半はクリアする以前に興味持ってくれなかったし、田中君とか男子は僕より早くクリアしてたけども。

 

「……すごい……ユズ様が、全軍を完璧に把握されています……!」

 

「エリーさん、傷の具合はどうですか?」

「はい。――メンタルダメージ、MPは7割にまで回復致しました」

 

「まだ余裕があるので100%まで回復するために……あとは、話し相手として傍に居てくれませんか?」

「はいっ……はいっ……! ぐすっ……」

 

僕の真横で目元を抑えているエリーさん。

 

……なにか、とても、想像を絶するひどい目に遭ったらしいんだ。

 

聞き出そうとしても、とても辛そうに泣くもんだから聞けずじまいだけども……きっときっと、生きているより辛いことが起きたんだ。

 

だから戦わせたくないってのもあるし、サキュバスさんたちの中でも1番に強い人だから不測の事態に温存しておきたいのも、ある。

 

……なによりも、友達だもん。

 

友達が泣いてたら、せめてすぐそばに居てあげたいから。

 

「……まおうさま、すごい……ん、せいじょさまって、よぶ?」

「なんか称号とかいろいろ着いちゃってますし、好きに呼んでいいですよ」

 

僕たちの真横に居るのは、巨人さん――二つ目さんの女の子。

 

聞けば、僕たち換算で小学校低学年くらい――10歳くらいらしい。

……その、あと1段階育ったら子供を産めるとかなんとか言ってたから、なんとなくで。

 

「ユズ。――こちらの御方は、ユズというお名前です、タイタンの方」

「なるほど、ゆ……ず。……ゆず。……さきゅばす、かんしゃ」

 

女の子同士だからか、巨人さんとエリーさんは会ってすぐから仲が良いらしい。

……ふたりとも種族的に肌の露出が多いって共通点以外にはなにもなくとも、そこはやっぱり女の子ってことで通じ合うものがあるんだろう。

 

「――遊撃ワイバーン部隊、5匹しくった!」

 

「分かりました、後方で治癒魔法を受けてください」

 

【ワイバーン3、34、78、127、221がリザーブへ入ります】

 

おやびんさんが抱えてきたのは、地上で戦うみんなのために――いや、違う――数が少ないのと、僕の練度が低いために穴の空く前線を維持するために、それぞれの判断で戦ってもらっているワイバーンさんたち。

 

「みなさん、ありがとうございます。元気になるまで休んでいてください」

 

「やっぱおやびんのおやびんは優しいなぁ」

「ほんとほんと、おやびんなら『戦って散れ』とか言うしなぁ」

「俺、サキュバスさんと番になるために戦うんだ……」

「戦いが終わったら人間の雄を紹介してくれるからがんばる!」

 

ワイバーンさんたちは――おやびんさんのイメージに引っ張られているけども、バレーボール部の人みたいな感じ。

 

人間形態になっている彼ら――これはUIでも確認したけども、小回りが利いて命中率が上がる代わりに攻撃力とHPが減るんだ――は、あちこちを抑えながらもハイタッチを僕としてから後ろへ下がっていく。

 

なんだか良く分からないけども、次から次へと敵の襲撃のあるこの場で全体を見られるのは、僕しか居ない。

 

なら――男らしく、指揮官として戦う。

 

こういうのって、男なら誰しもが夢見る戦場だもん。

 

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